55.調子に乗ってやり過ぎました。今は反省している。
洞窟の調査を終えて村に帰ってきたユグドラ達。
狩り組織のリーダーに報告をして、次の日に備えて早めに宿に入り、食事を取る事にする。
だが食事の最中で、一番若いメンバーのロバートが凶暴になる症状を発症してしまう。
報告のためにエリクセンの街へ戻る事にするが、なぜか女性魔法使いの2人がご機嫌だ。
女部屋で何があったんだろう。
その理由はすぐに目の当たりにできた。
腹を空かせた大型の虎の群れに襲われて迎撃をしようと馬をおりると、馬を降りずにニヤけているエバンスが見えた。
「ファイヤー・ウォール!」
炎の壁が虎の前に現れ数匹が燃え、他の虎は炎を迂回して左右から襲い掛かってきた。
ん? ファイヤー・ウォールは第四グループの魔法じゃなかったか?
分散した虎を順番に撃退し、最後の一匹にとどめを刺した。
「グレート・ヒール!」
かすり傷しか負っていないアルファに使う魔法じゃないだろう……あれ? グレート・ヒールも第四じゃなかったっけ?
「なんだなんだ? お前らいつの間にそんな凄い魔法使えるようになったんだ!?」
「良い師匠を見つけたから弟子入りしたのよ」
「いい魔法使いには良い師匠が必須」
感情豊かなクリスティと感情を表に出さないエバンス。二人とも嬉しくて仕方がない様だ。
そして恐らく師匠であるリアは照れていた。なるほど、昨晩部屋に戻ってから教えたのか。
「そんなに簡単に第四って覚えられたっけ?」
「二人とも魔法の基礎は十分あったから、ルーン文字の説明をしたらすぐだったよ」
「じゃあ第五第六もすぐかな?」
「第四を使い続ければ遠くないうちに」
「おめでとう二人とも、第五第六を使えるようになれば一気に戦力が上がるよ」
「ありがとう、これで少しでも安全に冒険が出来るようになるわね」
「う・ふ・ふ、ユグドラを倒す日も近い」
「おお? 俺って狙われてたのか。じゃあまずはこれを倒してみるがいい!」
ちょっと調子に乗って悪魔を召喚した。
リア以外の全員の動きが止まる。あ、やり過ぎた。
「もーユーさん、調子に乗って悪魔呼んだらダメじゃない」
ディスペルで悪魔を消してくれた。
「ご、ごめん、なんか面白くなってつい」
アズベル達を見ると冷や汗を流してへたり込んでいた。
「おいおいユグドラ、今のは何なんだ?」
「今のは第八グループの魔法で、サモン・デーモンっていうんだ」
「魔法で悪魔を召喚できるのね……」
「あ、悪魔を召喚出来ればユグドラだって倒せるはず……」
「あー、あの悪魔じゃ俺は倒せないかな」
「はぁ!?」
みんな驚いてる。ああ、なんか久しぶりに普通の反応が見れた気がする。
「だから言ったじゃない、第八グループまで使えても私じゃユーさんを倒せないって」
「あれ、本当だったんだ」
「悪魔でも倒せないってユグドラは一体何者ですか」
ハッ!これは久しぶりにアレの出番だ!異世界に来たら使いたいセリフ集の一つ!
「俺を倒すには、この世界を破壊しなければ不可能だ」
素晴らしいキメポーズと共に決め台詞を披露する。
よっしゃ!久しぶりに言えたぜ!
ん? 何か目線が冷たい様な……?
「バカかお前、何が世界だ」
「今のは私でもフォロー出来ないよユーさん」
「こんなバカは明日にでも倒してみせる」
「同じ戦士として恥ずかしい」
「今度からピエロ戦士って呼ぶぞ?」
「アセリア、嫌になったらいつでもウチのパーティーに来ていいからね」
「私の命の恩人がこんなにバカだったなんてぇ」
罵詈雑言が雨の様に襲い掛かってくる! 僕のメンタルはもうゼロです。
「カッコイイと思ったのに……」
「どこが?」
全員ハモった!寝てるロバート以外全員ハモっちゃったよ!
「今日は疲れたからもう帰る……ゲート」
超気落ちしたからエリクセン近くのゲートを出して中に入る。鬱蒼と茂る森の中でみんなが出てくるのを待っていると、ビクビクしながらゲートを通ってきた。もっとビビりやがれ。
リアが最後に出てくるとゲートは消えた。
「な、なんなんだ今のは」
「まさか今のって、ルリ子が使ったっていうドラゴン召喚の魔法!?」
「今のはゲートっていう第七グループの移動魔法。ルリ子が使ったのと同じだけど、ドラゴン召喚の魔法じゃなくて、ドラゴンがいる所に出して来てもらってるだけだよ」
そういえばルリ子としずかが使った時はドラゴンやゴーレムを呼んだ時だから、何かを召喚する魔法と思われていたんだな。
「ゲートっていうのはどこへでも行けるのかしら」
「いや、場所が記録されているアイテムが必要だね。最近はこれを使ってる」
バッグからラスコーン金貨をだした。ゲーム時代に使っていた金貨で、マジックアイテムとして優秀らしいからコレに位置情報をマークしている。
「見た事のない金貨だ。それはマジックアイテムなのか?」
「ああ、ラスコーン金貨っていうらしい。これに第六グループのマークって魔法で位置を記録したら、そこに行けるようになる」
「じゃあその金貨を1Gで売ってくれる?」
「これな、値段が付かないくらい高いらしいぞ?」
「え! 例えばでいいから、いくらなのかしら?」
「ん~、王都のギルドで、グレゴリィさんが扱いきれないからって返されたらしい」
バグレスの冒険者ギルドマスターがテレポートリングを五千Gで買い取りたいって言ってたけど、これはそれに近い価格だと思う。
「あの人が扱いきれないって言ったのか!どんだけレア物なんだよ」
「グレゴリィさんって有名なのか?」
「生き字引と呼ばれている。分からない事があればグレゴリィに聞けと」
そんなに凄い人だったのかあのオネエ!
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