50.アセリア先生、成長す
タイタンとサイクロプスを主軸としたモンスター集団に襲われる冒険者達。
アズベルの機転で各個撃破に向かうが、タイタンに手こずり時間が掛かってしまう。
その間に他の集団が合流しそうになる。
完全に合流する前に、ユグドラ・アセリアは敵一部隊を殲滅に向かう。
なので俺はサイクロプスを相手にしよう。モンスターの群れを外回りに移動してサイクロプスの側面に付くが、まだ俺に気づいていない、ブレードスピリットに気を取られている様だ。
これ幸いとジャンプして、首を切り落としてタイタンへと向かう。
しかしすでに一匹はリアが倒していた。さっき戦った際に魔法コンボ一回では倒せなかったので、今度は自分にカニングを掛けて知性を上昇させた様だった。
その効果が有ったのだろう、コンボ1回で倒してしまった。うーん、成長早すぎない!?
嫁の成長に舌鼓を打ちつつ最後のタイタンの前に立つ。俺の体に光が降りてくる、リアが祝福を掛けてくれたようだ。そしてタイタンにはカースを掛けてステータスを低下させたみたいだ。俺を立ててくれてる! 出来た嫁だ!
そういえばこの世界でブレスの効果を試したことが無いな、少し実験しよう。
アダマタイトのバトルアックスをしまい、普通の金属のバトルアックスを取り出した。これを使わないと比較ができないからね。上段に構えて振り下ろすとタイタンも合わせて拳を打ってきた。大きな音を立てて互いの攻撃を受け止める。
流石に普通のバトルアックスだと鎧の様な皮膚を切り裂けないか。しかし切れなかったからと諦めては斧使いの名が廃る。
でもどうしよう……ブレスもカースも効果時間は長くないから持久戦では意味が無い。
タイタンの拳は硬いけど、体全体が硬いのか? そう思って次の攻撃ではタイタンにパンチを出させておいて避け、腕に斬りかかった。
切り落とせはしないが十分に刃が通って、腕から血がしたたり落ちる。
なるほど、腕も硬いが拳が特に硬いだけだな、この分なら通用する場所が他にもあるだろうからそこを狙おう。しかし試すにしても腕が邪魔だからこの腕は切り落とした。
片腕になったタイタンは逃げ腰になっている。片腕では勝ち目が無いと思ったのだろうが、両腕有っても勝ち目はないな。逃げ腰なタイタンの攻撃は掠りもせず、ひたすら俺は斧を振りまくった。
タイタンは拳、腹、胸は硬いが他の場所は刃が通る。だから大きな奴を相手にする時の基本である足を狙い、動けなくして四つん這いにさせた。だが片腕しかないのでもう体を支える力が無く、地面に這いつくばっている。
こうなったらもう考える事も無い、首を切り落として終わりだ。
ブレスの効果はたぶん一割程のアップだ。なんとなく強くなってる気がしたし、何回か予想より深く斬れたりした。必須ではないが、あれば便利だなコレ。
「ありがとうリア、お陰でパワーアップして色々試せたよ」
「いえいえ、ユーさんが暴れてくれたお陰で全然こっちに来なかったから」
「ブレードスピリットの使い方上手くなったね。前は失敗して襲われてたのに」
「あれは……怖かったです」
思い出して苦い顔をするリア。ゲーム時代もそうだったけど、必ず一回は自分が襲われる。なのでブレードスピリットを使う時は必ず魔法解除の準備をしないといけない。召喚魔法はディスペルが可能だから。他の魔法でも出来ないことは無いが、飛んでくるファイヤーボールにディスペルを当てるのは至難の業だ。
「今回は成功したからもう大丈夫だよ。でもたまに俺も失敗するから油断はできないぞ」
「常にディスペルを準備します師匠!」
軽口をたたきながら東の群れと戦っている冒険者と合流した。
小型のモンスターはすでに倒しているが、やはりタイタンに手こずっている。
とはいえ既に包囲網は完成していて下手に乱入したら陣形が崩れてしまいそうだ。なので二人で回復役として後ろから支援する事にした。
リアは前線で戦っている戦士職の回復を魔法で行い、俺は傷が酷く一時後退している者や後衛職の回復を治療キットで担当した。
回復役をして一時間近くが過ぎた頃、モンスターを全滅させることに成功、犠牲者は一人も出なかった。
「怪我人は治療を……もう終わっているな、では周囲の警戒をしろ! 見逃した敵や別も奴らがいるかもしれん!」
最後のタイタンを倒し、一息つく暇もなく警戒を始める。斥候隊はすでに索敵に向かっている様だ。
周囲に敵は居ないようなので、通常のキャンプに戻った。
「アズベルお疲れ様。タイタンを相手に犠牲者ゼロなんて凄いじゃないか」
「おうお疲れ。上手く作戦がハマったな。お前も相変わらだな」
アズベルと拳を合わせて健闘をたたえた。
「それよりアセリア凄いな。ユグドラとルリ子の弟子だからって、タイタンを一人で倒すなんてやるじゃないか」
「ありがとうございます。タイタンは初めてでしたが、ユーさんに教えてもらった方法で何とかなりました」
アズベルがリアを呼び捨てにしている。これはリアの実力を認めての事だろう。冒険者に対してちゃん付けは初心者や未熟者に対して使うものだから。
オネエのちゃん付けは別の意味だろうけど。
「アセリア先生!さっきの魔法はなんですかー!」
「アセリアさん!剣が回ってるのは何の魔法ですか!」
「アセリアさん、魔法を同時に使ったように見えましたけどあれは一体!」
リアが魔法使い集団に囲まれてる。ここ一か月ほどは毎日戦闘訓練をしていたからな~、戦いっぷりも板に付いて来たし戦闘力も十分ある。うん、リアが師匠って呼ばれても全然おかしくないんじゃないかなコレは。
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次回はエリクセンの街に到着し、パーティーごとに調査を開始しするお話しです。
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