44.爆散!依頼のモノがこーなごな
アセリアの魔法訓練が終わり、スキルやステータスが上昇し、更に新しい魔法も入手したルリ子。
しかし新しい魔法は解読が必要で、かなり難解な物だった。
ディータ― ― ― →ユグドラ
「ただいまリア」
「おかえりなさーい!」
キャラチェン部屋を出た俺に走り寄ってきて手を握りしめた。
「これでやっと一緒に冒険に行けるね!」
「うん、思ったより早かったね」
「全然早くない」
「え? だってひと月ちょっとしか経ってないよ?」
「違うの、ユーさんが冒険に行ってる間ずっと一人ぼっちだったんだから、知り合ってから今までかかってるの」
「そこからなんだ」
「長かったでしょ?」
「知り合って2か月位だけどね」
「長かったでしょ?」
「うん長かった」
リアの中ではかなりの長期間のようだ。
でもこれでリアとずっと一緒に居られる。正直に言って飛び跳ねて踊りたいくらいに嬉しい! 座学の期間は、俺が寝てからこっそり抜け出して勉強したり、魔法の練習してたから超褒めてあげたい!
「リア、おめでとう。これで魔法使いを名乗れるし、俺よりも魔法が上手くなったね」
ゆっくり頭をなでた。リアは涙を隠す様に俺の胸に顔を押し付けた。
「これで、ユーさんの役に立てるかな」
「頼りにしてるよ、魔法使いさん」
翌日から早速依頼を受ける事にした。冒険者ギルドの掲示板で依頼を見てみよう。
リアはルリ子と一緒にドレッドスパイダーの討伐をやっているから、丁度いい依頼を選ぶのが難しい。とはいえいきなり難易度を上げるのは危ないし、うーん。
「まだパーティーや集団の戦闘は無理だと思うから、俺と二人で出来る依頼がいいな」
「あの、無理したくないから、最初は簡単なのでいいよ?」
「簡単なのか。王都の商人・乗り合い馬車の護衛の依頼は数日かかるから上級者向けだし、簡単なのは……あ、丁度いいのがあったよ」
「どれどれ?」
「素材集め」
「それならやった事あるから丁度いいかも!」
「よし受けてこよう」
「うん」
依頼書をもって受付に行くと、オネエは他の冒険者の対応をしていたので、顔は知っているけど名前の知らないおばさんに依頼書をだした。
「この依頼を受けます」
「お願いします、スカイさん」
スカイさん? (モブキャラに)名前があったのか!
「はいよ、アセリアちゃんがカウンターの向こうに行くなんて、考えもしなかったよ」
「私も少し前までは考えもしませんでした」
「それじゃ頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
あっさり受付が終わった。あれ? こんなに簡単に終わるんだっけ? スカイさんが引き出しから出した紙にサインして冒険者カードを見せて終わったけど。
「不思議そうな顔してどうしたの?」
「いや、受付ってこんなに簡単だったっけ?」
「大体こんな感じで終わるけど……あ、ユーさんが受ける依頼は大体が難易度が極だから」
「きわみ?」
「うん、どんな冒険者もサジを投げた依頼とか、国が動く依頼とかは極、その下は激、高、中、低、ってランクが付いてるの」
「ランク付けされてたんだ!」
「上級・熟練冒険者がパーティーを組んで受けるのが激と高。極は最低でも複数の熟練者パーティーが協力して受けるの」
「ひえ~、熟練冒険者が複数パーティーってどんな依頼だよ」
「あのねユーさん、王都近くのダンジョン調査って極どころじゃないんだよ?」
「え?」
「極を通り越して、軍隊と冒険者合同の大規模部隊が編成されるまで眠ってる、お蔵入り案件だったんだよ」
「おくらいり?」
「そう、それをユーさんは一人で、っと二人で終わらせちゃったんだから」
「ん? じゃあ俺は熟練者入りしてるの?」
「熟練者じゃなくて、ん~……説明が難しいんだけど、無理難題はユグドラにってなってる」
「なんだそりゃ」
「まあ、そんな感じ?」
「どんな感じ!?」
なんだか俺の位置づけが分からないぞ。冒険者になって2か月の初心者って言われた方が気が楽だ。
馬を二頭用意して一頭に二人乗りしようと思ったけど、採取場所が少し遠かったから二頭に分かれて走って向かった。久しぶりにリアの採取向け衣装のズボン姿を見た。カッコイイ!
「今回の素材集めも全部わかるの?」
「うん大丈夫。それと、モンスターの素材集めも私がやっていい?」
「いいけど、薬草とか集めながらできる?」
「わからない。でもやってみたいの」
「じゃあ俺は基本的に荷物持ちやってるよ」
「ありがとう」
馬で二時間ほど走ったところの採取場所へ到着した。森かと思ったら川辺だった。
「川辺に薬草なんて生えてるの?」
「薬草も有るし、今回は水の中に沈んでる石に付いてるコケと水草が重要かな」
「うむ? お任せします」
「任されました」
ズボンをめくって浅瀬に入り、石を転がして裏側を見ている。
あー昔、小学生の頃は石をめくったらダンゴムシが一杯いたな~。大きくなったらやらなくなったし手ごろな石も見かけなくなったけど、ダンゴムシは居るのかな。
やる事ないから俺も手伝おう。石をめくって裏を見るが何もない。
「これは何を探してるの?」
「石にネバネバの粘液が付いてるから、それを集めてるの」
ネバネバ? そういえばヌルっとしている。
「ヌルっとしたコレ?」
「そうそうそれ。それが沢山必要なの」
「え? でもどうやって集めるの?」
「砂を集めるみたいにしたら石の表面から削り取れるよ」
左手で石をもって、右手の小指と手の横を使ってかき集めると、透明なゼリー状のものが集まってきた。
「おおー、こうやって集めるんだ」
「これが大ビン一個分必要だから、かなりの重労働になるよ」
ひたすらリアと石を擦っていると、川の下流から何かが近づいてきた。
どうやら大型のクマのようだ。リアはまだ気づいていない。
「リア」
名前を呼びつつクマを見ていると、リアも気が付いた。
「クマは確か胆のうが薬の材料になるはず」
そういって熊を見据え、魔法を発動させた。
「エネルギーボルト!」
エネルギーの塊が熊を目がけて飛んでいく。あ、これはアカン。
魔法が熊に命中すると爆発し、熊は消し飛んでしまった。
「あ、あれぇ!?」
読んでいただきありがとうございます!
次回の更新は日曜日の予定です。
以前、ユグドラの目の前でアセリアに求婚し、とっちめられた冒険者のような、正気ではない人たちが他にもいた様です。




