34.アセリアが結婚! え? いや俺は?
穴からではもう分からないので崩れ落ちた壁から中を見ると、オフィディアン六体が壁を向いている。ああ、冒険者が壁に追い詰められているんだな。一、二、三、……六人は満身創痍だ。
ここまで状況が分かれば迷う必要はないな、投げ斧を二本バッグから取り出して、オフィディアンに投げつける。一体は首に命中して頭が落ち、もう一体は背中に命中して崩れ落ちた。
よし、あとは俺に注意を引かせよう。
「うおおおーーーーー!」
大声を上げてバトルアックスを構えて突進する。オフィディアンはすぐさま俺に振り返って反撃してきた。二体が槍で攻撃してきたが一本は頭、もう一本は胴体を狙ってきた。
頭の槍は左手で槍の木の部分を握って止め、胴体の槍は斧で弾いた。槍を握っている方のオフィディアンに接近して胴体を切り裂き、奪った槍を胴体を狙ったヤツに投げつける。
だがオフィディアンは槍を前かがみになってかわし、そのままの態勢で槍で突いてくる。また胴体を狙ってきたから斧で地面に叩きつけて折り、胴体か下半身か分からないが下の方を斬って動けなくして首を落とした。
と、大量の礫が顔を目がけて飛んできた。魔法型のオフィディアンだろうか? 無理やりのけ反ってかわしたが、態勢を崩してしまい倒れそうになる。
しかし上手い具合にさっき投げた斧が地面に落ちていたので、倒れる前に拾って魔法型に投げつけた。当たったかどうかは分からないが、地面に倒れて直ぐに体をひねって起き上がると、魔法型の胸のあたりに斧が刺さっていた。
あと何体だ? 周りを見ると一体が背を向けて逃げていた。どうやら最後の一体のようだ。
持っているバトルアックスを投げると体を突き抜けて向こう側の壁を破壊して止まった。
これで……死体は六体だ。全部倒せたみたいだ。
冒険者たちを見ると出血の割には元気がある。恐らく浅い傷が沢山あるだけで、致命傷はないのだろう。倒れている連中もまだ息がある。
「体が動くなら自分で飲んでください。私は倒れている人を診ます」
回復ポーションが入った袋を冒険者の前に置いて数本取り出し、倒れている冒険者の治療へと向かった。
順番に傷口にポーションをかけて余った分は飲ませた。それでも回復しない人は治療キットで本格的に治療を開始する。
「アンタ……助けに来てくれたのか?」
自分でポーションを飲んで体力的に余裕ができたのか、足を引き摺りながらそばに歩いてきた。この人がパーティーのリーダーだろうか。
「偶然ですよ。村の柵を補強に来たら、冒険者がまだ帰って来てないって言われたので」
そうそう、あくまでも偶然だ。何でもいいから村から依頼が来ていないか探しただけだ。
「そうか。それでも助かった、ありがとう」
「お気になさらず。オフィディアンは六体で全部ですか?」
「ああ、他には居なかったようだ」
そっか、じゃあ後はこの人たちが王都に帰れば任務かん……柵の補強があるんだった。
「しばらく村で休んでから王都に帰った方が良いでしょう。今からだと馬車も無いかもしれませんから」
だが冒険者は首を横に振った。
「折角だがすぐに帰らないといけないんだ。彼女が王都で待っている、帰ったらプロポーズする約束なんだ」
あー彼女がいて、帰ったらプロポーズするのかー。フラグがビンビンだな!
しかしフラグをへし折る事に成功したようだ。
「そうでしたか。それでもまだ全員が王都に帰るのは辛いでしょう。少しでも休んで下さい」
倒れていた冒険者たちは目は開いているが、まだ体が起こせそうにない。
「そう……だな。仲間を置き去りにして帰ったらフられちまうな」
斧を回収し、木材を探して簡易タンカを二つ作った。三人が歩けないほど疲弊していたのでタンカで二人、一人は俺がおんぶして村へ向かう事にした。
村に到着すると太陽は天辺を回っていた。村人たちに冒険者たちの看病を頼んで、俺は柵作りへと着手した。今日中には柵の補強を終わらせて帰ろう。
一~二時間ほど作業をしていると、冒険者たちを乗せた馬車が王都へと出発した。もう帰るのか? あんなに辛そうだったんだから休んでいればいいのに。
俺の方は何とか日が沈む前に作業を完了させることが出来た。柵の縦棒が二メートル以上あって結構大変だった。
村長さんに確認してもらいOKが出たから、俺も王都へ帰ることにしよう。急いで帰れば馬車に追いつくかもしれないし、リアと晩御飯を食べる時間もあるだろう。
急いだ甲斐あって、王都の城門前で冒険者たちを乗せた馬車に追いついた。
すっかり暗くなってしまったけど、街の明かりは煌々と輝いている。まだ遅い時間じゃないから、リアはまだギルドにいるかもしれないな。
さっさと手続きをして王都へ入り、冒険者たちはギルドへ、俺は馬を厩舎に返しに行った。
今日は何を食べようかと考えながらギルドへ行くと、助けた冒険者たちが受付をしている。
担当した冒険者が無事帰って来たから、リアも安心して臨時職員を辞めれるだろう。
俺もリアから仕事を受けたから、リアに対応してもらおうと助けた冒険者の後ろで順番を待っていると、何やら話しが聞こえてきた。
「上級の依頼を達成できたから俺も上級者の仲間入りだ。これで君を安心させられる、アセリアちゃん、俺と結婚してくれるね?」
……あ?
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次回更新は水曜日です。




