表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/71

2.初依頼!護衛って初心者でもいいの?

1話と2話が長かったので三分割しました。

これにより話数も変更です。

 扉を開けて入ると、中は沢山の冒険者であふれかえっていた。随分と人が多いな、全員冒険者なのか?


 受付を探してうろついていると、いかついオッサンが声をかけてきた。


「おうお前、見ない顔だがいい鎧を持ってるな。俺と勝負しないか?俺が勝ったらその鎧をくれ」


 いきなり何言ってるんだこのオッサンは。そんなもの受けるはずないだろ。


「受け付けがどこか教えてくれませんか、ギルドに登録したいんです」


「ああん? お前登録してねーのかよ。チッ、あそこだよ」


 オッサンが面倒くさそうに親指で刺した先にはカウンターがあって、女の人が書類仕事をしていた。


「ありがとう」


「あ?」


 なぜかオッサンは口をあんぐりと開けていたが、まあいい。今は登録が先だ。


「こんにちは、冒険者の登録をしたいんですが、ここでいいですか?」


「え? あはい、こちらで大丈夫ですが……?」


 肩あたりまで伸びた銀色の髪と、細長い眼鏡がとても知的な女性だ。白を基調とした服で青い装飾が数か所についている。


 しかしなにやら歯切れが悪い。


「では登録をお願いします」


「え、ああはいすみません! ではこの紙に名前とクラスを書いてください」


 差し出された紙に名前を……どうしよう、このゲームの時のユウにするか、最近使っているユグドラにするか……ユグドラにしよう。


「クラスってなんですか?」


「そこは大雑把で構いません、戦士とか魔法使いとか」


 そういう事か、じゃあ戦士っと。


 紙を渡すと、今度は水晶に手をかざす様に言われた。どうやら魔力やら何やらの生体情報を登録するらしい。すげぇ、日本より進んでる。


「はい、ではこちらがユグドラさんの冒険者カードになります。ギルドで依頼を受ける時や街に入る時に必要ですから、無くさない様にお願いします」


「はーい」


 免許証ほどの大きさのカードを渡された。これに生体情報がはいってるのか~。


「ちなみに使用する武器はなんですか?」


「私はこれを使っています」


 背中に担いでいた斧、60センチある()の先が尖っていて、丸い両刃の巨大な斧を見せた。


「あの……木こりさんでしたら生産系ギルドの登録になるんですが」


「え? いえいえ冒険者になりたいんですけど」


 そこでギルド内に居る冒険者全員が大笑いした。


「おいおいボウズ、そんなデケー斧を振り回して何するつもりだ? 敵は木と違って動いてるんだぜ~? ぶあっはっはっは」


 どうやら斧は武器と思われていないようだ。確かに俺が持っている伐採スキルは、木を効率よく切るためのスキルだから間違いじゃないけど。


 くそう、この世界はとことん俺のスタイルを否定してくる!


「ユグドラさん、ギルドの向かいに武器屋がありますから、そこで剣を購入してください。でないと依頼を回せなくなってしまいます」


「……ひゃい」


 はいという気力すらわかず、笑い声を背にして武器屋に入った。




「おうあんちゃん、ギルドで随分でけー声がしたが何があったんだ?」


 武器屋にまで響き渡っていたらしい笑い声の話題には何も答えず、剣を漁り始めた。


 うーん良いものが無いな。ここはあれか、RPGの最初の街だから大した物がないのかな。


 切れ味はどれも変わらない様に見えたから、ぶっ叩きやすい大きめの剣にしよう。


「これいくらですか?」


「んん? そいつは6シルバーだな」


 しるばー?えーっとたしかアルオン内での通貨はGPだったけど、GPはゴールドポイントだったかな、シルバーって銀か?


 分からないからすっとぼけて6GP渡した。


「あんちゃん、このコインは見た事がねーな。(きん)には違いない様だが……ちょっと待ってろ、重さを量る」


 カウンターの真横に置いてある天秤で量り始めた。


「うーん少し重いか? まあ大体1ゴールドだな。5ゴールドは返すよ。あとお釣りの4シルバーだ。ありがとよ」


「どーも」


 よかった、手持ちの(かね)は使えるようだ。正直数億GPあるから無駄にならなくてホッとしている。


 さて、斧は背中のマントの内側に担いで剣を左腰に下げた。冒険者ギルドで依頼を受けようと中に入ると、相変わらず全員がニヤニヤしていたのは逆に驚いた。


「初心者向けの仕事はありますか?」


 受付のお姉さんにたずねると、今からなら馬車の護衛の任務があると教えてくれた。


 護衛はもっと慣れた冒険者向けじゃないのかと思ったが、どうやら午前中に大きな商会の護衛があったらしく、そこでほとんどモンスターは倒してしまって、昼からの護衛は大体暇なんだそうだ。


 午前中は熟練者向け、昼からは初心者向けと別れているらしい。


 ならばと早速依頼を受け、隣町への護衛をする事にした。


 集合場所に行くと、荷馬車が二台と冒険者が四人いた。本当は護衛を六人依頼していたらしいが、毎回暇なので五人でもいいそうだ。


 あれ? これフラグか??


 とはいうものの本当に暇だった。街道は整備されているし、商人も冒険者もいい人で話をしていて楽しい。




 馬車で半日の距離らしいけど、これは確かに初心者に丁度いいかもしれない。


 前方には女性冒険者と男性冒険者が馬車の後ろに腰をかけ、俺と二人の若い冒険者は後ろの馬車に腰かけている。なかなかに尻が痛い。


 初心者だからと色々教えてもらっている最中に、とても気になる情報を入手した。


 どうやら斧を使って戦う人など聞いたこともなく、赤青黄の衣装を着たピエロがいるらしい。マジかよ。


 唯一の苦痛である尻の痛さを我慢しつつ、陽気に当てられウトウトしていると馬車が止まった。


 あれ? 目的地の街までやっと中間地点かどうかという場所のはずだけど、何かトラブルがあったのかな?


「へっへっへ、馬車と有り金を置いていきな。そうすれば命は助けてやるよ」


 という定型文が耳に入ってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ