26.探索開始!あ、でもトロールはカンベンね!
遂にダンジョン攻略開始です!
そして私は驚愕した。なんと……なんと……!
「このマップ、距離と大きさ滅茶苦茶じゃん!短い通路が長かったり長い通路が短かったり!おまけに向きまで違うし!」
った~、これはディータさん困ったよ。うん、これはあれだね。
「ダンジョン1階からマップ作製し直しだね!やったね私!先遣隊よりも私の方が詳しくなれるよ!」
ルンルン気分でマッピングしていて気が付いたことがたっくさんある。
「もんすた~居ないしぃ~、罠は~?宝箱は~?もう2階なんですけど~」
あっ!でも考えてみれば人工物なんだから罠なんて無くても不思議はないかも?軍事施設で味方を罠にかけてどうすんだって感じよね。
でもモンスターが住み着いてるんじゃないの~?ヒマヒマ星人現る!
それにもっと洞窟っぽいのを想像してたけど、部屋は四角くて壁は補強されてるから洞窟よりも地上に作る施設をそのまま地下に落としたみたいな感じ。棚や机も残ってるし明るい。
「っと、ここの部屋をマッピッピして、はっぱふみふみ……ここもそうか~」
二階までマッピングして気づいた事もう一つ!フロアの一辺に一部屋分ほど不自然に何も無い場所がある。十メートル四方くらいが埋まらない。あからサマーになんにも無い。一階二階と何も無いからその下にも何もないかもしれない。いやいや、あからサマー過ぎるから何かがあるはずだけど。
「どうなんだろうね~、軍事施設には間違いないと思うんだけどな~、なんか違うな~」
うーん、なんだろうこの違和感。頑張れディータセンサー!このダンジョンの秘密を暴くのだ!
三階に降りてきてやっと見つけた!M・O・N・S・T・E・R!
しかもいきなりの大物ですよ!ボロボロだけど上級な魔法のローブを着てるリッチッチお爺ちゃん登場!超シャレにならないんですけど!ゲームの時でも普通のリッチッチお爺ちゃんは結構強かったから、大体まとめて五~六匹相手にするのが精いっぱいったんだYO!
「でもナンデ?なんでリッチッチ?意志を持ち、さらに研鑽を繰り返すアンデッドが、どうして人工ダンジョンにいるの?」
よーし、ハイドってリッチッチの後を付いて行こう。
私はハイドで姿を消してリッチッチの後ろに立った。なんか本を読んでるけど知らない文字だね。本で何かを調べて棚から何かを持って部屋から出ていく。ん?よく見るとこの部屋の棚には沢山薬品っぽいのが置いてある。
リッチッチの後をステルスでつけて部屋から出ると、下の階に降りて広い部屋へ入って行った。一緒に部屋に入ったんだけど、わぁ、お爺ちゃんがいっぱ~い。軍事施設ならぬ老人介護施設……ごほんごほん。
沢山のお爺ちゃんたちは見た目はゆっくり動いてるけど、手の動きがヤバイ、超早く手が動いてる!色々薬品を調合してるけど、あれは秘薬だね。新しい魔法の開発でもしてるのかな。
と見学していたら後ろで小さな爆発が起こった。なんか調合に失敗したっぽい。お爺ちゃんにもドジっ子っているんだ!お爺ちゃん萌え!
ハイドとステルススキルが高いと便利だな~私ってば最ツヨ!お爺ちゃんたちだーれも気づいてない。
最ツヨの私が見た感じだとお爺ちゃん達は召喚魔法の研究をしてるっぽい。妖精とか悪魔とか召喚したいのかな?
う~ん、しまったな~、もっとギルドから情報もらっとくんだった。ゲーム時代の癖で行けば何とかなるさ、的なノリで来ちゃったけど。
三階までしか地図が信頼できないっていうのはアレだね、モンスターが出ないからなんだねー、四階からは普通にモンスターが居るから地図を作るどころじゃなかったんだね~。
でもでも、よくお爺ちゃんが沢山いる階を突破して下の階に行けたね。この部屋だけでもざっと十人以上いるし、ここで戦える冒険者なんてあんまり居ないんじゃ?
それに今倒したらダメな気がする。リッチッチがこれだけ組織的に動いているんだから、司令塔がいるはずだしね。
リッチッチの司令塔になるモンスターって……リッチロードとかパラゴンリッチロードとか?パラパラか~、素晴らしきリッチロードはユグドラでも苦戦したから見かけたら逃げ一択で!リッチロード五匹をまとめて相手にする位に怖いからね!
とりあえずはこのまま四階のマッピッピをして下の階をめざそー。
そして遂に、ついに私は!見つかった。てへっ、にげろ~。
だってしょうがないじゃない!お爺ちゃんだけじゃなくて何種類もアンデッドが出てきたんだし、オークとかコボルトとかハウンドドッグとかまで出てくるんだもん!きっと私のいい香りに誘われて……ごめんなさいそんな事言ってる場合じゃなかったー!
インビジブルアイテムを使えば瞬間的には姿が消えて巻けると思うけど、あれって姿は消せても臭いは消せるのかな?たぶんムリムリだよね~、こうなったら仕方がない、喧嘩はよくないけど乙女のピンチだもんね!
「エネルギー・ウォール!」
半透明のエネルギーの壁を出して足止めをしてっと。
「ファイヤー・ウォール!」
後はこんがり焼いて美味しくいただいちゃお~。オークは美味しいのかな?豚肉だよね?
あ、でもゾンビとスケルトンが暴れてる……遠慮しておきますね。
これで一旦隠れてっと、みんなが火に集まってる間に他の所しらべよーっと。
四階五階とマッピッピを完了させて六階に降りてきた。
ここはヤヴァイ。甘そうな匂いがする!ダンジョンに潜って多分四日くらい経ってるけど、携帯食料だけで美味しくなんだもん!目指せスイーツ!
あ~、うん、なんとなく想像はしてたですよハイ、私のスイーツを返せ。
甘い香りに誘われてたどり着いた場所は広くて何もない場所。はいそうです、甘い香りに誘われて飛んで火にいる夏の虫。
W・A・N・Aにかかりました~。
「まってまって!違うの!」
開かない扉を叩きまくって開けてもらおうとするけど反応ナッシング。それはそうよね~罠に掛かった相手を助けるわけないもんね~(涙
私の超必殺技である猫なで声が通用しないんなら仕方がない、出れぬなら調べてやろう罠の種類。
そもそも臭いの発生源はなに?乙女心をくすぐるカホリを出すなんて万死に値するよ。
部屋中を調べたけどなーんにも無かった。なんで?ただの広い部屋で匂いも部屋全体からにじみ出てるような感じ。じゃあこの匂い自体に何かあるのかな。匂いと言えば麻痺とか毒とか幻覚とか?とりあえず解毒ポーション飲んでおこっと。
飲むと気分がすっきりした。
「あれ!?私毒か何か吸い込んでたの!?よかった念のために飲んどいて」
気が付かないくらいにゆっくりと気分が悪くなってたっぽい。
うえ~趣味悪~、じわりじわりと意識を奪う系かなこれ。吊り天井とか水攻めとかだったら扉を破壊して出るつもりだったけど、これはもっと別の目的で作られてるな~。対象を無傷で捕らえて実験材料にするとかエサにするとか……エサ?
入ってきた扉の反対側の壁が開いた。ダンプカーが通れそうなくらい大きく開いた場所から何かが入ってきた。大きなモンスターが数匹……あ、あれはトロール!そんな……私の天敵ともいえる大型モンスターが数匹どころか数十匹入ってきた。
「ちょっと勘弁してください……本当に許して……勝手に入った事は謝るんで……」
入ってきた扉に向かってお願いしたけどダメだった。なんでこんな事するかな。
「いたいけな少女になんて事するのよ!」
もう嫌だ。こいつ等には勝てないどころじゃなくて戦う気すら起きない。だってだってこいつらは臭いんだもん!!!何このウ〇コ臭!全身からウン〇の匂いがするって最臭兵器以外のなにもんでもないよ!
もー無理無理、我慢できない。助けてお兄ちゃんたち、ぽちっとな。
ディータ― ― ― →番長




