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ドーナツ その四
狐色に揚がったドーナツを大皿に山盛りに盛る。
猫が金色の瞳をキラキラ輝かせて、ペロリと下で口を舐めた。
私はとりあえずドーナツを一つ手に取り、適当な大きさに割って猫の皿に乗せて差し出した。
猫は鼻をひくつかせて、匂いを嗅いでからかぷりと噛み、そのまま口の中に入れた。
もぐもぐと頬を膨らませながら咀嚼する顔はなんだかリスやハムスターっぽい。猫がリスやハムスターに似ていると思うのはなんだか滑稽で思わず吹き出してしまった。
私もテーブルについてドーナツを食べた。
揚げたてだから、凄く熱くて、甘い。
一口、二口と食べながら時々ミルクを口にする。ドーナツとミルクの相性はいいなぁ。
「おい、もういっこにゃ」
前足で皿を押して催促してくる猫。
「はいはい」
私はおかわりを装いながら、明日は何を作ろうかと考えていた。
ドーナツ終了。