少女
──闇、闇、闇…延々と広がる闇の中。一人の少女がそこに居た。
辺りには、見渡す限り闇が広がり、まるで入り口も出口も無いのでは?
と思わず疑いたくなるほどだ。
そんな中、その少女は何をしようとしているのだろうか。
人気のない場所に、ただ一人、何をするわけでもなく佇んでいる。
しかし…
よく見ると少女の瞳は哀しみを宿し、まるで助けを求めているかの様にも見える。
不意に、少女の身体がフワリ……と宙に浮き、そして、光を帯び始めた。
一瞬、辺りに眩い光が迸り、刹那、その風景が見えた気がするが、何もない……無の空間だったように思える。
少女はそんなことを知ってか知らずか、一向に気にするわけでも無く、また、一人、佇んでいる。
既に眩しい光など、闇に飲み込まれて消え失せていた。
何故だろう……。
どことなく寂しげな瞳が、また一段と悲しさを帯びた気がするのは。
「希望」と言う二文字は、少女の中の辞書から消え失せているのだろうか……。
先程も言ったが、本当に、全くといっていい程、少女は何もしようとしない。
少女には、もう…したい事、という物すらないのだろうか……。
やりたい事も無く、唯々、永い時を延々と過ごしている。
あれではまるで、魂の入っていない単なる人形ではないか。
──ん?
『──…迎えに来たよ………。さぁ…行こう…』
少女の前に、突然どこからともなく現れた。
みたところ、14歳位の男の子が少女に向かって手を差しのべた。
少女は動じるわけでもなく、その男の子に向かって手を差し出した。
ニコリ……と、微笑むわけでもなく、その手を振り払うわけでもなく、あの、哀しみを宿した瞳のまま──…
* * * * * *
少女:web初出は多分…2003年1月?