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刻の刻印  作者: 舞原倫音
刻の刻印:第一部
11/24

少女

 ──闇、闇、闇…延々と広がる闇の中。一人の少女がそこに居た。


 辺りには、見渡す限り闇が広がり、まるで入り口も出口も無いのでは?


 と思わず疑いたくなるほどだ。


 そんな中、その少女は何をしようとしているのだろうか。


 人気のない場所に、ただ一人、何をするわけでもなく佇んでいる。


 しかし…


 よく見ると少女の瞳は哀しみを宿し、まるで助けを求めているかの様にも見える。


 不意に、少女の身体がフワリ……と宙に浮き、そして、光を帯び始めた。


 一瞬、辺りに眩い光が迸り、刹那、その風景けしきが見えた気がするが、何もない……無の空間だったように思える。


 少女はそんなことを知ってか知らずか、一向に気にするわけでも無く、また、一人、佇んでいる。


 既に眩しい光など、闇に飲み込まれて消え失せていた。


 何故だろう……。


 どことなく寂しげな瞳が、また一段と悲しさを帯びた気がするのは。


「希望」と言う二文字は、少女の中の辞書から消え失せているのだろうか……。


 先程も言ったが、本当に、全くといっていい程、少女は何もしようとしない。


 少女には、もう…したい事、という物すらないのだろうか……。


 やりたい事も無く、唯々、永い時を延々と過ごしている。


 あれではまるで、魂の入っていない単なる人形ではないか。


 ──ん?


『──…迎えに来たよ………。さぁ…行こう…』


 少女の前に、突然どこからともなく現れた。


 みたところ、14歳位の男の子が少女に向かって手を差しのべた。


 少女は動じるわけでもなく、その男の子に向かって手を差し出した。


 ニコリ……と、微笑むわけでもなく、その手を振り払うわけでもなく、あの、哀しみを宿した瞳のまま──…


     *  *  *  *  *  *

少女:web初出は多分…2003年1月?

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