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20話 ご飯を食べに行く前に

「こちらが身分証になります」


ギルドマスターと別れて1階に降りてきた俺達はしばらくしてミレイユさんに呼ばれて身分証の方を受け取る。


「今回、コウキ様は冒険者登録されましたので、身分証の裏面に新たに冒険者情報が記載されています。

わかっておられると思いますが、身分証の方は魔道具になり、個人の情報を記録する物となっています。

おそらく、ミレハイムに入る時に門番の方に言われたと思いますが、小金貨2枚の支払いをお願いします。

初発行の時は無料だったと思いますが、今後も失くされたりしたら、小金貨2枚を再度支払うことになります。 注意してください」


ミレイユさんにそう言われ俺はレムに、


「レム、小金貨の方出してくれるか」


俺達は荷物関係はレムの空間魔法のアイテムボックスに入れているので頼んだ。


「これでいいのかの?」


と言って、金貨を12枚取り出した。

もちろん、空間魔法の方がばれないように服の中から取り出してるように見せかけてだが。

そう言えば、門番の人やミレイユさんが『小金貨』って言っているけど、俺がレムの住処で見たのは、白金貨、金貨、銀貨に銅貨だったはずだ。

頭に『小』って付くものはなかったはずだけど……。

それを見て、ミレイユさんは、


「あっ、いえ金貨ではなく、小金貨でいいのですが……」


とびっくりした顔でそう言ってきた。


「すみません。 自分達、金貨と銀貨しかもってなくて、小金貨は持ってないんですよ」


「そうなんですか? 5年ほど前から金貨や銀貨だけでは不便という事で新たに小金貨と小銀貨が発行されたのですが、まだあまり流通してないので仕方ないですね。

金貨1枚と銀貨20枚のお支払いでよろしいです」


なるほど、レムは10年くらい人はやって来なかったと言ってたから、5年前にできた小金貨と小銀貨があの場所になかったのはそういう理由か。

あと、ミレイユさんの言葉から察するに、小金貨10枚で金貨1枚、銀貨10枚で小金貨1枚という事だろう。

という事は、小銀貨も10枚で銀貨という事か…。

そんな事を考えている間に、レムの支払いが終わる。


「お支払いの方確認しました。 こちらの用紙を7日以内に門番の方にお渡しください」


ミレイユさんに渡された用紙はきちんと支払ったかどうかわかるような文面がかかれていて、この用紙を門番に渡すことで、正式にミレハイムに入ったことと同じになるようだ。


「あとは、冒険者について説明しようと思いますがお時間の方はよろしいでしょうか?」


シロが早くご飯に行きたがっているが、これは今聞いとく方がいいだろう。


「できれば仲間の方が急いでるみたいなので……」


「わかりました。

では簡単に説明しますとまず冒険者ギルドでは、様々な方から依頼の方を受け付けています。

もちろん、冒険者の方や私たちギルドからも依頼をする場合もあります。

依頼の種類の方はいくつかありますが大体多いのは、魔物討伐系や収集系です。その他には護衛依頼など特殊なものもありますが、そちらの方は依頼を受ける際にまたお聞きください。

そして、冒険者にはランクというものがあります。

コウキ様はギルドマスターより飛び級推薦がありましたのでCランクスタートとなります。

依頼の方に適正ランクというものがあり、自身のランクより1つ上までの依頼までしか受けることができませんのでご注意ください。

こちらは冒険者の方が自らの実力に見合わない依頼を受けて亡くなられるのを防ぐためですのでご了承ください。

ランクの方はギルドの方で適切に判断し上げていきますので、依頼をたくさん受ければ上がれるといったものでもないのですが、ギルドとしてはたくさんの依頼をこなしていただけると助かります。

あとは、注意事項ですが人として常識の範疇で物事を考えていただけると、やっていい事とやってはいけない事は分かると思いますので、はぶかせていただきます。

何か質問の方はありますか?」


「いえ、大丈夫です」


俺はそう答えるが内心、


(四神達やレムは人じゃないから常識とか心配だけどな……)


そう思っていた。

ん? 俺? 俺は人間だから常識は分かっているつもりだ。


「では、説明は以上です。 これから頑張ってください」


そう言ってミレイユさんはお辞儀をしてくる。

俺達も礼をして、ギルドを出ようとする。


「さぁ、シロ、待たしたな。 ご飯食べに行こうか」


「うん、コウ兄。 シロ、もう限界だよ」


シロがお腹をさすりながら言ってくる。


「そうだな、流石に俺も少しお腹が減って来たからな……」


そう言って、出口の扉に手を変えようとしたところ、後ろから声をかけられる。


「おい、お前ら! 今日から冒険者になったみたいだな。

何なら俺が色々教えてやってもいいぜ。 俺はこう見えてCランクだ。

ただし、男のお前は駄目だ。

お前らもそんな男より俺と組んだ方がいいと思うけどな」


「貴様、コウキ様を侮辱するか!」


セイが男の発言に対して怒る。

あとセイよ、早速『様』付けで呼んでるんだが……。


「コウキ様? なんだてめぇ。 女に様付けで呼ばせているのか?

さては女どもは奴隷か?

だったら俺がもらってやるよ、Cランクの俺様がな!」


「あー、俺達もCランクなんだけど?」


「Cランク? 嘘つけ。

今、受付のミレイユさんに説明受けてただろう?」


「確かに冒険者になったのは今日からですけど、Cランクスタートなんですよ、ほら」


そう言って俺は身分証の裏を見せる。

身分証の裏には冒険者としての情報が載っているが、そこまで重要な事は書いてないので見せても大丈夫だろう。


「はぁ? お前みたいな奴が飛び級だと? 何かインチキでもしたんだろう!」


「ちょっと、シロ達は急いでるの!

おじさん見た感じ弱そうだけど、そんなんでシロ達に釣り合うと思ってるの?まぁ、たとえ、おじさんがシロ達より強くてもついては行かないけどね」


シロは早く食べに行きたいのか、少し怒った風に男に言う。


「よ、弱そう? 舐めんなよガキが。 俺を怒らせるとどう、ぶべらっ」


男がしゃべってる最中に変な声を上げて前のめり倒れる。

さっきまで俺の後ろにいたシロが何故か男の後ろに一瞬で移動して男の首筋に手刀をたたき込んだのだった。


「よし! じゃあコウ兄、ご飯食べに行こう!」


「お、おう(死んでないよな?)」


さりげなく男の方を見て見ると、気絶しているだけの様だったので、一応ギルドの壁にもたれかけさせておくことにした。


「だ、大丈夫かな?」


俺がそう言うと、


「大丈夫だよ、ちょっと首に手刀をたたき込むときに電気流して気絶させただけだから」


そう言えばシロは、雷魔法が使えるんだったよな。


「ふん、コウキ様の寛大な精神に感謝するんだな」


「治療は必要なさそうですね。 それと、セイ。

さっきからコウキ様、コウキ様言ってるけど駄目じゃない。

呼び捨てするって決めたでしょう」


セイは相変わらずで、シュイはやはり一番まともだな。


「ふむ、ではコウキよ。 早く行こうぞ」


「……クロもお腹……空いた……」


レムも俺の事はコウキと呼ぶことにしたようだ。

同じ姓で『しゅ』や『おぬし』って呼ぶのもおかしいしな。

ちなみに、神眼でセイやシュイ達の名前だけを見ようとしたら、負担も軽かったので、ある程度は調整できるようだ。

セイ達の名前はそれぞれ、

『セイ・タツノミヤ』

『シュイ・タツノミヤ』

『シロ・タツノミヤ』

『クロ・タツノミヤ』

『レム・タツノミヤ』

に変わっていた。


「そうだな。 よし行くか!」


俺はそう言って扉に手をかける。

流石にさっきの光景を見ていた他の人達から声をかけられることもなく俺達はギルドを後にしたのだった。


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よろしくお願いします。

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