片隅で終わりを迎えた世界
――あゝ、やはり“世界”は我らを赦しはしない。
茫漠たる荒野で、終わりをみながら男は立ち竦む。終わりなのだと。
明確な「ソレ」をみつめながら、男はただ虚無を抱いてそこにあった。
あれほど。
あれほどの思いをして、全てを捨てることを強要されて。
仲間は、苦しみの果てに全てを捧げたというのに。
――なんと、愚かなことか。
男が愛した女は、愚かだった。
ありもしない人間の良心を最後まで信じ、人のために命を捧げた。
男が信じた友は、愚かだった。
ありもしない神の御心を最後まで信じ、信仰の果てに命を捧げた。
そして誰より、男は愚かだった。
友も、恋人も、全てを引き換えに人生を人間に捧げ――裏切られた。
――呪われてあれ。壊れてあれ。
男の言葉は、呪の祝詞。
愚かだった仲間に、自身に、男は絶望を吐き捨てた。
その日、世界は終わった。
突発的に思いついた、続編のありそうでない短編のようなもの。
しばらく執筆中に放置してあった。前後の話が全くできなかったものの、お蔵入りするのもちょっと勿体なくて(貧乏性)投稿してみました。