第7話 封印されし井戸の謎 後編 (最終話)
登場人物紹介
間宮 涼華 天然女子高生
井上 千夏 ツッコミ女子高生
早瀬 千夏の部活の先輩
影山小百合 踊り場の大鏡に封印された学生
松山 遥 校舎屋上で窒息死した学生
土屋加奈枝 焼却炉で焼死した学生
バルコ 飼育小屋にいるフェレット。
お札で会話できるようになる。
三上 玲子 井戸で亡くなった最初の犠牲者
*登場する名称等は全てフィクションです。
飼育小屋のある所には昔井戸があった。
信仰の対象となり、井戸は神格化されるが悪用しようとする者も現れた。
数年前三上さん達3人は井戸の調査を開始、報告を教頭にしたが、何かに操られた教頭により殺されてしまう。
その後も犠牲者は増え、今何かが起きようとしていた。
「千夏ちゃん、いよいよ今日の放課後だね。」
「涼華、準備してきた?」
「いやー、バッチリだよ。オヤツ300円分あるよ。」
おいおい、遠足とかじゃないぞ。
「相手ヤバいからしっかりしてよ。」
「まあ、バルコとかに任せればいいよ。」
あんなフェレットに何が出来るんじゃ!
放課後飼育小屋に向かう。
「皆揃ったかな。」
「小百合さん、説明お願いします。」
「それじゃ、皆良く聞いて。」
作戦はこうだ。
涼華・私の2人で教頭を飼育小屋に呼ぶ。
教頭に取り憑いた何かは、遥さん・加奈枝さん・玲子さんが協力して出す。
最後に皆でその何かを倒すと言った感じだ。
『井戸の場所皆分かっている?』
「そういやどこかな?」
「井戸の周りは壁で塞いであって、飼育小屋に隠し扉があります。」
「うまくカモフラージュしてんのね。」
「でも、何でそんなことすんの?」
確かに、わざわざ井戸を隠す意図が分からない。
「それは…。」
「三上さん、何か知っているんですか?」
「後から落とされて亡くなった方が言っていましたが、井戸で霊力を高める為に殺されたと…。」
「小百合さんが鏡に閉じ込められたのは?」
「私は当時飼育係をしていて偶然井戸を見つけたんです。教頭に伝えたら鏡の前まで連れて行かされて...。」
「鏡に閉じ込められた人は他にいますか?」
「......!そう言えば、最初の実験台とかその時言っていました。」
「なるほど、全貌が見えて来ましたね。」
「千夏探偵の名推理だね。」
「ふっふっふ、涼華君。いよいよだよ。」
「でも、千夏ちゃんタダの女子高生だしね。」
雰囲気ブチ壊さないでよ涼華…。
私の推理はこうだ。
井戸には悪い気が集まり魔物のようなものがいた。魔物は力を強めようと教頭を操り霊を集め、その後吸い取り力をつけた。
しかし、派手に動くと井戸が取り壊されたり、誰も近づかないと力を強く出来ないから小屋でカモフラージュする必要があった。
だが、それでは井戸を隠せても連れて来る手段がない上に、いつでも連れてくることは出来ない。そこで、鏡の中に保管場所を作り一時保管スペースを作った。まあ、こんなところだろう。
「ところでさぁ、千夏ちゃん。」
「何涼華、どしたん?」
「魔物退治ってどうすんの?私何の力もないよ。」
はっ、今日に限ってこの娘ボケてない!
そうだよ、最後の詰めが甘いよね。
「ヤバい相手だよねぇ、タダの女子高生が太刀打ち出来るヤツじゃないね。」
これじゃあ教頭連れて来て、仮に体から魔物出したとしても、そこで詰んでしまう…。
「何か上手い手ないかな。」
「千夏ちゃん、こう言う時は。」
「こう言う時は?」
「アタマがくだけるだよ。」
それを言うなら当たって砕けろじゃない。
「涼華…、うん。そうだよね。悩んでも仕方ない。出たとこ勝負と行きますか。」
「ギャンブラーだね千夏ちゃん。」
教頭に井戸のことを伝えるとすぐ飼育小屋に行くとなった。
「君達、井戸のことは誰かに話したかい?」
「皆に話した方が良かったですか。」
「あの井戸は危険だから学生が行かないようにしたんだがなぁ。」
「影山小百合さんもですか。」
「何故その名前を知っている!」
「三上玲子さんからも色々聞きました。」
「どうやら君達は生きていては困る者になってしまったようだね。」
「教頭先生。いや、教頭に取り憑く魔物!」
「うっ、そこまで知っているのか。」
やはり推理通りだ。コイツを倒せば…。
その時、霊体3人が教頭を押さえ中から何かを引きずり出した。
これが魔物本体か。
「あなたが魔物の正体なの。」
「いかにも、人間どもがこの井戸に向けた負のオーラが私を生み出した。」
「じゃ、正のオーラで消せるかな?」
おいおい、そんな訳ないやろ。そんな簡単に出たり消えたりせんやろ。
「何でその事を知ってるんだ!お前霊能者か。」
マジか、いやでも正のオーラとか出せないけど。
「ねぇねぇ、魔物さんもオヤツ食べる?」
何言いだすねん、涼華。
「魔物さん、一緒に食べようよ。」
「お、美味しそうだな。くれるんか。」
いやいや、魔物のくせに仲良く食うんじゃないよ。
「オヤツ美味しいね。」
「マジ美味いなってアレ?」
あーーー、魔物消えかかってる。
「魔物さん、何か薄いね。」
「お前のせいじゃろが、ヤバ、消滅する...。」
あーあ、魔物消えちゃった。
教頭が意識を取り戻した。
「あれ?ここはどこですか?」
「飼育小屋ですが…。」
「何言っているんですか、学園に飼育小屋なんてある訳ないじゃないですか。」
「この小屋教頭が建てるようにしたと聞きましたが…。」
どうやら魔物が取り憑いた後は記憶がないらしかった。
数日後。
「千夏ちゃん、お弁当屋上で食べよ。」
「涼華、屋上好きやな。」
あれから霊になった三上・松山・土屋さんは見えなくなった。
飼育係として動物の世話もしているが、バルコがしゃべることはない。
影山さんは…。
「涼華、千夏、遅れてゴメン。」
「小百合遅いよ。」
「課題やんの大変だよ。」
最近は3人で晴れた日の屋上ランチが日課となっている。
天然少女の学園奇譚 完
涼華と千夏、そして小百合の物語はこれにて完結です。
皆様ありがとうございました。