第5話 封印されし井戸の謎 前編
登場人物紹介
間宮 涼華 天然女子高生
井上 千夏 ツッコミ女子高生
早瀬 千夏の部活の先輩
影山小百合 踊り場の大鏡に封印された学生
松山 遥 校舎屋上で窒息死した学生
土屋加奈枝 焼却炉で焼死した学生
バルコ 飼育小屋にいるフェレット。
お札で会話できるようになる。
*登場する名称等は全てフィクションです。
放課後、いつものように飼育小屋で動物の世話をしている時だった。
急にバルコが、
『涼華、ちょっといいかな。』
「何バルコ。」
『私を校舎内に連れて行ってくれない?』
「別にいいけど。」
いやいやよくないでしょ。
「涼華、勝手に動物連れ出したらまずいんじゃない?」
「じゃ、バルコ調子悪いことにして治療の為校舎で処置するってのはどう?」
「仕方ない。そうしよ。」
バルコを連れ校舎に入る。
何かキョロキョロ見回し、
『階段とかにデッカイ鏡あるかな。』
「踊り場の大鏡のこと?」
『それだな。そこ行こ。』
前に鏡の中に人影があったな。
グーパンくらわしたけど。
鏡の前に着くと、バルコがじっと鏡を見つめる。
「どしたん、バルコ。」
『涼華には鏡の中の人分かる?』
「そういや前にグーパンで…。」
『ダメじゃん、相手の話聞かなきゃ。』
「だよねー。」
『私の前足を鏡に付けて。』
涼華は言われた通りバルコの前足を大鏡に付ける。
暫くすると、鏡の奥から影が大きくなりこちらに向かって来た。
影は鏡から出ると生徒の姿になった。
「あっ、あなたは?」
「私は影山小百合。先日グーパンで気を失ってしまいました。」
「ごめんなさい、いきなりで。」
「あの、影山さん。先日は鏡から出て来れませんでしたが、何で今日は出て来たんですか。」
「その動物、ただの動物じゃないですね。」
「お札食べちゃってしゃべります。」
『アンタの気配を小屋から感じてな。』
「うわっしゃべった!」
「いやいや、あなたも鏡から登場してますから。」
「ちなみに幽霊なんですか、影山さんは?」
「生きてますよ。何か鏡に閉じ込められましたけど。」
バルコの妖力が鏡の封印を解いたのか。
「バルコ、封印を解く力とかあるの。」
『分かんないけど、何か出来そう。』
影山さんは何かあるのかな?
「影山さん、鏡の中ではどんな状況だったんですか。」
「よく分からないけど、夕方になると力が強くなる感じがしたわね。」
バルコがこっちを見る。
『涼華、この校舎の屋上と裏の焼却炉にも誰かいるよね。』
「遥と加奈枝のこと。」
「2人は亡くなっていますが、分かるんですか、バルコさん。」
『私がいる小屋の近くに、物凄くやな雰囲気の所があるんだけど。』
「立入禁止の井戸ね。」
『そこを何とかしたいけど、何人かで対処しないと無理みたい。』
まずは屋上から。
「遥さん、いる?」
「あら涼華、どうしたの。」
「このバルコが用があるんだって。」
「しゃべるフェレットね。井戸に向かうんでしょ。」
『何で分かるん?』
「この学園で最近起こる事件は、あの井戸のお札を剥がしてから発生してる。」
「事件の元凶を何とかするってことですね。」
「そういうこと。」
「じゃあ、一緒に井戸に向かいましょう。」
裏の焼却炉に向かう。
「加奈枝さん、います?」
「涼華ちゃん、どうしたの。」
「このバルコが…。」
「いよいよ井戸に行く時が来たって訳ね。」
「加奈枝さんも分かっていたんですか。」
「あそこの場所はかなりヤバいわ。十分準備をしないとやられるわね。」
影山さんが、
「あの井戸について、もう少し詳しい情報が欲しいわね。」
涼華がこっちに目配せする。アレか。
「あの、こんど校外学習で町の資料館に行くんですけど、そこで調べましょうか。」
「よろしくね、涼華さん、千夏さん。遥さん、加奈枝さん、暫く飼育小屋で待機しましょう。バルコさんの面倒と作戦は私が考えます。」
「影山さんお願いします。」
校外学習の日だ。資料館で何か分かるかな。
「涼華、準備した?」
「バッチリ、おやつ持って来た。」
「いや、おやつじゃないでしょ!井戸調べんの。」
「ああ、かわずのこと?」
「井の中の蛙じゃないのよ。立入禁止された井戸の理由よ。」
「あっ、忘れてた…。」
もう、このこったら…。
資料館に着くと結構自由時間があるので、町の歴史・事件など調べた。
何冊か見たが、井戸に関する資料・記事は無い。
「これだけ見たのに、井戸関係はないね。」
「うっ…、疲れた…。」
涼華もへたばっている。
もう無理かと思った時だった。
「涼華、これ!」
「千夏やったじゃん。井戸の事件の記事だよ。」
20年前の新聞記事、井戸での事故が書かれている。
どうやら、あの井戸は町の水源としてずっと使われていたみたい。
でも、記事によるとあの井戸に3人が転落し全員死亡と書いてある。
「3人も死んだら、かなりの霊的スポットだよ。」
「これ見て。」
数年前くらいの記事だ。
どうやら、あの井戸が心霊スポットになり、肝試しやふざけて行く者が多発し、合わせて10人近い犠牲者が出たらしい。
「かなりヤバい場所になったね。」
「霊能者がお祓いしてお札の封印もしたみたい。」
でも、何で学園はそんな井戸に飼育小屋作ったんだろう。
どうやら井戸にはいわくがあるが、それを承知で小屋建てるのはどう言うこと?
「これ以上は学校関係者しか分からないんじゃない。」
「後で先生に聞いてみよ。」
担任の先生に、井戸と飼育小屋、記事の事件について訪ねると、困った顔をしたが、話してくれた。
先生の話によると、井戸はお札で封印したので立入禁止にしそのままにしていたが、急に飼育小屋建設の話が出たらしい。
「あの時はほとんどの先生が反対しましたが、教頭先生が独断で建設を決めました。」
教頭が?何かあるな、この建設には。
第6話 予告
あの井戸では10人以上の犠牲者が。なのに教頭は工事をした。学園には何か秘密があるな。
次回 「封印されし井戸の謎 中編」
今までのキャラ総出演でラスボス?!に挑む?
最終章次回もお楽しみに。