第4話 飼育小屋のおしゃべり動物?!
登場人物紹介
間宮涼華 天然女子高生
井上千夏 ツッコミ女子高生
早瀬 千夏の部活の先輩
*登場する名称等は全てフィクションです。
この学園では色々な小動物を飼育している。
校庭の一画にはそれら動物を管理する小屋がある。
「千夏ー、何かクラスの係決めるみたいなんだけど…。」
「涼華って、そう言うの苦手そうだよね。」
「どの係もやらなくてすむ秘策ない?」
「そんなの、ある訳ないじゃない。」
この後のホームルームの時間で決まる。
担任の先生から、それぞれの係の説明がされ、順番に決まっていく。
「このまま係無しで私はいいです。」
「涼華、それ無理だよ…。」
「みんなやりたがってるから私の分あげるよ。」
「涼華、決まったよ。」
「えっ、私立候補してないから無役かな。」
「アンタ、私と一緒に飼育係。」
「えっ、チークがっかり?」
「いきものがかり。」
「私その曲好きなんだよね。」
コイツ、どうしてもやりたく無いらしい…。
「千夏ちゃーん、私動物恐怖症なんだけど。」
「そんなんないでしょ。」
「じゃ、アレルギーってことで。」
「アンタ、自分の家で色々ペット飼っているのにアレルギーの訳ないじゃない。」
「放課後世話しに行くよ。」
いつも天然ボケしてんのに、今日はマジだな。
放課後、涼華を引きずりながら飼育小屋に行く。
「千夏、今日おごるからさぁ、動物よろしく。」
「アンタも係なんだから、しっかり世話しなさいよ。」
「うっ、うう…。」
「涼華着いたよ。」
校庭の端にある飼育小屋に着き中に入る。
中には、ウサギ・ハムスター・フェレットがいる。基本小動物で、中型以上はいない。
「ねぇねぇ、千夏ちゃん。」
「どしたん?涼華。」
「このハムスター、めっちゃカワイイんだけど。」
「まあ、小動物はみんなカワイイよ。」
涼華がフェレットをガン見してる。
はて?何故にフェレットにこだわる?
「涼華、そのフェレットがどうかした?」
「千夏、この細長いヤツ何ヤツ?」
「フェレットってイタチの同種らしいよ。」
「はいたっち?」
まあ、早く世話しよ。
「涼華、いつまでもフェレットとにらめっこしてないで、早く世話してよ。」
「ねえ、千夏。」
「何、どうしたの。」
「フェなんとかってしゃべるの?」
はっ?ここの動物がしゃべる訳ないじゃない。
「涼華、サボりたいからってまた変なこと言わないでよ。」
「このフェなにが、お腹空いたって。」
「そりゃ、早く餌やらないとダメじゃない。」
「フェなに、背中かゆいって。かいてあげる。」
涼華、何フェレットかいてんの。
「アンタ馬鹿なことしてないで早く他の動物も面倒みなさいよ。」
「このフェなに、バルコって言うんだって。」
「名前なんて書いてある...?無い!ネームプレートが無い。」
「涼華、どうして名前分かったの?」
「バルコが自分で言ってた。」
なに?マジでフェレットと会話してる?
バルコに近づきよく見る。
『アンタらが新しい飼育係か。』
「動物がしゃべった!」
「さっきからバルコ話しているよね。」
おいおい、涼華ったら何動物と話してんの?
おかしくない。
「何でアンタしゃべれんの。」
『この学校に来た時は話せんかったけど、少し前から話せるようになった。』
「前任の飼育係は?」
『嬉しくなって話した途端、全く来なくなった。』
そうか!だから係決める時、飼育係が一番最後まで残ったのか。おかしいと思ったよ。
普通、カワイイ動物の世話なら希望者がいても不思議じゃない。
「ところで、バルコ。アンタ以外の動物も話せるの。」
『どうやら、話せるのは自分だけかな。』
「何か変なもんでも食べた?」
ここの小動物には指定されたフードしかあげない決まりだ。
『そう言えば、アレだな。』
「何アレって。」
「ヤギと間違えて紙でももらって食べたの?」
んな訳ないじゃろ。どうすればフェレットとヤギ間違うんじゃ。
『そうそう、紙食べた。』
食べたんかい!お前はヤギか?
「何で紙なんて食べたの。」
『食えるかなーって...。食べちゃった。』
「ダメでしょ。そんなん食べちゃ。」
『アンタ、フェレットに高度なこと求めちゃいかんよ。』
「そうだよ千夏ちゃん、バルコなんだから。」
いやいや、バルコなんだからじゃない。
こやつらアホか。
その後も涼華とバルコのやり取りは続いた。
他の動物の世話は終わらせた。
「涼華、最後バルコの世話したら帰るよ。」
「バルコ、明日も来るね。」
『おう、涼華。楽しみに待ってるぞ。』
そう言えばバルコが何かの紙食べてからおかしくなったみたいだから、その辺早瀬先輩に聞いてみるか。
翌日、昼休みに早瀬先輩に飼育小屋に関して聞いた。
「あそこの飼育小屋は最近出来たの。」
「じゃあ、小屋が出来る前って何かあったんですか。」
「立入禁止の井戸があったかな。しかもお札が張ってあったらしいけど。」
「そのお札って?」
これ以上は早瀬先輩も分からないみたい。
涼華にこのことを伝え、放課後飼育小屋に行くことにした。
「ねぇねぇ、バルコ。」
『なんじゃ涼華。』
「アンタの食べたのお札?」
『お札かどうかは分からんが、何か書いてあったみたいだな。』
「バルコ文字読める?」
『んな訳ないだろ。学園にいるけど生徒じゃないからな。』
「サボりだね。」
いや、サボってないから。タダの飼育動物だから。
どうやらバルコは井戸に張られたお札を食べ、話すようになった。しかし、そもそも何で井戸にお札を張らなければならなかったんだ?
そのお札の威力は動物が会話をするくらい強力であることを考えれば、井戸の中は相当ヤバいんじゃないか。この一件、まだまだ何かあるな。
第5話 予告
学園の井戸に何が?校外学習で訪れた資料館で明かされる衝撃の事実。
次回 「封印されし井戸の謎 前編」
涼華とバルコの新コンビ、楽しみですね。
一方千夏が踏み込む謎。
次回からいよいよ最終章突入です。
ではまた。