第3話 妖煙?!焼却炉の謎?
登場人物紹介
間宮涼華 天然女子高生
井上千夏 ツッコミ女子高生
早瀬 千夏の部活の先輩
*登場する名称等は全てフィクションです。
午前中の授業で習字をしている時だった。
「千夏、ちょっとその墨取って。」
「ほいほい、これね涼華。」
千夏が墨を渡そうとした時だった。
「あっ、ヤバ!」
「どしたん?涼華?」
「墨…、こぼしちゃった…。」
あーあ、半紙の束がぐちゃぐちゃになってる。
とりあえず片付けてっと。
「涼華、こんなにあるとゴミ箱入りきらないよ。」
「確か校舎裏に焼却炉あったよね。」
「しゃーない、行きますか。」
涼華と千夏は紙をまとめると校舎裏に向かった。
「千夏、この焼却炉って何かいつも燃やしてない?」
言われてみれば、掃除の後ゴミ持ってくるけどいつも燃えてるな。
「涼華は火消えているの見たことある?」
「あたしゃ番人じゃないから分からんね。」
焼却炉の番人何て聞いたことないわ。
「あんたに聞いたあたしが悪かったよ。」
「涼華、私放課後部活だから早瀬先輩にちょっと聞いてみるね。」
放課後、部活が終わり他のメンバーも一緒に雑談している時だった。
「早瀬先輩、ちょっと聞きたいことがあるんですが。」
「何?井上さん。」
「校舎裏に焼却炉があるじゃないですか。あれ、何かいつも燃えているんですが、消えることあるんですか?」
瞬間、全員黙りこんだ。
一年生は何?って感じだが、先輩たちは明らかにヤバいって雰囲気だ。
「井上さん、見たの?」
「へっ?何をですか?」
「知らないなら、関わらない方がいいわ。」
そう言われると気になり過ぎる!
「早瀬先輩、教えて下さい。今後もあそこ利用するんですけど。」
先輩たちは、暫く黙っていたが早瀬先輩が話し出した。
「何年か前の話だから、私が直接見た訳ではないんだけど、あの焼却炉で事故があったのよ。」
「どんな事故だったんですか?」
「詳しい状況は分からないんだけど、生徒が誤って焼却炉で焼死したんだって。」
「焼死ですか!」
「何かそれから先生方が火を消そうとしても消えないみたい。」
「それじゃ、亡くなった生徒が燃やし続けていると?」
先輩たち全員黙っている。大変な事件だったんだろう。
「あの焼却炉使うとダメですかね。」
「何か燃やす分には問題ないわね。」
「じゃ、消そうとするのは?」
「昔、無鉄砲な生徒が消そうとしたみたいだけど消えなかったし、その生徒その後姿を見なくなったって噂よ。」
まっゴミ燃やす分には大丈夫そうだから、火を消さなければいいかな。
翌日、
「ねえねえ、千夏。先輩から焼却炉の話聞けた?」
涼華が脳天気に聞いてくる。
昨日の先輩の話をし、
「涼華、くれぐれも火は消しちゃだめだからね。」
「ねぇ、千夏。」
「何、涼華。」
「放課後、焼却炉の火消すよ。」
消したらアカンやつだろ、人の話聞いとんのか?
涼華に話すんじゃなかったよな…。
放課後、涼華と千夏は焼却炉に向かった。
「涼華、消すの止めようよ。」
「千夏、火のつけっぱなしはダメだよ。」
そういう問題じゃない。
ダメだ、コイツに何言っても無駄だった...。
「相変わらず燃え盛っているねぇ。」
「焼却炉だからね。」
「じゃ、早速消しますか。」
マジ消すのヤバいよね。
先輩たち、かなりビビっているみたいだったし。
あっ、涼華水ぶっかけてる!
火が弱まって消えそうだ。
「火消えそうだね。」
「消さなきゃね。」
その時だった。火が弱まると同時に大量の煙が出て来る。煙の形が何か人の影みたいに見える。
「涼華、あれ!人の形してない?」
「噂の生徒さんですかね、千夏君。」
あんたは探偵か!毎度アホなことばかりして。
『誰?消そうとするのは!』
「この天然生徒です。」
「そう、私がかの有名な…。」
「普通の女子高生でしょ。」
「千夏ちゃーん、ここはビシッとキメなきゃ。」
何したいの。状況分かってんの?
『そこの天然か!消そうとするのは!』
「あなたはどうして燃やし続けるの!焼き芋でもしてるの!」
こんなとこで焼き芋するヤツなんかおらんよ。
『どうして焼き芋してるの分かったの?』
なにー!やってんのかい?焼き芋?!
「うまく焼けてる?」
『もうちょっとって感じかな。』
「焼けたら一緒に食べない?」
『いいわね、半分こよ。』
いやいや、焼き芋なんてどーでもいいよ。
この霊なんでこんなことになった?
「あの、幽霊さん?」
『はっ?私幽霊かもだけど、土屋加奈枝って名前あんだけど。』
「あの、土屋さんはどうして亡くなったんですか?」
「早く焼き芋食べようよ。」
「涼華は暫く黙って!」
この天然少女はいつもいつも…。
『私、放課後に焼却炉でお芋焼くの楽しみだったんですよ。』
「芋焼くのはいいですが、なんでこんなことに。」
『その日は風が強く、火の勢いが凄くて芋が灰になりそうだったので取ろうとしたら、私に引火しました。』
いやいや、アホ過ぎるでしょ。何か他に出来なかったの。
「加奈枝ちゃん、分かるよ。芋の焼き加減重要だよね。」
『涼華ちゃん、分かってるじゃない。』
あたしゃ分からんよ。天然界隈しか共感できんよ…。
「それで、焼き芋が焼けなくなるとイヤなんで火をつけ続けているんですね。」
『そうですよ。それが何か?』
何かこの学園の事件、真相聞くとアホらしくなるの私だけだろうか。
その後、涼華・千夏・加奈枝の放課後焼き芋ライフが始まるのだった。
第4話 予告
学園の飼育小屋の動物って可愛いよね。
何か思わず話かけたくなっちゃう…って、話しているんですけど!この動物?!
次回 「飼育小屋のおしゃべり動物?!」
階段踊り場の大鏡、校舎屋上の地縛霊に続く焼却炉の霊。ちょっと奇妙な七不思議まであと…。
次回またお会いしましょう。