第1話 奇妙な学園?!
学園七不思議って昔からよくありますが、本当の奇妙な出来事って案外身近にあったりして…。
のんびり主人公による新シリーズ開幕です。
*作中の名称は全てフィクションです。
今日からこの学園で私の新ステージが始まる!
私立羽村高等学園。少し都会からは離れているが、生徒を伸ばす教育が評判だ。
1年生として入学した間宮涼華はこれからの学園生活に期待した。
登校し始めてから数日が経ち、仲の良い友達も出来た。
「涼華、お昼一緒に食べよ。」
陽キャの千夏がやって来た。
井上千夏は家も近く、入学後よく2人で帰る。
「あっ、千夏…。お弁当忘れた…。」
「涼華、相変わらず天然やな。」
そうなのだ。何か肝心なことをいつも忘れたりする。
「あのさ、涼華はこの学園の噂とか聞いた?」
「噂ってナニ?」
七不思議とかかな。
「校内で、何か不思議なこと起こるらしいよ。」
「ナカフシギ?」
「何ボケてんの。七不思議じゃないらしいけど、先輩大変だったみたい。」
2人で放課後、先輩に話を聞くことにした。
千夏が入っている部活の先輩、早瀬さんに話を聞くことになり、部室に向かう。
「早瀬先輩、友達の涼華にも話いいですか?」
「千夏のお友達ね。ちなみに怖い話は大丈夫?」
「後輩の話ですか?大丈夫かと...。」
「後輩じゃなくて怖いやつね。千夏の話通り天然ちゃんね。」
早瀬先輩、やれやれって感じ。
「何が起こったんですか?」
「私も詳しい事象は説明出来ないんだけど、階段の踊り場にある大きい鏡分かる?」
「あの鏡、ちょっと汚れてましたね。」
そう言うことじゃないって感じで千夏が睨む。
「放課後、部活が終わって帰る時にあの鏡の前を通ったの。」
「先輩の姿が普通に鏡に映ったんですよね。」
「それなら、不思議じゃなくて当たり前になるわよね。」
そりゃそうだ。話が終わってしまう。
「鏡って色んな物を映すから、多くの人が行き交う学園なら何か起きても不思議じゃない。」
一体鏡に何が起こった?
「そう言えば、鏡って異界と繋がるとか言われますよね。」
「引き込まれそうな感覚もあるけど、自分以外のモノが映ったの。」
え?何て?鏡に自分が映らない?←そうじゃないでしょ。
「鏡に自分じゃないモノが映るってどゆこと?」
「だから不思議なのよ。違う何かが映ったのは他にも何人かいるみたい。」
「先輩、鏡の前で変身したんですか?」
「涼華、そんな訳ないじゃない!」
千夏…、天然な私を許して...。
翌日昼休みに大鏡の前に来た。
「これが変身する鏡か…。」
「変身じゃなくて別の何かが映る鏡ね。」
千夏は鏡の周りを調べる。
鏡には私と千夏が映っている。
「やっぱ普通の鏡だよね。」
「今は、ね。」
今?じゃあない時がヤバいの?
「昨日先輩も言っていたけど、部活終わりの時間だよ。」
「夕方ってこと?」
「そう。何か調べたら『逢魔が刻』とか言うらしい。」
「『お馬がトキ』?馬が鳥になっちゃうの?」
「何ボケてんのよ。魔物に会う時間って意味らしいわ。」
へぇ、そんな時間があるんだ。
「毎日、妖怪さんが来るんだ。」
「本当ならちょっと怖い感じじゃない?」
うち、ワクワクすっぞ?!
「何か楽しそう。」
「えっ?涼華そう言う趣味あったの?」
千夏が、こいつヤベーみたいな顔で見てる。
いずれにしても今は何ともないから、放課後また来よう。
「やっと授業終わった…。」
「あんた寝てたじゃない。」
「千夏、『寝る子はソバ打つ』って言うじゃない。」
「それを言うなら寝る子は育つね。ソバなんか打ってどうすんのよ。」
やれやれだわ。そんなやり取りをしている時だった。
「ねぇ、千夏?何か鏡変だよ。」
「どしたの涼華って、何~!」
鏡が歪み始めた。
「私、まだ寝ぼけているんかな?」
「そうじゃないでしょ!何か異変起こっているよ。」
先輩が言ってた自分以外の何かが来るのか?
「ねぇ、千夏は霊能力とか持ってる?」
「そんなのある訳ないじゃない!」
そりゃそうだ。タダの女子高生だもんね。
「何が出るかな、何が出るかな?」
「あんた、こんな時も変に余裕かましてるね。」
本当に出たらヤバいはずなのに、期待している自分がいる。
「ねぇ千夏。魔物ってサインくれるかな?」
「へっ?何でサイン?アイドルとかじゃないんだよ。」
「でも、涼華のそう言うとこが好きなんだよねぇ。」
千夏がニタニタしてる。
2人がお馬鹿なやり取りをしていると、鏡の中央に黒い影のようなものが現れた。
「ねぇ千夏、あの人じゃない?」
「何か誰かの影映ってんですけど。」
黒い影は段々大きく近づいて来る。
「ねぇ、涼華ヤバくない?」
その時だった。
いきなり涼華が影にグーパンチをくらわせた!
「へっ?」
いや、あんた何しとる?って感じで千夏が驚いている。
影はみるみる小さくなり、鏡には2人が映っている。
「ちょっと涼華、何やってんの。」
「つい手が…。」
手がじゃない。よくあんなことするなと千夏は呆れ顔だ。
「何かあの黒いの弱っちい。」
「いやいや、強弱の問題じゃないから。」
「千夏、帰りにカフェでも寄らない?」
「あんたって人は…。やれやれだわ…。」
こうして涼華と千夏の奇妙な学園ライフは幕を開けた。この学園にはまだ不思議なことが起こる...かもしれない。
第2話 予告
校舎の屋上で食べるお弁当って何か美味しいよね。でも、この学園の屋上は要注意?!
次回 「摩訶不思議な屋上の謎?!」
涼華と千夏の迷コンビ誕生です。まだまだ何か起こりそうな学園ライフをお楽しみ下さい。
リアル脱出ゲームで77不思議を解いた作者でした。(多すぎじゃん)