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落下する。天国に。
落ちてゆく、天国に向かって。
たった5秒ほど。
何もわからなくなった。
嫌味な夏の空。
明日、隕石でも降ればいい。
核戦争でも起きればいい。
両親の罵声。
教師の小言。
低俗な同級生。
全部、全部、滅べばいい。
生きたくないと言うために。
息を吸う。
そんな矛盾。
逃避欲が心を支配する。
窓から西陽さす。
浮ぶ免許証。
黄昏時に酒を買う。
高いところへ登る。
屋上はただ凪いでいる。
夕暮れに包まれ、下戸であると知る。
酒が錯乱をもたらす。
生きているという自覚が芽生える。
手すりに掛けて。
気分がいい、笑い声が漏れる。
勇気が湧いてくる。
人生17年、最も輝く瞬間に。
生きるためにいくのだ。
飛んで、落ちた。
何も見えなかった。
紙切れひとつあった。
-生きることは死ぬことで、死ぬことは生きること-
-勝手に生まれるのなら、勝手に死ぬべきだ-
遺書だと解釈された。