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夕景に落下する
夕景に響いている蜩は、どこか滅びの歌に聞こえる。
貴方は呟くように言った。
自己の性質に、首を絞められている貴方の諦観の言葉。
わたしは、そんな貴方を世界から連れ出す。
決意は目を通して渡され、夕焼けみたいな表情の貴方が首肯する。
色白な小さな手に、私の手を、重ねて、絡める。
朱色に染まる世界に、2つのスカートが揺れる。
ゆらり、ゆらり、舞う少女。
不良少女が二人、どう生きる。
滅びの歌が鳴り続く。
不良なのは世の中であると二人っきりで叫ぶ。
滅びの歌は、遠くで鳴っている。
走る、走る、走る、走る、走る。
滅びの歌は、どんどん遠くなる。
丘に出る、道が開ける、朱色の光がさす。
その光に、崇高な魂が2つ、飛び込んでいく。
天国へ落下する、手を絡めたまま。
滅びの歌が、また近くで鳴り始める。