#2、ざわざわ
台詞から始まる以外どう書き出せばいいかわかんない
「...意味わかんねぇよ」
亀裂から出てきた自称進行役を名乗る者の次の注目の的となった、ちゃらそうな男性がそう吐き捨てた。
....イケメン、
一番の印象はそれだった。あ、背も高いじゃん。あそこ周辺で頭一つ出てるし。
「GFG?...の進行だとかどうでもいいんだよ!!さっさと家帰せ!」
なにもないこの空間で、声は響いた。彼と結構の距離があるボクのところにも声が届くほどに。そうとう頭にきてるのだろう。
この男性の発言をきっかけに一部、発言に対する共感者がそーだそーだと声を上げる。反対の声に反論する、というよりかは他人事にように進行役は口元に人差し指を立て、落ち着いた様子で口を開いた。
「お静かに。家に帰りたいなら、そこから落ちれば帰れますよ。」
進行役はスッと緩やかに手を突き出し、人差し指を口元から前に立てた。
その先にあったのは───
「....は?」
一瞬にして騒がしい空気が凍った。
指先をたどった先にあるのは、明らかに地面からそれた空を指していた。
男性の困惑の声が氷をわり、再びざわめきが場を包む。が、先程の不満の騒がしさはない。
「それって...」
うーさんが、驚いた顔をこちらへ向け確認を取るように言う。ボクは口の中の唾を飲む音で返事をした。肯定でも否定でもない、別になにか意味がこもっているわけでもない返事。息を呑む。自分が感じた恐怖を、行動で無意識に示した。
「──身体を失いますが。」
ニヤリと笑うその笑顔に、人の心があるとは思えなかった。ぞっと背筋が凍るような笑顔。笑顔に対する明るい印象が覆される。
「...な、なにいってんだ、!そっから落ちたら死んじまうだろ!」
「死にたくないですか?」
冷たい笑顔のまま進行役は言った。
「あ...?あたりまえだろ」
男性の頬がきらっと一瞬小さく光る。戸惑っているようにしか見えなかった。
「じゃぁ、もう引き返せませんね」
流れるような会話で、「もう引き返せない」ことが示される。もうこの状況を変えることはできない。自分の身を自ら捨てない限り、もう後戻りはできない。そういう意味なんだろう。そこまで帰ってほしくないのにはなにか理由があるのかな。極度な寂しがり屋か、かまちょか...
「そんなのはどうでもいいのです。Gunfight GP、略称GFG。詳細の説明とチュートリアルを開始いたします。」
*
「では改めて、皆さま、ようこそGFGへ。まずは、この理不尽なゲームへのご参加、心より感謝申し上げます。ささやかではございますが、御礼金として、10万円をお受け取りください」
相変わらず、微笑みの表情は変わらず、口だけが淡々と動き、言葉を発す。その言葉でさえも冷気を帯びているようだった。
...............。
「...???」
何度目の間、何度目のざわめき。繰り返すこの一連にも慣れてきた。というより、この状況でそれが普通という感覚。
───何も起こらない。
謝礼金のことはスッポ抜けて、何も起こらない事実に対して戸惑う。
「あ、手渡しではありません。貴方がたの口座に直接振り込ませていただきました。」
「へ??」
何を言っているのか。意味がわからない。ていうかもう最初っから意味がわからない。でも、どうせでたらめでしょ。というわけにはいけない。今までの言動、状況がすべて普通ではないからだ。自分達の価値観で物事を決めていては、あっちの常識とすれ違う。
じゅねさんがスマホで自分の口座を確認している周りの人達を真似てスマホを取り出しているのをボクも真似してスマホを取り出す。
「...あれっ、スマホ...」
ズボン、パーカーのポケットの中はそれぞれの布の素材の感触だけ。
........あー...
テレポートされる前、自分の家の部屋で配信しているときのこと。いつも使う、今配信でも使っているデスク。パソコンとか、モニターとか色々おいてある。そのデスクの橋にあるコンセントに刺さった充電器が充電していたのは自分のスマホ。テレポートはいきなり。いつの間にかここに連れてこられた。一瞬気づかなかったというほど。言葉通りいつの間にか。スマホを取るなんてできっこない。
つまりだ
「あ、スマホ家か」
「じぶんも」
じゅねさん以外皆スマホを持っていなかった。
「配信見てたから...」
「あ、そっか」
じゅねさんのスマホを4人で覗き込もうとしたのを金額を知られたくなかったのか、じゅねさんの手が防いだ。そして所持金が上がっていることを告げられる。そうなるとボク達の口座にも振り込まれているのだろう。
プライバシー。じゅねさんが気にしたもの。進行役は一斉に各プレイヤーの口座情報を把握、振り込んだ。やっぱり普通じゃない。プライバシーの保証がされない、あってはならないことなのではないか。口座の他に、自分たちの情報が握られているとしたら、相当まずいのではないか。
そんな事を考えているとふとまた、あの進行役の声が響いた。
「 GFGとは について、説明しますね。一言でまとめますと、銃を使ったバトルロワイヤルです。」
今までで一番の騒がしさだったのだろう。視界の中で人々の頭が一つの生き物のように蠢いている。
一番のざわめきのはずが、ボクには一番小さく聞こえた。
「あぁ!?」
「バトロワってさ...あの、最後の一人まで戦う的なあれでしょ、?」
「そんなことに命かける義理なんてないんだけど!」
今までと違うのは人々の声の大きさだけじゃないようなきがする。これまでの、疑問や困惑、恐怖のような感情は少なく、怒りの声が圧倒的に大きい。バトルロワイヤルなどと馬鹿げたものに、強制的に集められ、個人情報を握られ、命を手の上に転がされているのだから。
怒りの声が響く中、青りんごさんが、ボクの服の袖をぎゅっと掴んだ。
「大丈夫、大丈夫....私達は死なない」
彼女の勇ましく頼れそうな声とは反面に、表情は暗く、怯えているように見える。だが、裾を握る手は声と同じ強さを感じた。
じゅねさんが、静かにスマホの画面を閉じ、こちらに顔を向ける。
「...どっからそんな自信が湧くんだよ」
冗談が含まれているセリフ。ツッコミ...のつもりだろうか。
「大丈夫だよ!私達はっ」
ボクと青りんごさんの肩に腕と体重を勢いよくかけてうーさんは引きつった笑顔で言った。
「でもボク銃使ったことな──」
「それでは、チュートリアルに進むために、4人のチームを組んでください。」
ボクの言葉を遮って、再び進行役のスピーカーでも使っているかのような大きな声が響いた。
「このチームは後のGFGでも同じメンバーになりますので、よく考えてください。」
──4人のチーム。
「「「「.....」」」」
──4人。
ボク、青りんごさん、うーさん、じゅねさんの4人の目が合う。
「妙にぴったりですな。」
「このメンバー同士争わないでいんだね」
青りんごさんのこの一言に、温かみを感じた。皆して唯一の安堵の息が漏れる。
「皆さんチームを組めましたでしょうか。」
進行役の問に声や行動にして答えるものは60人誰一人といなかった。だがそれは、「否定」というわけではない。また「肯定」と捉えられることもない。
チームを組み終え、その場で何もせず、他のチームが組み終わるまで静かに待つ者。周りにメンバーの不足している人がいないのか、孤立していたり、あと何人かで立ち止まっている者。これまでの静寂とはまた異なり、人々は言葉を発さず、チーム結成のためのメンバーを探しているらしき人の足音や、服が擦れる音、呼吸、鼓動。張り詰めた空気がどうしようもなく強調され、居心地が悪くなるようで今すぐに逃げ出していしまいたいほどに。
ある程度音が止まる。空間には呼吸と心臓の鼓動のみが残る。
「──では」
しんとした場を肯定とみなしたのか、進行人が口を開く。先程のは行動で否定を示していたのか、単なる無視なのかはわからない。
でも今わかっているのは
「これからチュートリアルを開始いたします。」
やっぱ書いてると思うのが一番最初の頃の表現仕方?下手すぎて。今はうまいとは言わんけど。恥ずかしい。でも今更書き直すのもね




