#1、GunFight GP
初めまして!初めての作品です!!楽しんでいただければ嬉しいです。
「どうだ、来夢」
普通の住宅よりはやや大きい、木造の建物。麩を開けるとすぐ庭が見える。そんな開放感ある廊下にカチッと、その廊下の見た目には似合わないプラスチックの音がなる。直後、先端に吸盤を持つ棒状のものが空のペットボトルを弾く。
音の正体、リボルバーを模したおもちゃを構える幼い少女。彼女が放った弾丸は、見事 的のペットボトルに命中した。
「射的は楽しいか?」
20代前半の様に思える男性の声色。しかし、見た目もその声質に比例するわけではない。30代後半。見た目は、彼の年齢を言われて納得する。そんな男性は、来夢の父親であった。
「うん!」
来夢に射的を勧め、おもちゃを買ってやったのは父だ。彼自身、射的,銃を扱うのは得意分野であり、それが彼女に遺伝したのだ。
「今のうちに磨いとけ。そしたらこれを金に出来る大会がある。」
首を傾げる。勿論、彼女は一切の理解をしていない。そしてこのことは、父も踏まえている。
その上で
「この話は忘れていい。」
覚えているだけでいい。
「けど」
「お金に困ったら、思い出してご覧。」
*
八板 来夢。それがボク、学校には通っていない中卒野郎の名前。一応16歳。特にアルバイトも就職もしていないので、要するに中卒ヒキニートってやつだ。
小さい頃から絵が好きで、人並みよりは上手く描けた。今じゃそれをお金にしてる。いや、訂正する。お金にしようとしている。
ボクは今、イラストを描いてSNSに投稿してを繰り返している。フォロワーは多くはないが少なくもない。具体的な数字は覚えていないので聞いちゃだめだ。
「....よし。」
一週間前から描き始めているイラストが完成した。よれよれTシャツを身に着けて、片手ピースにウィンクしてるボブの女の子を描いた。我なが良い作品ができた。これでも傑作。
後は今握っているペンをおいて、手元にあるマウスの左クリックを「カチッとな!」と投稿をクリックするだけだ。投稿したと後はもう寝ようかな....。もう遅いし。
ボクはベッドにボフンと勢いよく飛び込み、心地よくひんやりと気持ちいいお気に入りのタオルケットにくるまった。
「御目出度う御座います。」
見覚えのない場所に、甲高く響く声。
誰だろう...。女性かな?...まぁどっちにしろこんな場所も声の持ち主も私の眼中にはない。
「貴方は今この瞬間、プレイヤーとして選抜され、『Gun fight GP』にエントリーしました。」
Gun fight GP?What that?またもや、記憶にないものがッ....!!
記憶にないものの連発に戸惑っていると、女性は慣れた手つきで宙に浮かぶ半透明のタブレットらしきものを閉じた。それと同時に、女性のは以後に影が現れる。
...気づかなかった。いや、見えなかった。小柄な女性にぴったり重なるあのマントはありえない。明らかに、今目の前にいるマントは、何もない空間から出てきた。
深く被ったフードから見えた顔部分には仮面があり、そのマントはついっと顎に手を当てる。その目には白く眼光が輝いてた。
ボクは、大人しく自分の感情に従い、声を出して驚いた。
「うわぁ!?」
目の前にある光景は、ボクが見たあの、女性や謎の黒いやつもいない。ただ、いつもの自分の部屋があるだけ。要するに、ボクは自分が夢を見ていたことが分かった。
タオルケットは、ベットから飛び出しており床に散乱している。にもかかわらず、Tシャツ一枚の体には、びっしょりと汗をかいていた。キモチワルイ。
「夢か....うおっ。汗だくじゃん。着替えてこよ」
...あれ、どんな夢だっけ。
ピコン、ふと背後でLI〇Eの通知がなる。
「@Gun Fight GP」
「え!?」
ボクは、壊れてもおかしくないほどの速さで乱暴にスマホをつかみ取ると、驚くままに叫ぶ。
「な、なんか昨日描いた絵がすんごいことになってるー!?」
注意を惹いたのは、「GUnFight GP」からのメールではなく、その下にずらりと並んだボクが描いた絵に対する好評のコメントだった。
....おいおい。まじかよ。収益化も夢じゃなくねぇじゃねぇか!?
「ちょッ、パソコンパソコン。」
こんだけ いいね ついてるなんて今までないよ!1つや2つ依頼のコメントあるだろう!いや、10件以上は行っていてほしいなぁ~。10万件以上あるけど、全部確認してやる。
*GunFight GP からのメール
「@GunFight GP
GFG開催:この度あなたは、選抜により「GunFight GP」にプレイヤーとしてエントリーしました。ご参加は、絶対ですので、ご注意を。
~省略~
本日「GunFight GP」は、今日の21時に開催いたします。時間になりましたら、会場へ強制的にテレポートしますので、心配は不要です。ゲームのルール等の詳細は会場にメンバー60人がそろい次第、説明します。」
ボクはこの内容を知るのはまだ先の話だった。
*
「 もちもち さんこんにちは~」
ボクは今、配信中である。一応、Y〇uTuberもやってはいる。登録者数は多くはないが少なくもない。具体的な数字は覚えていないので聞いちゃだめだ。ちなみに、あの10万件あったコメントは全て確認済み。その流れはこうだ。
7:00起床、すごいこと確認。パソコン開いて10万件のコメントを見た。....ざっとこんな感じ。で、確認した後すぐ配信を始めて、今が、20:30。配信始めたのは、1時間前の19:00で.....。
うん。12時間かかってる。なのに、依頼のコメントは一つもなかった。どうして。
「あ、昨日の絵見たの?....みんな早くない?一晩で。」
SNSって恐ろしい....。ん?まてよ、こんなにも見てくれてる人がいるんだから、勿論知名度も爆上がり、今も少しずつ、いいね は増えていく。....もしや。
「これで有名になってがっぽがっぽも夢じゃないのでは....ッ!?」
『ない』『それはない』『まだ夢だな。』『早まるな!!』
「ひどッ。」
ボクの視聴者は、そんなにも冷たい生き物だっけ。
ふと、一つのコメントを見つける。青りんごさんからのコメントだ。その時ボクは、そのコメントがスポットライトが当たっているように見え、さらにぬくもりを感じた。
『私は、いけるんじゃかなと思よ?』
「思よ?」ってなんだよ。
「あ~~ッ!!『青りんごさん』ッ!!よしっ、名前覚えたぞ!!」
『何ッ!?名前覚えただと!?』『俺モイケるㇳ思うヨ!(名前覚えてもらいたい奴)』
えぇ?なんだい。君たち。可愛いところもあるじゃないか~。
「ん?」
あ、青りんごさんからまた、コメントが。
「なになに?『そんなことより、聞いてほしいことがあります』....ハイなんでしょう?」
「『GunFight GP ってご存じですか?』」
「....ッ!?」
凍り付く。目は見開き、口をあんぐりと開けた状態にある。閉められない。....知らないはずだ。どこかで聞いたことがあるようなー....うーん。
だが、次の瞬間吐き捨てられる言葉に、このボクの記憶にかかる霧ははれることになる。
「『今日の夜に夢でたんですよ。そのときはただの夢だと思ったんですけど。すぐに通知が鳴ったと思ったら、その夢で聞いた名前の「GunFight GP」からのメールが届いてて....』」
....夢。ハッ!!
もう一度頭をめぐる。完全に晴れた記憶を邪魔するものは今ない。夜見た夢が。見た夢そのまんまが再生される。
「ボクもそれ夢で見た!」
『ウソォ!?』『まじか』
「なんか、マントと仮面かぶった、中二病っぽい透明人間がいた!!」
『@青りんご:そそそ。』『そーなの!?』『ウソだな!』『ウソじゃないのか。』
「あ、これは。なんだ?同じ夢を見たということでいいのかな?」
どのくらいの確立だろうか。ちょっと調べてみよう。
だが、その手は青リンゴさんの手によって止められる。
「あれ、また。...えっと『例メールは見ましたか!?』」
「いえ。」『なんでだよ』『いいねとともに視界に入るだろうが』
「『そのメールによると、ゲームには強制的に参加させられて、9:00にはテレポートするって!!』」
『『「....え。」』』
コメントとも重なった言葉と一緒に一瞬、時間は止まる。動き出した時の最初の言葉はこうだ
『いや、とんだ茶番じゃねぇか。』
『『「....え?」』』
繰り返す
「だ、だよね!いたずらだよねこんなの.....ハハハ。」
『なーんだ』『@青りんご:じゃぁ見た夢は何だったんだろうか』『新たな、来夢伝説できた。』『よかったネ』
みんなが口々にコメントする中。もちろん時は進む。今針が示す時間は「19:59」秒単位は59秒。時既に遅し。今この瞬間針は動き出し。1秒が経過してしまった。
....あれ、今21:0...
この配信から、ボクと青りんご、他数名がこの場から消えた。
『え?』『来ちゃんいなくなった。』『マイク切れた?』『なんか同時視聴者数減ってね?』
一応、主人公は女性です。一人称「ボク」だから勘違いしないようにね。