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プロローグ
人が復讐を志すのはどんな時だろうか。
いじめを受けたから?大切な人が殺された、あるいは傷つけられたから?プライドを踏みにじられたから?理由はさまざまだ。
復讐は、子供同士の喧嘩で見られる「仕返し」とやってることは変わらない。大人同士の醜い争いだ。所詮そんなものだ。
みっともなくて情けないもの。
アホ臭くて馬鹿馬鹿しいもの。
何も生まない無益なもの。
そんなことは知ってる。もう身をもって味わった。
けど、俺はそれを知った上で復讐をすると決意した。
過去の失敗から学べない俺は、なんて救いようのない奴なんだろうか。…それでも良い。
例え無益だったとしても、それで何か心に新たなものが生まれるのなら、構わない。俺はそうやって決意した。
決行は明日。毛布にくるまりながら何度もシミュレーションする。こんな時でも冬の寒さを感じてるのが異常に思えてくる。
落ち着いて眠れる最後の夜を噛み締めるよう、俺はそっと目を閉じ、明日を待った。