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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある王国の側妃の嘆きの独白

作者: 由真

 どうして私があの人たちを殺したかって?

 ええ、どうしてと言われましても困ります。

 殺したいから殺したかったのです。


 私はある王国の側妃でした。

 ご存じですよね? 

 ああ、知っているから尋問している。ですよね。

 私はいつもあの王をいつ殺そうかと思っておりました。

 え? 殺そうとしていたのは先ほど聞いた、しかしどうして?

 はい? どうして王の正妃や幼い王女、王子、晩餐会に来ていたほかの……。

 王族を毒殺したのかって?


 ええ、ああまあそれは……。

 幸せそうで、見ていて腹がたったからです。


 私はね、あの王国で存在しないといわれる毒使いの一族でした。

 ああ、知っている。はい。

 私はそこであらゆる毒に耐えうる体質を持つ娘としてあの王に差し出されました。


 ああ、約束でしてね。

 知らない? それは、三百年ほど前……。


 戯れに王が毒使いの娘の一人に手を出して、生まれた赤子がおりました。

 処分に困り、毒殺しようと、あらゆる毒を試しましたが死ななかったんです。

 そこからあらゆる毒に耐えうる体質を持つ人間が存在することになりまして。王族と毒使いがまじわるとそんな体質の人間が生まれるようですね。


 ああ、毒に耐えうるとは、それは毒を受け付けないということで。

 かなり重宝されたようです。あらゆる毒に対して実験されました。

 ずっとずっと実験され、その娘は、そして最後の実験で、王族の一人とまた……。

 そして生まれた娘もまた同じ体質を持ちまして。


 そこからはあらゆる男とね、そして生まれた子供同士をかけあわせ、たくさんのそう……。

 毒に耐えうる呪われた子たちが出来上がりました。


 その末裔が私。

 王はその体質の娘を、己の子孫に与えるよう約束を毒使いの一族としたのです。王族と毒使いが交わり続けないとあらゆる毒を受け付ける人間がいなくなりますから。


 そして数百年たち、私が今の王の側妃となりました。


 私はまだ十四、王は四十五、親子ほど違う相手で、初めての夜は地獄でした。

 ああ慣れたらそうでもなかったですが。

 そして私の一族のなかでは、赤子のころ金で売られてきた人間もいまして。

 ああ、毒の実験に使うためです。

 大体は赤子のうちに死にますが、時折、成人まで生き残るのがいて、それが新たなる……。

 そうです一族の一人となりました。


 私はそのうちの一人と恋に落ちまして、ええ相手は十七、私は十四、子供同士で。

 どうしようもなく引き離され、そして五年が経過しまして。

 ええ、なぜかその青年が、一族の長になってました。


 そして私に言ったのです。逃げようと、二人で。力を蓄えてやっと私に会いにこれたと。

 どうして逃げなかったかのかと? いえ逃げました。

 そして捕まり、王の元に引き出されまして。

 私のあの人はね、ええ私の目の前で殺されました。


 淡々と話すなと? ああ多分、私の心はあの人が死んだときから……。

 もう死んでいるのかもしれませんね。

 見せしめにその躯は晒され、私は塔に幽閉されました。


 躯はね、私の目にすぐ見えるように、塔からよく見える広場に晒され、朽ち果てました。


 もうねえ、どうしようかなと思いまして。

 同じ体質を持つ赤子を産むまでは殺すわけにはいかないといわれて。

 自死もできず、私は生きておりました。


 そして……従順となったと見なされ、まあそうみられるようにしておりましたがね。

 外に出されて……。

 ええ、あの晩餐会で毒を盛ったのです。


 簡単でしたわ、もう私はすべてを諦めているように見えたらしく、誰も行動を咎めませんでした。


 簡単です。作っておいた毒をこうスープに落として……。

 みんな血を吐いて死にました。

 毒見はおりましたが、それをすりぬける毒をうまく作りました。

 遅行性でしたの。


 あらもうお前の話は聞きたくない、お前は処刑されると。

 あら、ようやく殺してもらえますのね。

 ありがとうございます。ありがとうございます。

 やっとやっと死ねますわ。

 ずっとずっとこの時を待っておりましたの。


 お前は狂っている? ああそうですわね。

 あの人があんな殺され方をしてから、私はもう完全にくるっているのかもしれませんわ。

お読み頂きありがとうございます。

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