69あの魔法陣の正体(ヴィック視点)
ヱン様やシュー様、アスール様、そして皆の力により、何とかオーク達の襲撃を収束させた日から3日が過ぎた。
この3日の間、ヱン様は午前中は城の周りと、近くの森の方まで毎日見回りに行ってくださり。シュー様はオーク達が消えた事が分かり、逃げていた魔獣達が戻り始めていたので、その魔獣達の相手をしてくださり。アスール様は他のドラゴン達と一緒に、オーク達によって破壊された土地を、魔法を使いほぼもとに戻してくださりと。
オーク達のことでお世話になったのに、それからも力を貸していただいていた。
私はと言えば、あの最初の話し合いの後、陛下が信用する者だけを集め、あの魔法陣についての話し合いを行った。陛下の信用する者達…。国が大きければそれだけ国に仕えている人間が居るという事。その中にはどうしても、完全に信用できない者達も居るのだ。
そういう者達には、今回の魔法陣の話を伝えるにはまだ早いと、魔法陣の事が分かってから伝えることにし、それまでは私とその信用できる者達だけで、魔法陣を調べることになった。調べが終わるまでは、ヱン様のおかげとだけ伝えている。幸い、あの森へ行ったことを知るのは、陛下と殿下、私達の他に居ないため、疑う者達は居なかった。居ないはずだが…。
そして魔法陣に付いて調べ始めて3日目。私達は陛下が許可した者以外入れない、閲覧禁止の書庫で調べていた。が、なかなか魔法陣について書いてある本を見つけられずにいた。
あの時、完璧に魔法陣を書き写すわけにはいかず、簡単な模様と特徴は文章で書き留めた私。もし完璧に魔法陣を写し、そのせいでまた魔法陣が発動してしまっては意味がないからな。
それを元に皆調べてくれているのだが、やはりそれではよく魔法陣の事が分からず、調べが進んでいなかった。
そんな中、陛下がお越しになられた。外の対応が終わり、私達の調べの進行状況を確認しに来られたのだ。
「どうじゃ?」
「いえ、まだ何も」
「そうか」
と、ちょうどその時。私が探していた反対側、反対側はハローズ宰相が探されていたのだが、ハローズ宰相が皆を呼んだ。急いで行くと、陛下に気づきすぐに挨拶をするハローズ宰相。
「挨拶はよい。それで何か見つかったのか?」
「はい、ヴィックこれを見てくれ。貴殿が見た物はこれではないか?」
宰相から本を受け取り、そこに描かれていた魔法陣を確認する。まったく同じものではないが、私が調べていた中では、1番あの魔法陣に酷似しているものだった。
「確かに1番似ております。ですがこれは…」
その後は大変だった。ハローズ宰相が見つけた魔法陣。それは世界を破滅に導く魔法陣だったのだ。
書物によれば300年前に作られたとされる魔法陣で、作ったのはその時、いや、過去最大の悪の組織とされた闇の組織の者達。彼らはこの世界を闇の世界へと変え、破滅させようとしていたと。何故彼らがそのような事をしていたのかは、最後まで分からなかったようだが、その時に奴らが生み出したものが、破滅に導く魔法陣だった。
しかし彼らがそれを使った際、世界各国からかなりの術者が集められ、何とか奴らを止めることに成功したと。そしてその魔法陣を2度と使わせないため、闇の組織の人間とその関係者はすべて消したのだが。もしまた何が起こるか分からないため、念にはと、この書物にだけ魔法陣のことを書き記し保管したと書いてあった。
「まさか、このような物に、今回の魔法陣が1番酷似しているとはの」
「ですが陛下、この魔法陣を成功させるには、今は世界のどこにもない、様々な素材が必要です。調べてみましたが、どれも100年以上も前に、すべて絶滅しています。もし今回の魔法陣がコレと同じようなものだったのならば、その素材が必要なはず」
そう、この破滅に導く魔法陣を発動させるには、その魔法陣を描くときに、様々な材料が必要らしく、今ではどこでも手に入れることができない物ばかりだったのだ。
「そうじゃ。だがの、発動したのは確か。これがどういう事か。ヱン様の話によれば、今回発動した魔法陣の方が、闇の組織が作りだした破滅に導く魔法陣を作るよりも前に、存在していた事になる。もしかすると闇の組織は、あちらを元に、破滅に導く魔法陣を作った可能性があるという事じゃ」
陛下の言葉に、会議に参加している皆が黙る。確かにエン様達は、奴等が魔法陣を生み出す前に魔法陣を確認していた。もしかしたら元が森にあった魔法陣で、奴らはそれを使いやすいように作り直したのでは?
ならばあの魔法陣は誰が? そんな大昔に?
「どちらにしろ、何とか少しだけでも、魔法陣について見つけることができた。これからはそれを元に、調べを進めるしかないじゃろう。良いか、絶対に今ここに居る者以外に気づかれるな。これは世界の存続に関わる事。気を引き締めてかかれ」
「「「ハッ!!」」」
それから私達は城に居る時は交代で、自分の街に戻った時は各自で。この魔法陣を調べることになったのだった。しかし、思うように調べが進む訳もなく。何故この魔法陣が生まれたのか、誰が作ったものなのか。何も知る事ができなかった。
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「発動はしたな」
「ああ、だが、その後は。一体森で何があったのか。我々もあそこには近づけなかったからな」
「魔法陣が古すぎたか、それとも、何かの力が働いたのか?」
「あのドラゴンと、人間達が関係しているのは確かだろう」
「まぁ、良い。今回は様子を見るだけだった。次、アレを使う時が来るのは、全てが揃い、我々が世界を手に入れる時」
「そうだ。そのためにも素材を全て集め、今度こそ、あの魔法陣よりも完璧な魔法陣を生み出す」
「そして必ず世界を我らの手に!!」




