表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

第3話

「……偽装恋人?」


 櫻小路さんは、楽しげな微笑みをこちらに向ける。


「そう、偽装恋人」

「……どういうこと?」


 僕の口から漏れたのは、そんなありふれた疑問。


「簡単に言うと、私、政略結婚させられそうなんだよね」

「……え?」


 政略結婚。自由恋愛のこの現代にはそぐわない言葉だ。


「私の家、俗に言う『名門』だからさ、そんなことが本当にあるんだよ。でも、私は親から決められた結婚なんてイヤ。そうお父さまに言ったら、『夏休みまでに恋人を連れてこい』だって」


「はぁ」


 とりあえず、櫻小路さんがお嬢様だという噂は本当だったらしい。

 

「ほら、私彼氏いないじゃん? だから、偽物を作るしかないんだけど……」

「期間限定で付き合えばいいんじゃないの?」

 

 櫻小路さんなら引く手あまただろう。

 金を払ってでも恋人になりたい、という人間は多そうだ。

 名門のお嬢様ならお金は役に立たなそうだけど。


「でも、それに付き合わされる男の子に、失礼じゃない?」

「……それはまあ確かにそうかな」


 それでもいい、という人が多いのは確信できるけど、その恋人が『期間限定』という約束を守るとは、確信できない。


「だから、最初から偽装ってちゃんと説明しておいたの」

「でも君、一番最初に言ってなかったよね」


 思わず心の声が漏れてしまう。

 こういう、ある種の親しみやすさも、彼女の魅力の一つなんだろう。


「男なんだから細かいことを気にしちゃだめよ」


 その、『男だから』っていうのもこのご時世にはあまり良い言葉じゃなさそうだと思ったが、そこまでは口にできない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ