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第1話

 放課後の教室には、生徒はほとんどいないものだ。

 残っているのは、部活に入っておらず、かつ家にあまり早く帰りたくもない人間くらい。

 そして、僕が知る限り、このクラスでそれに該当するのは僕だけ、そのはずだった。

 

 ……なんで、彼女が?


 僕は窓の外を眺めるふりをしながら、窓際の机で勉強している彼女を見る。

 櫻小路さんである。


 一学期はすでに終わりかけだが、彼女が教室に残っているのは今まで見たことがない。

 わざわざ残ってしているのが、勉強である。

 期末考査も終わったのに(これは僕が言えたことじゃないが)。

 なんでだ?

 僕は何度目かわからない疑問を抱き、首を傾げる。

 もちろん、彼女が万一後ろを振り返ったとしても変に思われないように、そっと。


 学校一の美少女と、教室に二人っきり。

 なにかイベントを期待したくなるところだが、僕は今までの経験からそんな展開がないことを知っている。

 あっという間に最終下校時刻のチャイムが鳴り、僕はこの思い出と疑問を胸に抱いたまま一生――それはさすがに大げさか――を過ごすことになるのだろう。


 問題集に目を落としつつ、その内容は全く頭に入ってこない。

 そんな無意味な時間――ある意味では人生で一番有意義な時間――を過ごしていると、不意に彼女が立ち上がった。


 なんだ、帰っちゃうのか?

 僕はそちらには視線を向けない。目が合うのが怖いから。

 そのとき、彼女が言った。

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