まどろみ
じっとしていると、みえることがある。感じることがある。
それは、世のなかが変なふうに思えること。
主観が逆転して、椅子が椅子でなくなり、雲が雲でなくなる。
そういうときは、キャラが頭の中で踊りだしたりする。
PCに向かってひねり出しているよりも強く、生き生きと。
創作の枠を超えて、自分が作り出したというのに、
生きてる自分よりも、もっと生き生きと、はしゃぎまわっている。
それはもう嫉妬したくなるくらい、本当にそこにいるのではないか。
もしかしたら、そのままクリエイターに免じて恋人になってくれたりなんかして。
都合のいい展開が思いつくままに流れたりする。
これをそのまま当てはめられれば、
眼前のこの子を、文字の中に封じることができれば、
傑作がきっと生まれるに違いない。
でもだめ。
そんな頭がでたらもう秒殺で、その子は消えてしまう。
まどろみの、めったに出てこないキャラは、その時だけいるもの。
設定に起こしても、あの子はいないのだ。