表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

暗い押し入れに入ったつもりが……

 


 押入れの中は違う空間へと繋がっていた。


 暗い押し入れに入ったつもりが、何故かそこは、白樺の林の中で、霧が薄く張っていた。


 幻想的だな、と思いながら、紬は白樺の木を見上げる。


 白樺は紬の世界のそれと同じくらいの大きさだった。


「ミニチュアな世界なのかと思ってました」

と言うと、


「莫迦め。

 私の本体は、お前とサイズは変わらん。


 とり憑いたこの人形が小さいだけだ。


 これでどうやって戦えと言うのだっ」

と勝手に人形にとり憑いておいて、王子は文句を言ってくる。


 どうやら、この世界では、戦争のときには、それぞれが人形に入って戦うことになっているらしい。


 だから、みな、優秀な人形師を探しているらしいのだ。


「何故、人形に入って戦うんですか?」

と問うと、


「生身で戦ったら、死ぬではないか」

と言う。


「……ぬるい世界ですね」


「野蛮な奴だな……」


 まあ、いい、と王子はまとめるように言ってきた。


「ルールにのっとり、一度人形に入ってしまったら、出られないのだ。

 この人形たちを直しながらやるしかない。


 さあ、時間だ。

 ついて来い、人形師っ」


 ……いつ目が覚めるんだろうな、これ、と思いながら。


 わー、と小さな声を上げながら、ビニール袋から飛び出し、走っていく三人官女や、転がっていくその他人形の首の後ろをついて行った。


 ……早く、体、作ってやらなきゃな、と思いながら。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ