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経緯
「大丈夫でしたか」
水を汲んできた俊考が、おおよそ事の経緯を聞き終えると、彼はやや顔を青くした。
涼人は、まだ何か考えている風情のまま頷いて言った。
「山師という者について、俊考は知っているか」
俊考は沙夜が用意してくれた餅飯を食べながら、首を横に振った。
「彼らが寺の僧と交わることなど、なかったものですから。正直な話、山師と山賤の区別が私はつかないのです。
山で襲われるのは都から来る人ばかりで、それがなぜなのかも分かりません」
首を振る俊考に対し、涼人も同じように餅飯を咀嚼しながら、竹筒の水を飲んで沈思した。
——お登紀さんと、彼らは通じている。その理由も、直接聞かなければ分からないだろう。
風汰という少年が見せた様子から考えても、あまり深入りしない方が身のためだという気はした。実際そう惟親にも忠告されている。
しかし、ここで逃げ帰ることはできなかった。
皇女を助けるためだけとも違う、すべてを見はるかす何かが、この先に待っている気がする。それを見つけて初めて、涼人は自分の拠るべき場所が、真実分かるような気がするのだった。




