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動き出す望み

「誰って……云わずに出てきて悪かったわね! あたしはキュールよ!」

「キュール……? 何しに来たんですか?」

 精霊は自らの名を「キュール」と名乗り、4人にある事を提案する。

「何しにって……町を救うために来たのよ!? とにかく、この銃を持ちなさい!」

 キュールは4つのおもちゃのそれのような形状の銃を4つ出現させると、それを4人に押し付けた。

 銃の色は、それぞれ赤と青と黄色と緑―――――。

 まるで一人一人の髪の色に合わせているようだった。 

「どうしたいんだろう……?」

「……さあ?」

「その銃で、侵略者を跳ね返しなさい!」

 

「跳ね返すと言われましても……」

「うん……。 具体的に、どうやるのかな……」

「どうする、智果?」

 悩む3人―――――。

 青奈が選択を託したのは―――――智果だった。

「えっ? 私に委ねるの!?」

「うん。 だって、最初に飴を作ろうって言ったのは智果だったし……」

「そうだけど、飴を作ろうとしたのってそういう目的じゃないし……うーん……」

「考えすぎないでくださいね?」

 智果は青奈に選択を委ねられると、小1時間もの間悩んでいた。 その間テレビに流れるのは、生命体についての政府の見解ばかり。

 まるで政府という人物の口癖であるかのように乱用される「遺憾」。

 無言を貫く中で流れを切り出そうとしたのは、選択を託したはずの青奈だった。

「智果、そろそろ答えを出そう?」

「……そうだね」

「何を言っても、恨まないから」

「私……みんなと町を救う!」

「智果ちゃん……」

「まあ無理もないか……」

「だって私達に日本の、いや地球の運命が託されているかもしれないんだよ!? 今、私達がやらなくて誰がやるっていうの!?」

「……それもそうかな」

「あっ……」

「そうですね」

 智果の決意―――――。

 それは、一度(ほど)けそうになった4人を再び1つにした。

 そして4人は、目の前に置かれていた銃を握った。


 しかし、その間にも時間は無情にも進んでいる。


 やまのやど中央通りは生命体の光線が猛威を振るい、地獄絵図へと変貌する寸前の状態へと迫っていた。

 負傷者の数は14人、その中には意識不明になった者もいた。

 暴行の様子を見た通行人の通報により警察が出動するが、3人が捕まえようとした際に抵抗を受けた事により負傷。

 もはや武力でしか制御が効かない状態―――――。

 そしてその武力も一つの商店街で行使したところで最大限の力を発揮できる確証は無い上、一部住民からの反発を受ける可能性があった。


 一方で生命体は40人程度に光線を浴びせた所で瞬間移動、宇宙船も山ノ宿から夏木林(なつきばやし)へと移動。

 徐々に勢力を拡大させていた。

 そして智果の決意にも、ある問題点が存在した。

「……で、どうするんだっけ?」

 自分がやるべきことを、理解していなかったのだ。

 キュールの説明の不足もあって物事を把握しきれておらず、そもそも銃を如何にして使うかも決まっていなかった。

「そうね……。 まず、あなたの飴を借りることはできるかしら?」

「えぇーっ!? 私の試作してる飴を銃に!? いいけど……」

「……弾切れとか、どうするのかな」

「安心しなさい! あたしは全く同じ物を何個も生成できるのよ?」

「本当なんですか……?」

「本当よ!」

 この後、キュールは暫く無言になった。

「わああああああああっ!?」

 体から放たれる光が眩しすぎて、4人は思わず叫んでしまう。

 先程の惣子の疑問に答えるかのように、彼女の両手には水色の光と共に複製された試作品の飴が幾つも現れた。

「……えっ?」

「なんかすごい……」

「これでわかったわね?」


「……はい」

「分かったなら良いわ。 次に、銃を握ってくれるかしら?」

 キュールの指示に従い、銃を握る4人。

 彼女達を待っていたのは、意外な姿への変身だった。

 服装が次々と、色とりどりの裾の短いドレスのようなデザインの戦闘服へと変わっていく―――――。

「悪には、黙りでいられない! キャンディレッド!」

「善は、絶対に潰えない! キャンディブルー!」

「絶対に守りたい人が、そこにいる! キャンディイエロー!」

「いついつまでも続く平和を……キャンディグリーン」

「私達……"キャンディ・フォース"!!」

 そして今、智果の自宅の一室で「キャンディ・フォース」が誕生した。

 それぞれレッドは智果が、ブルーは青奈が、イエローは惣子が、グリーンはみどりが変身したものだ。

「良いじゃない! この姿で、地球の平和を守るのよ!!」

「……うん!!」


「行くよ、みんな!」

 青奈の呼び掛けで4人と1体は家から出ると、即座にやまのやど中央通りへと向かった。

 しかし、彼女達は知らなかった。

 生命体の侵攻が、予想を遥かに上回るスピードで進んでいたことを―――――。

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