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冷泉院7

N(ここで聞き入っていたみんなが大きく同時にうなづきます)

源氏 わしはこの間夕顔や葵上を亡くし、藤壺にも会えずに、

 苦しさのあまり朧月夜と契るがこれがあだとなって須磨へ。


冷泉 絵合わせを覚えておられましょうか?

源氏 ああ、あの絵合わせは一生忘れられぬ。罪を許され

 京へ戻った時は御君は帝。

冷泉 十一の時です。


N(時折お市が酒肴を運んできます)

源氏 御君は絵をかくのが好きじゃった。

冷泉 梅壺の女御に教えていただきました。

中宮 あの時の須磨明石の絵巻は今でもありありと目に浮かびます。

 藤壺の中宮様も。


源氏 今思えば懐かしや親子三人。その後すぐに亡くなった。

冷泉 そのあとに出生の秘密を聞きました。大原野の鷹狩

 の時、意を決してお声掛けをしました。

源氏 あの時の緋色の衣は目に焼き付いておる。帝の言葉とはいえ

 譲位はいかがなものかと断ったの。この時秘密を知ったと悟った。

 そこで御君は准太政天皇にわしを格上げしよった。これで少しは

 気が楽になったのおたがいに。


冷泉 御意にございます。

(二人の笑い声が嵯峨野に響く)


唄 〽 父子は嵯峨野の片隅で 宿世の露を払いつつ

   面影宮の 天覆う 熱き血潮に包まれて

   思いで深き中宮の 笑みと声音を聞きながら

   牛車見送る 老いたる源氏の影姿



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