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雪色の魔女10(三者の蛇編)

「おい、おいったらおい。」

「何おばあ様。

話しは、さっき伺ったわ。

ふっふっふ。」

「何寝ぼけてるの。

早く起きなさい。」

「えっ。」


その声にびっくりして起き上がった小夜子でしたが、まだ寝たりない様子だ。


「おはようアリサ。」

「うん、おはよう。」


(今まで紹介してなかったのですが、小夜子の中に一緒にいるもう一つの存在の名前は、アリサと云う名前です。)


しげしげと私の顔を覗き込むアリサ。何か企んでいるのか。


「あのさー小夜子。

私のお願い聞いてくれる。」


いつもより丁寧な言い方、やはり何かよからぬ事を企んでいるのではないのかと、勘ぐってしまう。

「 私に出来る事ならいいわよ。」


差し使いない会話をした後、心もち距離を置き、次の言葉を待った。


「あのさー、今ちょっと苦手な娘達に、絡まれて、仲間になろうって言うんだ。

私、人一倍つるむの嫌いだからさ。

さっさっと言いくるんで、誤魔化してくれよ。」


「あ、いいわよ。」


と言ったが、なんだかこれは千載一遇のチャンスのようにおもえた。


(だって会話の出来る友達が出来るのだから。

いままで憂鬱で悶々とした毎日の連続で言えばアリサに頭ごなしに怒られるんだから、鬱憤も溜まるもの、黙ってやってしまえば、アリサも仕方なく納得するかも知れない。)

これが安易で軽はずみであった私の失敗だった。表に出れば、少し感じの違う娘達に絡まれていた。

「あのさ、さっきも言ったけど、援交(食事)行こうよ。

ここから近くの高校、男が五万といるのよ。

そしてね。誘うと、のこのこ着いてくるの。

それに、選り取り見取りいれぐい状態。

ほっとく手は無し。」


「そんな事いわれも。」

私は男など知らない生娘でとうしていた。

それを今更急に考え方を変えろって無理からぬ事だった。

「何そんなカマトトブルの雪女はね。

これが極上の幸せ快楽なの。

クズってないで一緒に来なさい。」


とうとう押し切られてしまった。

あれからアリサも声を掛けもくれないし。このまま汚れていくのも嫌だし。

逃げるのも生真面目な性格じょうできないし本当に困り果てた。

「いいわよ。

いくわよ。

でもね。ついていくだけだからね。」


「へ。」

一瞬場が氷つき面食らった様子。


「バーカ、あんたなんて寄せてあげないよ。 言った私がバカでした。


「はい。」


あの娘達は去り、私だけきょとんとしている始末。

アリサからは、

「これだから小夜子に頼んだの。

いくらいい男でも、ガキじゃね。」

と笑われるし、私は私で、その返答にこまるし、まあいい事ない一日でした。


そして月日は流れ、雪女としての年季奉公も終わりに差し向かっていた。

これでアリサと別れられるかと思うと心踊った。

だけど何となく不安だけが不思議と脳裏から離さなかった。

つづく

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