雪色の魔女6
私は、あの日から寝ても覚めても小夜子の事が頭の中から離れず、仕事もまんざら手がつけれなくなった。それは私にとって苦悩の日々だったが、そんな私を理解してくれる人など、ここには誰一人いなくて引きこもってしまっていた。
それは心の充足感を得るもの、充電期間ととってくれてもいい。
だけど村の者は皆口を開けるなり、
「怠け者の言い訳。
寝太郎さんみたいに村の為になんとかしてくれるんかいの。まっあんたに何かしてもらう程、耄碌してないわ。」
と揶揄さるばかりで私自身、何一つ変わらなかった。
その屈辱にまみれた生活に憤りを感じた。
そして季節は巡り冬になっていた。
そういえば、冬の便りを知らすナベ鶴の一団が昨日飛来したという。
後は、雪の便りだけだろう。
そう思うと、がぜんやる気がでて昨日までの自分を吹き飛ばすように働いた。
その屈辱にまみれた生活に憤りを感じた。
そして季節は巡り冬になっていた。
そういえば、冬の便りを知らすナベ鶴の一団が昨日飛来したという。
後は、雪の便りだけだろう。
そう思うと、がぜんやる気がでて昨日までの自分を吹き飛ばすように働いた。
そして部落の寄合の日の事だった。
この日は、どういう訳か寒く雪がふりそうだった。
村の顔役が気をきかせ酒を振る舞い、いい調子で火照っていた。帰りは、車という訳ではいかなくなった。そして仕方なく歩いて帰る事にした。
防寒着を用意していたのが不幸中の幸いだった。
「おーい帰るぞ。」
「なんだ、付き合い悪いな。
まだ宵の口じゃ。」
私は寄合の後の宴会を早めに切り上げ帰路についた。雪が一層ふり前が見えなくなっていた。
そういえば若い頃、雪女に出くわしえらい目にあったなと、今更ながら、いい思い出と感傷にひたっていた。 その時、空の上の方から黒い点のようなものが見え、だんだん大きく見え、それが人間、いや雪女の姿に見えた。
それは忘れかけた青春を取り戻したように何故か、ぐっとしたものが込み上げた。
つづく