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雪色の魔女5

隣街のパーム広場に人だかりがみえた。

私は近くのパーキングに車を駐車しかけつけた。「あれはなんだ。」

人だかり中心に十字に吊された女性の姿があった。

見ると、あの日の雪女では無く、ほっと肩の荷をなでおろしたが、だけど助けなければ今にもなぶり殺しされそうな感じだった。それは圧倒されそうな状況で私なんかが割って入る余地などなさそうだ。

自分に壁をつくるなと親っさんにはいつも言われている。

だからといって、助けなければ後悔だけが残る。頭の中の思考回路をどう巡らせたとしても答えは一緒であった。

「早く殺せよね。」

「そうよ、そうよ。」

「俺んちは親父こいつに殺された。」

いわれのない馬事罵倒、悪口雑言の中私はその中に入りこんで一緒にこのような中傷を受けるのが怖かった。

その時だった。俺っさんが後からかけつけてくれた。

怖じ気づきうずくまる私に向かって。

「お前な、男か。」と一喝し、さっそうとあの人並みの中に入って行った。

「行くな。見ず知らずの関わり無い雪女などほっときな。」

と心の頃で中で叫んだが。

何故だかすぐに、この集団リンチ的集まりは、すぐに散会する。

流石、親っさん。

眼力だけで威圧した。男気は昔から鳴らしたものと本気で思っていた。

しかしそうでは、なかった。

親っさんが言うには、

「雪女には関わるな、村が全滅される。」という伝説があるそうだ。これが事実とされる実証には、一昨年前、一応伏せてあるが、サンテル街が一夜にして全滅した。という史実がある。

これは口外不問でこの実話を踏まえ解きほぐしたそうだ。

「なあ、それよりな。

なんと説明したらいいか。あの雪女の対処だが。わしは、あの人並みをなんとかした。

次はお前サンの番じゃ。

出来なければ、これからの付き合いも無いと思え。」藪から棒にそのような事をいわれても対処のしようがなかった。

だが、引き受けなければ、明日からのおまんまがくいぱぐれるし、と再び錯綜したが、答えは最初からみえていた。

「それじゃ連れて帰るよ。」

「しっかりでの。」

私は本当は嫌な者を親っさんからまわされたって、これっぽっちも思って無かった。

むしろ感謝しているしだいだ。

まあ、食えない親父だから、それも承知の上か、と思うとおかしかった。

しかしこの雪女、何にも喋ろうとしなかった。

なんとか心を解きほぐそうとしても、貝ようにだまりこんだまま心を開いてはくれなかった。

そんな時、ふと昔出会った。2つの心を持つ奇妙な雪女と出会った事を話すと、すぐにピンと、反応しさっきまでのだんまりが嘘のように話し出した。

「小夜子ね。

あの娘ね。誰とも関わろうとしないの。

でも男狂いの本当どうしようもない奴。

今日も男たぶらかして生気食らってるんじゃない。

あたしも少しは、するけどあそこまではね−。」

私は、小夜子という雪女の事がわからなくなった。

それは清楚だとか、恥じらいがあるという問題ではなく。

あの時、私を逃がしてくれたあの娘がそんなのだったというのかと知った時、何故だか急に無性に小夜子と称する雪女に会いたくなった。そしたら急に愉快になって帰りの道すがら楽しくなった。

そして家に戻り時は夜半のころ、何かの気配に気付きおきた。

すると、歳の頃は20位の白の軍服をきた。さきもりのような男が立ち、あの雪女を抱き上げ今にも行ってしまいそうな感じがした。

私は恐怖のあまり身を縮めうちふるえたが、勇気をふるい、一言だけ

「小夜子という雪女に会いたいんだ。」

そう言うと少し頷き、闇の中に消えて行った。

つづく


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