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雪色の魔女18

そして話は大蛇と化した小夜子に移り変わる。

今や、その意志も大蛇に乗っ取られ小夜子のその嫉妬深かさを動力源として増幅させる大蛇に躊躇いはなかった。

その意思と旺盛なる食欲とが合わさって悪辣誹謗なる悪鬼へと変貌した。その凶器なる切っ先でビーンヘルム・ペースアンドル山脈地帯・ムース山地など、様々な街や村を恐怖に陥れた。

もはや、誰もこの大蛇に立ち向かう者など無く、一年に一度、若い娘をいけにえにする風習がつづいた。

それは凄惨な光景だったと誰もが口を揃えていった。



「キャー怖い大蛇よー。」


今日もまた村が一つ、大蛇により壊滅された。

ここコンデールの街でもそうであった。


「愛、非力な母でごめんなさいね。」


「母様あまり、自分を責めないで私一人がいけにえになれば、今年は済むのだから。」


「愛ー。」


「いくぞ。」


「はい。」

取り乱し、それでいて放心状態になっている母親、誰の所為でもない。

街の人々の業を一身に背負い死にに行く愛。

後、街では偉大なる霊として末代とまで奉られるだろうが、そんな事で済まされる訳も無いだろう。


裕二は、街という街を歩き回り、悲痛な真実を知った。



「小夜子、お前は何をしようっていうんだ。

俺が知っているお前は、そんな娘ではなかった筈だ。

恥ずかしがり屋で俺の顔を真正面から見れなかった。

お前が何故。」


歎いても何がどうになるのだ。

小夜子のいる世界、俺がいる世界。

繋がれるものは一つ、雪女としての君。

そう云う事柄を考えるとおのずから答えはでる。誰だか知らないが、死をも恐れぬ勇気があれば君を救いだせると聞いた。



「そうだ、そうなんだ。哀れむだけではいけないんだ。

本当の愛を小夜子にぶつければ何とかるだろう。小夜子、俺は生きている限り君を守らなくちゃいけないんだ。」


決心は決意となり、その意志は勇気となるだろう裕二の真心、それは全て小夜子の為にある。

裕二は、いてもたってもならない気持ちを抑え、まずは、あの哀れな少女を救う事をした。

そしてそれは、我が身を身代わりにたてなければならない事も承知しながら


つづく

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