雪色の魔女13
それは、よしも悪しも私にとって筆舌なる覚悟の表れだった。
「いいわ。
あなたの言う事を聞きましょう。でもね、条件次第だけど、いいかな。」
早速、挑発してきたか。
「まあいいだろう。
この体もまだまだ未完成だから思念態だ。
いくら、生と妖の魂があったとしても、悪の魂無くして維持出来る程、甘ったるくないだろう。
ハッハッハ。」
私は、アリサの時と同じ過ちを犯す事を嫌った。
どうせ惨めになるのならとことんなってしまえ。
それが、もとより大蛇の陰謀であろうとも一向に構わないものだと思った。
「騙されないで小夜子、私は生きてここにいる。
幻影なのよ。
この地上も大蛇も全てのものが。
そして、貴方をたぶらかして本当の体を手にいれようとしているの。
目を醒まして小夜子ー。」
そんな悲痛なアリサの声も聞く耳無しで私は、大蛇に魅了され体と心の全てを取り込まれる結果になった。
「大変だ。大変だ。
大蛇が、あの大蛇が覚醒した。
逃げるか。
そうだ。いけにえの儀式を再び再会しないと大蛇に村を滅ぼされるぞ。」
各自、意見が散発しあい何にしても、折り合いのつく問題ではない。
ましては、いけにえの儀式となると誰かの娘を犠牲にしなければならず、これもまとまりを欠いた。
そうする間にも、嫉妬の鬼になり果てた小夜子(大蛇)は村を飲み込み、果ては自分の生まれ育ったビーンヘルムの村にまでその魔の手は入り込もうとしていた。
「どうする長老、この事を民に報せるかの。
どうせ早かれ遅かれ知れるんじゃからどうする。」
「まだ早計かもしれん。短慮な事はせずともいい、時がくればなんとかなる。」
「何がなるだ。
その根拠は何だ。
あるのか!。ここの住民の命と引き換えになる事実があるんならな。」
「・・・・。」
話しは物別れになり、そしてとんでもない方向に誘う。
「あれ何。」
「何でしょうかねー。
坊や。」
何気なく子供の指す方を見ると、山のように大きな大蛇がどぐろを巻いてそこに鎮座していた。
「坊や、」
「何。」
その瞬間、一口にパクリと飲みこまれ衣類の端も無い位にさっぱりと喰われた。そしてその噂は、村中に駆け巡り、とんでもないパニックを誘発させる結果にもなった。
茫然とする者、大蛇など誰かの流したデマだと信じる者、傍や、村から出ないと居続ける者、大概は荷物をまとめ逃げた。その状況といなや、人を気付かう素振りなど無く、あたや年長者に暴行をはらう行為まであった。そして気がつくと大蛇が来る前に村は壊滅した。もぬけの殻になった家などには火事場泥棒が横行されたのは言うまでもないが、その前に婦女暴行が当たり前のように行われていた事も付け加ええて行う。
語られる凄惨な話はここまでだ。
どちらにしても村は壊滅した。人災、天災どちらとも着かないこの結果に収拾のめどは、まだつかない。
3者の蛇編、終わり
次章、生きている限り君を愛す。
をお送りします。
お楽しみ下さい。