雪色の魔女12上
それは、始まった恐怖の調べに似たもの。
一歩、足を踏み出すせば、悲惨な末路の幻影が見え、その狂気は空をも震撼せしめる。
これは畏怖の恐怖と同じもの夢夢忘れられるな。
今年もまた、村のごうを背負い雪女の引き継ぎの儀式に赴く女あり。
それは、私の代わりであり安らぎの満ちた生活にもどれる。
それが、良いものであるのか、もしくは悪しき事柄に類するものなのか全ては後の人達に委ねる。
薄暗き陰湿なる魂の集まる場所、私はアリサと2人でまった。
いつか誰だかは知らぬ一組の者は隠者の禍に遭い、生ける体をかすみとられた。
それは凄惨な末路であった。
次は私達の番だ。
行くよ。
はい。
少し間が抜けているわたしに、このようなビンビンと激震が走る所など不釣り合いなのに、何故にアリサは、意識を共有させたのか今の今であってもわかる筈がなかった。
クズは、小夜子で充分。
何を焦っているのか。
体くれー。体くれー。
この亡者の呻きに圧倒されているのか。
待ちに待った揚句、引き継ぎの儀式の相手に出会えたのは、もう夜半をまわった時分でした。
それは、突然に行われた。
クズ、早くやるよ儀式。
あーん。心の準備が。
うだうだしないの。
早くして。
うん。
ようやく納得したのか儀式がこれから始まる。
でも私にはよく得心できない部分がおおかった。まずそのひとつに、何故これほどまで急くのか本当に判らない事ずくめでした。
しかしそれは、直ぐに判った。
もうりょうの宴がする。
早くしないと。
おい、早く来いってんだ。私は、気が短いんだ。
あん。
ままととぶるんじゃないよ。
お体頂っただき。
しまった嗅ぎ付られたわ。
強行よ。
手と手を併せて、
そ、そうするの。
なかなかのおてなみだわ。私の後ろにいるクズとは比べられない位。
そんな私なんか。
いいえ。でも大変よ。
これからは、あのクズの世話貴方が見るんだからね。覚悟しなさい。
そんな先輩ったら、そんな本当の事、わるいわ。
ハッハッハ。
和やかな、本当に和やかな空気に包まれた会話、これが私を嘲笑したものでなかったらどんなにいいものか知れない。
だけど言い返す事など出来ない。あいつがいないと、まんざらに食事にありつけないから。
だからわたしは、片隅の方でじっと身を潜めた。
そうするとあいつらの声を聞かなくていいから。
儀式は、まだまだ続いていた。亡者もこうなっては手をだせないから諦めたようだ。
重苦しい空気とそれに伴う圧迫感があった。これで死ねたらどんなに楽だか知れないと何度となく考えたかしれない。
悲痛なる叫びと気弱な自分とがなんとも言えぬ感覚に陥らせた。
本当、馬鹿だよ私。
そうやって悲劇に浸っていた。
これで死ねたらどんなに楽だか知れないと何度となく考えたかしれない。
悲痛なる叫びと気弱な自分とがなんとも言えぬ感覚に陥らせた。
本当、馬鹿だよ私。
そうやって悲劇に浸っていた。