雪色の魔女2
すると辺りが急にくらくなり.なんだか薄気味悪くなった。そうするうちに辺りから少しニュアンスが違うが聞き覚えがある歌が聞こえてきた.
雪ふらる雪ふらり
緑もあおも白くして私もふらる雪ふらるあなたの街を白くして。
それは少しニュアンスが違うが聞き覚えがある歌がきこえてきた。
「こ.これって。」
「ご名答、察しがいいわね。これが世に言う雪女の引き継ぎですの。あなたも知っているでしょ 同じ村の出身だから。」
「知っているってなにを。」
私は箱入りで両親の愛情をこれでもかって注がれて育ってきたのだった。だからこんな事になるんて教えてもらっている訳も無い訳で今こうしている事でさえ尋常な気持ちではなかった。
「ま.いいわ。今これしとかないと、あんたの体、他の奴にとらてしまうから。
嘘だと思うのなら耳の穴ほっぽじって辺りをよく聞くんだな。」そういえばさっきから無気味叫び声が聞こえていた。
「ほうらねえ、早くしてしまおうよ。時間がさし迫っているのだしね。」
私はまだこの状況についていってないって感じで、そうやすやすと.この体くれてやりますか。ていう気持ちで一杯だった。「さっきからあちしが下てで出るとつけあがるの。早くしてしまおうよ。引き継ぎ そうすれば解放してあげるからさ。」
一路強行策にでてしまっているみたいで私の体を羽交い締めにして早々に引き継ぎだけ済まそうっていう魂胆が見え見えにわかった。
その時だった丁度胸の襟袖にしまっていた。フルートから母の声が聞こえてきた。
「小夜子ききなさい。私達家族の事はもういいから、早くそのフルートを吹きなさい.なんとかなるから。」まだまだここの状況についていけてない。というのは.さっきから同じだった。
だけど母の言葉に耳を貸さなければ生きていく術は到底みつかる筈もなかった。私はフルートを唇にあて吹いてみる事にした。
するとうっとりとしてしまう程の音色が辺りに響きあたり、そしてその反面、私を羽交い締めにしている女は、急に苦しみだした。「あんた何したの。早くそんな物捨てて早く引き継ぎを。」
なんだか可哀相に思えてくる。村を離れ、家族とも別れ今こうして再会できる環境が整ったのに、私のこの体欲しさで、あいつの一生を台無しにするのは私には到底出来ず。自然にフルートが唇から離れていった。
「何をしてんの小夜子。」
私は母の言葉を聞きいれること無く引き継ぎをしてしまうのでした。 これが不完全な精神交換だったらしく後々まで苦しめられる結果ともなった。