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-☆-

 私はすたすたと先を行く小島先輩のあとに続いて、黙ったまま歩いていました。


「どう? しばらく時奈くんのそばについてみて」

「うん……。楽しいな。ずっとこのままでいいかも……」


 私は素直に思ったことを伝えました。


「ぶっちゃけた話、あなた、時奈くんのこと、好きなんでしょ? だからその想いのせいで、時奈くんのそばから離れられないようになって、地縛霊……じゃなかった、人縛霊になった。そうなんでしょ?」

「あぅ……」


 この人、なにもかもお見通しなのかしら……。

 やっぱり、普通の人とはちょっと(?)違うみたいです。


「はい……。私、零樹くんのことが好き。いつも遠くから見てました。楽しそうにはしゃいでいる零樹くんの姿を眺めているだけで、幸せだったんです。あの日も、屋上で風に当たっていたら零樹くんの姿を見つけて、それでじっと眺めていたんです」

「ふむ」


 すべてわかっているわよ、そう言っているかのような微笑みを浮かべながら、小島先輩は私の話に耳を傾けてくれました。


「……このまま、あの人のもとへ飛んでいきたい……。そう思ったんです。そうしたら……」

「手すりから乗り出しすぎて、ホントに時奈くんのところに飛んでいっちゃったってわけね。正確には落ちていった、だけど」

「あはは……。はい、そのとおりです……」


 自分でもマヌケだなとは思います。

 私って昔から、ぼーっとしているところがあるんですよね……。


「最初に小島先輩に会ったときは本当に忘れていたんですけど、水沢さんと翔くんを見ているうちに、思い出してきたんです」

「なるほどね」


 ふっ……と、小島先輩の顔が寂しげな表情に変わりました。


「でも、本当に幸せ?」

「え……?」

「あなたは死んでしまっているのよ? 確かに今は時奈くんのそばにいられるわ。ただ、それもいつまでだかわからないし、そのうち時奈くんにだって恋人ができたりするはずよ? そうしたら、あなたは辛いだけじゃない?」

「は……はい……」


 うん……。

 もちろん私にだってわかってはいるんです。

 私はここにいてはいけない存在なのかもしれないって……。

 でも……でも、今はただ零樹くんのそばにいたい……。


 そんな私の想いを見透かしたように、小島先輩はこう言いました。


「ふふっ。ま、しばらくは成仏もできなさそうだし、私も協力するから、時奈くんとの生活を楽しんでなさい。そのあとのことは、またそのときに考えればいいわ」

「はい……ありがとうございます。そうですね。協力……よろしくお願いします」


 少し怖い部分もあるけど、私が頼れるのは、零樹くんと夕時くんの他には、この人しかいないんだものね。


「薬代分、働いてもらわなきゃならないしね♪」

「あぅ……」

「あはは! 冗談よ!」


 ――どこまで本気かわからないよぉ。やっぱりこの人に頼るのは、間違いなのかも……。


 とはいえ。


 まだしばらくは、零樹くんのそばで生活できそうです。

 今の私は、それだけで充分に幸せ。

 小島先輩の言うように、あとのことは考えずに、今を楽しく生きて――あ、死んでるんだった――えっと、今を楽しく過ごしていこうと、そう考えることにしました。


 だから、これからもよろしくね、零樹くん♪


以上で終了です。お疲れ様でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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宜しくお願い致しますm(_ _)m

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