異世界探偵局
初夏の日暮れ時、何気ない風景…。
煉瓦創りの街並みが広がる夕暮れ時、
ピシリ!!!
と、言う不穏な音と共に、玩具箱を広げた様
な街並みの平穏は、一気に崩壊した。
硝子のように脆く崩れ去る空の風景…。
阿鼻叫喚の人の絵図…。
脆く崩れ去った空より。流れる漆黒は、次第
に形をなし、顕現する…。
漆黒が形作るものは、自然界の頂点に君臨す
る、人の天敵、獣も人も喰らう魔物の群れ。
阿鼻叫喚…逃げ惑う人の群れを横目に、1人
の麗人は、人波を抜け…石畳の広場を闊歩す
る魔物の群れの眼前に立つ!!
流れる様な黒髪に白いワンピース姿の麗人は
魔物の群れの眼前に立ち、軽く息を吐く。
白い肌に華奢な躰…。とても、幾百と、茜の
空から、漏れ出す魔物に対抗できるとは、思
えない、麗人だが…、麗人が右手を軽く、魔
物の群れに向けた瞬間!!
景色が……一変した。
麗人の周りに浮かび上がるは、幾百もの、銃
火器、それらか…、一気に火を吹き魔物の群
れを、掃討する!!
銃声…銃声…止まらぬ銃声…。
大量の硝煙と、多大な銃声が過ぎ去った後に
残ったのは、魔物の屍ばかり…。
ただ永遠と、漆黒のヘドロを垂れ流すひび
割れた空は、いつしか平穏を取り戻し…、
阿鼻叫喚だった人々は、駆け付けた兵士等に
よって保護され、人々は、いつもの日常へと
帰る…。
いつもの事だ…。これが…。
「お疲れ様です。ホワイト ドール」
一難去った後に現れた兵士の1人が麗人に、
一礼し、労いの言葉をかける。
「相変わらず、お早い初動で。これは、出張
るまでもなかったですか?」
麗人も、士官の兵士を労う。
「いえ、まさか貴方様がいらしたとは、お陰
で、今回の人的被害は、0です」
「そうですか。では、穴は塞がりましたが…
また異界の門が開くとも限りません…。私達
の局側でも、今夜は、臨戦態勢で待機してお
ります。前線は、お任せいたします」
と、麗人は、一礼し、何事もなかったかの様
に、その場を離れようとした…が…!!
「ホワイト ドール!!」
と、呼び止める士官の兵士…。
振り返る麗人…。
「今度、お茶でも飲みませんか??」
と、言う、士官兵士に、麗人は辟易しつつ、
爽やかな笑顔を向け、再び…背を向けた。
「嗚呼…!ホワイト ドール」
麗人を見送り身悶える士官兵士…。
「なにやってんの??あの方??」
「あれ?知らん?うちの隊の隊長は、ホワイ
ト ドールのファンなの」
「ホワイト ドールって…噂じゃ…おと…」
「それは、黙っておけ」
異世界ファーゼ トール。この世界では、昼
夜を問わず、空が砕け、魔物の軍勢が押し寄
せる。それが…日常である世界。
しかし…、人々は、結託し、対抗する組織を
創り抗い続ける。そのひとつが、麗人 ホワ
イト ドール 達、異能力者を保有する、異
世界探偵局であり、士官兵士達は、その下請けの衛兵集団である。
黄昏れ時は、とうに過ぎた頃…麗人 ホワイ
イト ドールこと、天空寺 源之助は、自宅
兼 異世界探偵局 社宅 に帰宅し、異界の
門が開いた事を仲間と協議していた。
「だってさ!だってさ!あのお坊ちゃん!!
まだ源之助を女の子って…思ってるんだwww
女装してるだけなのに!!!」
自宅 兼 社宅の一室、リビングのソファー
で、腹を抱えて笑っているのは、頭にウサ耳
が生えているのに、普通に耳がある異種族の
ウサ耳メイド ラビット。
なんでも、ファーゼ トールの始祖の時代、
世界が、火 風 土 水 の四属性に分かた
れていた時の大戦争末期に産まれた生体兵器
なのだが…あんた一体、幾つ?って…くらい
長寿様らしいのだが…見た目は、10歳前後に
しか見えない若作りで、こよいなくゴシック
ロリータファッションを愛す、金髪碧眼のロ
リババアである。
「好きで女装してる訳じゃねーよ!!それを
無理やり勧めるお前らが悪いだろーか!!」
「だってさ。舞子www」
と、話を振るラビット。広いリビングの片隅
で、ファーゼ トール 総合格闘術の型を行
う、女性は、熱い吐息を吐き、スポーツタオ
ルで、汗をふき問に答える。
「いーじゃん!!その方が可愛いし…」
スポブラの上下だけを身に纏う舞子と言う女
性は、薄紫色の瞳で源之助をみつめ、紫色の
髪をかき上げる。
「かわ…!!!」
と、絶句する、源之助。しかし、源之助を、
玩具としか思ってない2人に源之助は、逆ら
う術はない。実際、銃火器を召喚し、放つだけの源之助の異能力など、ラビットの強力無
比な念動力…、舞子の十八番のファーゼ ト
ール総合格闘術の前では、軽く捻られるだけ
である。
と、そこへ…
「戻りました」と、援軍到着!!
長髪に眼鏡。軍服を纏い現れたのは、異世界
探偵局の局長 フィン。その横に一匹の銀狼
が、佇む。
「フィンすわ〜わわん!!」
と、すかさず泣きつく源之助。
「??????」
と、困惑するフィン。そこでフィンに変わり
一匹の銀狼が言葉を口にする。
「何事か??主よ??」
と、銀狼が見据える先には、ラビットの姿。
「いつも事だよ…」
と、手短に言葉を返すラビット。
フィンと、一匹は、「あぁ!!」と、納得。
「俺だって!探偵局の軍服とか着てみたんで
すよ!!フィンさん」
「そうだな、源之助は漢だしな!!」
と、銀狼。しかし、
「お黙り!!ポチ!!」
と、ラビットに一喝される銀狼は、その場で
丸くなる。
「では、わたくしから…これを…」
と、フィンが見せたのは、ピンクのネグリジ
ェ…のチラシ…。
「はぁ??」
と、目を丸くする源之助を見下ろし…フィン
は、一言…、
「今夜は、寝かせませんよ…ホワイト ドー
ル」
まさに、四面楚歌…。マトモな奴など…1人
として居ない!!!
「夜の町!!に、行ってきま〜〜す!!」
と、自宅 兼 社宅 を飛び出す源之助。
「逃げましたね」
「逃げたね」
「逃げられちった」
「不憫…」
と、源之助が居なくなった、社宅で話は、進
む。
「で…夕方の異界の門の調査結果は?」
と、舞子。
「まぁ…時空の歪みも無いことから、現場は第二種警戒態勢ですかね…」
と、返すフィン。
「そっか…。源之助との関係は??」
と、ラビット。
「今回は!大丈夫かと…」
「そっ…。」
天空寺 源之助…。彼は地球 日本と言う国からきた、小学生。成り行き上、共に闘う事になったが…何故?彼が…この異世界ファー
ゼ トールに来たかは不明。ただ分かってい
ることは、天空寺 源之助 彼は、この世界
を本の中の異世界と、言った。事実、彼は祖
父の書斎で読書感想文の本を探し、とある本
を開き、ここに来たと…、言った。
「確かに、ホワイト ドールが現れてから、
異界の門の開閉は、頻繁になりました。しか
し…根拠がない。データもありません。本当
に、ホワイト ドール が、この世界の終演を呼ぶものなのですか?」
フィンは、いつぞやか聞いた疑問をラビット
に聞く。
「あくまで、悠久に近い時を生きた私の中にある記憶だけど…ねぇ〜。まぁ…とても、そ
うには、見えないよねぇwww」
と、軽く応えるラビット。
悠久の時に刻まれた異世界人。それは、異世
界の落とし物。天空寺 源之助の物語りは、
まだ…序章にしか…過ぎない。




