ごなぁがぁる 2話
「…それにしても距離近くない…ですか…?」
空木がジトッと、見つめる。目線の先には、躑躅にくっつく私がいる。
「もしかして…コレ?」
小指を立てて見せられる。
顔が熱くなる。
「そ、そう見えちゃう…?」
「ちちち、ちげぇって⁈桔梗も照れんな!」
2人から顔を逸らす。どんどん体温が上がっていく。
「わっ、私飲み物取ってくるね⁈」
思わず部屋を飛び出した。
階段を降り、リビングに来る。その場にへたり込み、一息ついた。
「はぁ〜。従兄弟君め…。」
にやけそうな頬を手で押さえる。
「…躑躅って、そんなに私と付き合いたく無いのかな。」
躑躅が勢い良く否定した事を思い出す。しかし、別にいいのだ。隣に居られれば。すこし気にはするが、私の事をなんと思ってなくとも、躑躅が誰かと付き合おうとも。
ただ、その誰かが自分だったら。そう考えてしまう。
「躑躅の幸せが一番なのに…
あはは、駄目だなぁ…私。」
冷蔵庫を開ける。先ほど入れておいた麦茶とグラス。冷凍庫からは、箱入りのアイスを3つを取り、お盆に置く。
「切り替えろ…切り替えろ…
心を殺して、にやけるな。暗い顔もするな。」
躑躅の部屋の扉を開ける。
そこには羽交締めにされる空木の姿があった。
「桔梗、しめといたぜ!」
「…ぷ。何それっ」
「待って本当にギブギブギブギブ」
やっぱり、躑躅って面白い。
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飲み物を取りに出て行った桔梗を見て、空木が躑躅に近寄る。
「で、実の所どうなの?兄ちゃんは桔梗さんの事好きなの?」
「貴様まだ言うか。」
空木は「教えて」とゴネ続ける。
「桔梗は…そんなんじゃねぇって。」
空木はポカンと、豆鉄砲で撃たれた鳩のような反応をする。
「桔梗は俺なんかじゃ釣り合わないよ。もっといい人と出会って、幸せになるべきなんだよ。」
そう語る躑躅の表情は何処となく悲しげだった。
「ふ〜ん、めっちゃ好きじゃん。重い男は嫌われるよ?」
「は、はぁ⁈す、好きじゃ…めっちゃ好きじゃないし!重くないから⁈」
しばし沈黙ができる。
「じゃ、じゃあ桔梗さんに彼氏が出来たらどうするの?」
「相手の家にご挨拶に行ってカメラ仕掛ける。」
「やっぱり重いじゃんっ⁈てか犯罪では⁈」
言い合いが続き、揉みくちゃになる。しかし、普段家を出ない空木では、スポーツもできる躑躅に勝てないのは自明の理であった。
「お前こそ好きな子いないのかよ⁈」
「俺は女に興味はねぇの!2次元の子しか可愛いとは思わねぇの!!」
そして羽交締めにされ、桔梗が戻ってきた。
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室内では扇風機がまわり、私のプレゼンした風鈴が鳴る。
「あれ、飾っててくれたんだ。」
「おん。」
素っ気ない態度でアイスを貪る。
「ほんっとに、顔色変えないんだな。兄ちゃん…」
「何年好きだと思ってんだ。これぐらい出来るわ。」
テレビゲームの話だろうか。躑躅が昔からやってるゲームとなると
「なんの話?カバンデビル?」
「ああ、そうだ。カバデビ。俺がピンチの状況でも、顔色ひとつ変えないって話。」
カバンデビル。通称カバデビとは、かばんに押し込められた悪魔を使役し、世界の頂点に立つゲーム。
あとで私もやろう。
エアコンのそよ風で、風鈴がチリンと音を立てた。
「そう言えば、今日うちに泊まる?」
「そうしようかな。電気代の節約になるし。」
「今度はそっち泊まらせろよ」
「わかってるって。」
3人はアイスを食べ続ける。
「って、えぇ⁈ナチュラルに泊まるやん⁈」
「「?」」
2人は同時に首を傾げる。
「え、俺今日は帰るべき…?あとは若いお2人さんで…」
「別に変なことしねぇよ⁈お前の方が若いだろ⁈てかさっきもこのツッコミしたわ⁈」
「躑躅、ツッコミのキレが凄い。」
空木は乾いた喉を麦茶で潤す。
「いや…でも、今高校生でしょ?どうなの、男女2人が屋根の下。何も起こらないはずが」
「あります。起こりません。俺が手を出すとでも?」
「CHICKEN。」
「桔梗さんっ⁈」
別に私は躑躅と居られればそれで満足なので、両思い以上の事は望まない。
「他の誰かに奪われる前に…」
「え今とんでもない事言わなかった?」
躑躅には聞こえていないようなので無問題。それに、そんな事をしなくても不届者ならこの手で先に始末するまで。躑躅を危険な目には合わせなし、その為ならば罪でも何でも犯してやる。———牢の中にいる間に躑躅を守れないので、捕まる様な事はあってはならない
おはこんばんちゃ〜みちをです。
激重両片思いって、いいよね。
幼馴染って、いいよね。
相手と自分は釣り合わないって思い合うの、いいよね。
夏に誰かの家で遅くまで駄弁ってるの、いいよね。
夏って見る分には、いいよね。
俺の癖の煮凝り。それがコレ。




