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72 久しぶりの授業

次の日。

「あけましておめでとうございます」

「「「あけましておめでとうございます」」」


今日の2時間目は英語のテスト返しだった。

僕のテストの答案に書かれた点数は80点だった。

赤点組はいつものメンバーの様子だ。テストが返ってきたときの表情で大体分かった。


「28点も、30点も変わらないよな」

「変わるよ。ボーダーラインだからな、ってことでペナルティシート、頑張って!」

「蟻音君、園恋君、私語を謹んでください」

「すみません」


僕は巻き添えで怒られた。

茂丸のテストにホチキスで紙が貼ってある。ペナルティシートのようだ。

そして宿題のプリントが集められる。


「50ページ、英会話の文章問題ね。まずは読みましょう。では、倉子君」

「はい。 I wanna make love with me〜〜〜〜」


いちがカタカナ英語ではなく、ネイティブのような発音で英語を喋った。

僕はいちの意外な一面に驚かされた。


「オッケー。それじゃあ賭野沢君、1行目、日本語とs、v、o、cに分けてみて」

「わかりまへん〜」

「15分、立ってなさい」


ウィイイイン。

比井湖の足の束縛が取れた。


「うぃす」


それから英語の授業は進んでいった。

プウ!


おならをしたのは比井湖だった。


「ゲホン! ゲホ!」


後ろの席のさんぽは咳き込む。

時間差で臭い匂いが僕にも伝わってきた。


「ウエッホン!」

「ゴホ!」

「クシュ!」


皆が咳き込んでいる中、いちは可愛くくしゃみをしている。


「先生! 臭いんで窓を開けてもいいですか?」

「こら、茂丸、寒いよ!」


窓際で地味なクラスメートの真田(さなだ)といとが注意する。


「廊下側の窓を開けましょう」


代案を出したのは、またしてもいちだ。


「そうね、そうしましょう。窓を開けてください」


廊下側の4人の拘束が取れた。

4人はすぐさま廊下側の窓を開けて、座った。


「それじゃあ授業に」


ブリリリ、ボッチャン


「誰? 先生が話ししてるのにそんなことしてるのは?」

「あ、俺です」

「小運君か、担任の先生に言っておきますからね!」


和矢の気の強そうな声にクラス中でクスクス笑いが起きる。


キンコンカンコーン


「はいじゃあここまで。次もまた小テストします」


和矢は早足で出ていった。


「満、どんまい!」


いちは憐れむように言った。


「はい、消臭スプレー」


僕は消臭剤を渡した。


「和矢ちゃんを怒らせちゃだめだろ」

「生理現象なんだから仕方ないだろ」


満は茂丸に迎え撃つ。


「うんこと言えば、王子のクソ匂いチェックはどうなってるんだ?」


比井湖は片肘をつきながら、斜め後ろの王子を見やった。


「まだ2週間あるだろ! 臭え屁して、何調子のってるんだ?」

「なんだと?」

「待った。2週間後に臭かったらブチのめせばいいだろ」


茂丸が珍しく意見を述べている。


「そうだけど」

「次は数学だけど、宿題やってきた?」


終硫が仕切り直すように僕に話しかける。


「当たり前だよ、当然のこと過ぎて逆に戸惑う」

「嫌味な言い方だな、茂丸は?」

「ああ、僕が見せた」

「ずりー、俺は適当な答え書いて、考えました風を装ったのに」

「そんなに難しいんだったら、後で数学のノート貸そうか?」

「まじで? ありがとう!」

「「「えー俺も、俺も!」」」


竹刀、さんぽ、満が入ってくる。


「じゃあ順番で借りていいから、その代わり絶対に汚さないでくれ」


キンコンカンコーン


数学の授業の始まりのチャイムがなった。先生が入室する。


「深呼吸、礼!」

「「「お願いします」」」

「早速だが宿題のプリントを集める。後ろの席から前に流せ」

「「「はい」」」


僕らは前に前にプリントを渡した。

先生はパラパラと集まったプリントを見る。

僕らはしばらく見守る。


「再提出の人にプリントを返す」

「「「ええ〜?」」」


皆はマ◯オさんのような声を出す。

プリントは何人かの人に返された。

僕や茂丸には返っては来なかった。


「明日の放課後までに提出、提出しなかったものは内申点下がるからな。じゃあ授業〜〜〜〜」


先生は授業を始めた。


キンコンカンコーン


「じゃあ、ここテストに出るからなー」


先生はスタイリッシュに出ていった。


「茂丸、目が死んでるぞー」

「わけわかんね! 何を言ってるのか」

「いや、分かれって」

「ノート貸して」


終硫にノートを貸す約束をしているのを思い出し、僕はノートを貸した。


「茂丸にも貸さないとだな」

「勉強とか無理、アイス食ってこたつで寝たい」


茂丸はうなだれている。


「モテないわけだ」

「うるせえ、んなことねえし! 童貞でもないし、彼女になりそうな娘だっているし」


茂丸は僕を見て、まくしたてる。


「明日姉さんはやめとけって」

「ひがんでるんだろう」

「いや、あんたがそれなら、それでもいいよ。僕が被害を受ける事がないなら」

「なんだぁ、茂丸何嘘こいてるんだよ? もし本当に童貞じゃないなんて許さないからな」


竹刀に茂丸は目の敵にされる。


「そうだが? ちなみにたいはケツもいってるらしいよ」

「たい、てめえこの野郎」

「さて、勉強でもするか」


僕は次の授業の世界史探求の暗記問題を解いていく


キンコンカンコーン

がらら

橋本は顔を赤くして後ろのドアから入ってきた。

千鳥足で、なんだか酒臭い。


「先生、昼間のうちから酒に溺れるのはどうかと」

「飲んでないよー、これは風邪をひいただけー」

「嘘つかないでくださいー、それが本当ならマスクしてください」

「先生の風邪は移らないよー、ひっく」


先生は黒板に大きなうんこを書き始めた。


「じゃあこれは何に見えるー? 蟻音ー」

「いや、それは、ソフトクリームの上の部分ですよね?」


僕は(引っ掛け問題だ)と思い防衛線を張った。


「うんー、答えはそうー、うんこだー」

「あの、授業と関係あります?」


いちが橋本をぶった切る。


「テストに出るからなー、先生はちょっと休憩するからー、自習ー!」


橋本はパイプ椅子にふんぞり返って座る。

ブー!

そのまま屁をこく。

誰もが思っているだろう。

(日曜日のおじさんかよ)


以上で今日は代わり映えのない日に移行した。

僕は明日の部活動まで楽しみでならなかった。


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