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36 テストとキス

僕は少し早く来て、いちからもらった本を熟読していた。もちろん、現代文のプリントもマスを埋めれるだけ埋めた。

キンコンカンコーン。

がらら。


「おはようー! 今日もいい天気だなー。3時限目は世界史探求のテストだからなー。欠席はいつものメンバーかー。それじゃあ、1番後ろの人、ズボンとトランクスを集めてこい」


担任はいつものハイテンションで手を広げる。ズボンとトランクスを集め終えると、その袋を担いで出ていく。

入れ替わりに来たのは現代文の先生だ。


「深呼吸、礼!」

「「「お願いします」」」


今日も”水の東西”を練習した。こないだのプリントは集められた。

黒板に語句が書き込まれていく。

僕は集中できずに絵を書いていた。


キンコンカンコーン。

少しの間に竹刀と比井湖、茂丸は必死こいて勉強している。

キンコンカンコーン。

次は数学1の授業だ。

教科書の問題を解かされる。

僕は数学の授業の問題は余裕で解ける。生徒と言うよりむしろ、先生になって手とり足取り教えたいくらいだった。問題に飽きてきた。優越感もあった。皆が苦い顔をしているので笑いをこらえる。

がらら

ところが突然、担任が教室に入ってきた。

無言でカチャカチャとズボンとトランクスを脱ぐ。

「くーーぅらすいちぃー!」

ブリブリブリブリ。

そのまま、おまるに乗りながらうんこした。臭気がその場を包んだ。


「エッチしてるみたい」

「茂丸、黙れ」

「いち大丈夫か?」


竹刀の言葉に、放心しているいちは電波を受信したかのように反応する。


「あ! うん」

「いち、遠慮しないでズバズバ言えよ! それとも、お前って男色なのか?」

「うちは別に……、好きな人が好きだよ」


いちは話していると、担任が何事もなかったかのように身支度をして教室からいなくなった。


「俺を好きになる可能性も0じゃないってことか?」


竹刀はいちをガン見する。


「いやそれはない」


ドッ!

教室で笑いが生まれる。


「授業中だぞ、私語は控えろー」


しばらく授業が行われて終業する。


キンコンカンコーン

休み時間。


「臭えー」

「何食ったらこんな臭くなるんだよ」

「知らねーよ」

「次の時間で全てが決まるんだからな」

「茂丸、比井湖、勃起マン、分かったか?」

「いち、俺が30点以上とったら、ちゅーしろよ」

「えっと、嫌なんだけど」

「じゃあ、白紙で出す」

「いち、それくらい許せよ」


比井湖が混ざってくる。


「分かったよ」

「やりぃ!」

「俺にもしろよ」

「分かったって」

「俺も!」

「うん」


赤点組はいちに承諾を得ると、最後まで詰め込んで勉強した。

キンコンカンコーン

がらら

「それでは、テストをするー! カンニングはするなよー。1枚とって後ろに回せー」


担任がテスト用紙と解答用紙を配る。世界史探求の問題だ。

僕は回ってきた解答用紙に名前を書く。


「始めー」


皆がペンでかきこむ音が聞こえる。

僕は山が当たらなかったことで一瞬、生きた心地がしなかった。

(それでもなんとか50はいく、普段から勉強していて良かった)


「うー」


茂丸は唸っている。

僕の山は外れたが、それでも50点くらいはとれるように作られているテスト対策の紙で勉強したはずだが。

ブリブリ、ボッチャン!


その排泄音で茂丸の唸っていた理由が分かった。


「園恋、静かにー」

「はい」


茂丸は調子よくペンを走らせている。

比井湖と竹刀もだ。

僕は安心して解答を書ききった。


キンコンカンコーン


「はい、それじゃ、後ろから解答用紙を回してこいー。明日返すー。次は音楽と美術の授業だー、取りにこいー」


担任は僕ら後ろの人にトランクスを取りにこさせる。


「頑張れー」


担任はおまるを持って、ボソリと言って出ていった。


その後、音楽の授業を受けて、体育の授業を受けた。


そして昼休みになった。


皆は弁当やパンを食べている。


「茂丸、テスト出来た?」

「3割はこえてると思う」

「謙虚な事いうなよ」

「いちの唇と俺の唇を合わせるために、あとチョメチョメするために頑張ったって言えばいいのか、この変態野郎」

「変態はあんただ」

「うち、チューすると言ったけど、唇にするなんて一言も言ってないんだけど」

「そんな事言っていいのか?」


比井湖はハスキーボイスで言う。


「手のひらにキスする気か?」

「そうしよう」


いちは僕の提案にのった。


キンコンカンコーン

がらら

担任が僕らのトランクスを回収に、それとおまるをセットしに来た。

次の時間は古典だ。

次に教室に入ったのはマスクにサングラス姿の宮内だ。

古典の授業もプリントを配られて自習になった。

僕は苦手ながらも漢文の問題を解いた。


キンコンカンコーン


授業は終わりをチャイムが告げて、宮内は猛スピードで去っていった。

まるで匂いが教室に染み付いているかのようだった。

おそらく臭気の原因はちゃんと洗われていないおまるだ。


キンコンカンコーン


次は英語の授業だ。

僕ら必死に勉強した。和矢に当てられながらも皆、懸命だった。


キンコンカンコーン

がらら

授業は終ると担任が待っていたかのように、すぐに現れた。ズボンとトランクスを返された。


「それでは終礼ー。えーまず始めに、帰りにヒニネニヒ君にお別れの挨拶しとけよー。明後日は持久走大会だートイレは職員室トイレを借りるようにー。それでは皆、気をつけて帰れよー」

「やったー! 誰も30点以下いないんだな!」

「園恋ー、またお前かー、うるさいー」

「ヒニネニヒ君はどうなるんですか?」


僕は一応聞いてみる。


「先生が私用で使うー。それじゃあ、風邪に気をつけてー解散ー」


担任は、おまるを大事そうに抱えて出ていった。


「ったく、あんなおまるに、8万も勝手に使い込みやがって」

「待て、地獄耳だから、いなくなったか確認してから喋れ!」


僕は茂丸に注意して、廊下を見回した。


「大丈夫そうだ」

「明日は部活かー」

「約束忘れるなよ」

「分かってるって。いちにキスしてもらおーっと」


いちの周りには人だかりが出来ている。

いちは竹刀の手にチュッとキスをしていた。比井湖と茂丸は列を作って待つ。そして比井湖の手にいちの唾液が軽くついた。


「俺はほっぺ」

「仕方ないなあ」


茂丸はしゃがむと、いちは茂丸の頬にキスをした。


「あー、ずりー! 俺もほっぺたにすればよかった」

「もう遅いですー、っあ」


いちは不意に頬にキスされた。

茂丸がいちを見つめて、いちの頬にキスをしたのだ。


「うち、もう帰る!」


いちは荷物を持って逃げていった。


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