表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/120

26 大会の当日

次の日。大会当日。

僕は5時40分に目が覚めた。下に降りる。

(とうとうこの日がやってきた!)


「今日は早いね」


母が朝食と弁当の用意をしていた。


「母さんも早いな」

「いつもこの時間には起きてるよ」


母が弁当に凝った飾りでデコっている。


「あんまり可愛い感じにしなくていいから」


僕は(茂丸とどっこいどっこいの装飾の弁当になりそうだ)と思った。


「何言ってるの? たいちゃんが頑張るんだから、私も頑張らなきゃ」

「そうじゃなくて、恥ずかしいんだよ、食べるの!」

「できた、ウサギさんだよ」

「あー」


僕はがっかりしながら受け取る。

(こんな可愛いお弁当、皆にバレたら笑われる)


「押し黙っちゃって! 感無量?」


母は勘違いをする。


「いただきます」


僕はそのことには触れず朝食を食べる。


「たい、おはよう」


父が大あくびをしながら起き出してきた。


「おはよう父さん」

「今日大会らしいな」

「母さんから聞いたな」

「はい」

「ん?」


僕は瓶に入った錠剤を受け取った。父はそのまま小声で話す。


「ED薬だ」

「ありがとう父さん」


僕は生々しい話は嫌だったので効き目を聞かずにリュックに入れた。


「じゃあ僕はもう出るよ」

「早いね。いってらっしゃい」

「行ってきます」


僕は自転車のカゴに弁当を入れた。寒い中、ペダルを踏んで走り続ける。


「雪だ」


空から白い結晶が降ってくる。吐く息も白い。

僕はカッパを持ってきていないので、学校までの道のりを急いだ。

学校に着くと、校舎内に小走りで入った。窓を見ながら教室に突入した。


「3組の皆へ。今日は便座に座らない、トイレは職員室トイレへ」


黒板に書かれた文字を音読した。

僕は弁当や使わないものをロッカーに入れた。リュックは机の上だ。


「ED薬っていつ飲むんだろう」


僕はケータイで調べた。


「1時間前か、8時に飲むんだな」


ブウ!

誰かが屁をこいた音がする。


「いえーい、一番乗りー、あ、たい!」


満はびっくらする。


「おはよう」

「お、おはよう」


満は黒板を凝視した。


「俺トイレ」

「いってら」


僕は満を見送った。廊下の窓を見下ろすと、ちらほら生徒が校舎に入っていくのが見える。


「積もりそうだな」


雪はコンコンと強くなって、降る。


「おはよ」


見慣れた顔が現れる。


「よ〜」


茂丸は廊下をだるそうに歩いて来た。


「おはよー」


マスクをつけたいちも続いてきた。


「おはよう! 雪やばいね」

「ねー、ゴホゴホ!」


いちは風邪を引いているようだった。

しばらく待つと、不登校児以外のクラスの全員が集まった。


がらら


「おはようー、休みはいつものメンバーなー。ぞれじゃあ体育館に向かうぞ。名前の順に並べー。あー、蟻音と園恋は1番後だぞー」


担任は廊下に出るとクラスの皆も廊下に出た。クラスメートのほとんどが双眼鏡を持参している。

もちろん僕も持ってきている。ED薬と一緒に持ってきた。


「頑張ろうぜ」

「おう、それでこれ飲んでほしいんだけど」


僕はED薬を1粒茂丸へよこした。


「勃起の薬だよ。危険なものでもないし、ドーピングではないと思う」


僕も水無しで飲む。

茂丸は頷くと飲み込んだ。

僕らはそのまま体育館内のレッドカーペットの横のカーテンに区切られている隅の場所にたどり着いた。部屋は温かい。


『お集まりいただきありがとうございます。只今準備中です』


1年1組の凸凹コンビがズボンとトランクスを脱ぎ捨てる。


『それではこれよりマスターベータソン日本版、飛距離大会の開催を始めます、1年1組からの出場です。1人目登録名、ヒッピーです』


背の高いのっぽの”ヒッピー”がカーテンから出て、レッドカーペットを歩く。

端まで来て、段ボールをとる。中にはグラビア雑誌のおかずがあった。


『それでは3分間レディゴー!』


僕らと学校の皆は彼を見ている。

(なかなか出さないな、緊張してるのか?)


「頑張れーーー!!!」

「出せー! 出しちまえ!」


声援に応えようと、彼は大事な部分をシコシコしている。しかし元気になりそうにない。


『10秒前、……5、4、3、2、1、ゼロー! おっと緊張しているのか? 初っ端から出しませんでした!』

「ええ〜〜!!!」


落胆の声を上げるのは1年1組の皆だ。


「立派なもん持ってても出せなきゃ意味ないよな」

「茂丸。何も言うな! あんたもああなる可能性があるんだから」


僕は茂丸をいなす。


『続きまして1組、2人目、とんちんです』


1組の2人目は眼帯をしている身長が低い男子だった。


「とんちん、ごめん! 後は頼む」

「分かってるよ」


とんちんはヒッピーに対して苛立っているような返答だった。そして、レッドカーペットに足をのせた。その途端、あそこが元気になる。上も脱いで全裸になる。


「何?」


僕は驚いた。

(露出狂だ!)


「イッけーー!!」


次のおかずはTE○GAだった。

しかしそれを使うことをせず、とんちんは机をどかした。


「おりゃぁあああああああああ」


とんちんの精液は高く上がってしまったが、出せることは出せた。


「おお!」

「よくやった!」


観客は熱視線を送る。

どよどよ。


生徒会員が測りを使って測る。


『今の記録、42センチでした。続いて、1年2組じゃい君。只今、精液除去中です、しばらくお待ち下さい』

「なんか皆、フルネームじゃないんだな」

「本当にそれだよな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ