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14 反省と謝罪

次の日。

僕は母に車で送り迎えをしてもらうことになった。頭の包帯は一応、まだしておくことにした。

朝はのんびりしていたが、通勤ラッシュで車の進みが悪く、遅刻ギリギリになってしまった。


「よう、蟻音」

「おはよう、勃起マン」

「昨日は……その……」


竹刀は何か言おうとしたがチャイムに遮られてしまう。

キンコンカンコーン。


「ん?」


がらら。


「おう、蟻音、昨日は大丈夫だったか? 次はできるだけ早く、そのズボンとトランクスを脱いでおけよ」

「おかげさまで無事です。心配おかけしてすみませんでした」


僕は言いながら、ズボンを脱ごうとして、竹刀の息子が萎えているのに気づき、驚いた。


「勃起マン?」

「気にしなくていいから」


そう言うと出席を確認する先生。

僕が思うに竹刀は先生にこっぴどく叱られたようだ。


「ついに来週の木曜日、大会が行われるー。蟻音、園恋、頑張れよー。竹刀、やんちゃすぎるのは止めとけよー。蟻音に謝ったのかー?」

「いや、蟻音がギリギリに来たんでまだっす。蟻音、ふざけすぎたな。ごめん」

「昨日のことどうなったんだ?」

「昨日は日余がメリケンサックで殴ろうとした俺の弟から、蟻音を守ったんだが……、蟻音はその衝撃でレンガに頭強打して、血だらけになっていたんだ。頭が切れていたんだと思うが、痛いか?」

「痛みはないよ」

「日余は泣いていたよ。蟻音が死んじゃうんじゃないかって。確かにメリケンサックは良くない。昨日の日余の泣き顔を見て、俺らは改心したよ。大会頑張れよ」

「その事だが、2組の角力じゃい君が怪我しているのが、園恋と蟻音の影響と聞いているんだが、何をしたんだー?」

「輦台に細工をして壊させたんです。でも先生も嫌っていたじゃないですか?」

「バカもん! 君達のやっていたことでPTAも怒り心頭なんだぞー! 角力君だったから怪我が浅く済んだものの、日余さんにでも怪我させてみろ、そりゃ校長もクビを切られるぞー。ちなみに角力君は大会まで身体を休めて、大会に出るそうだー。先月から職員会議で決まったメンバーを代えるわけにはいかないからなー。今日は1時限の英語の授業は立って受けること。反省文と謝罪文も3枚ずつ書いてこいー」

「「はい、分かりました」」

「紙は、ちょうど1番後ろだから、衣類集める時に取りにこいー。それじゃズボンとトランクスを前に集めてこいー」

「「「はい」」」


教室の空気がピリついている。

僕らは6枚紙をもらった。

ぷう。

ドッ!

先生がでていくと、どこからともなく、おならの音と笑い声が入り混じった。


「いやぁ、とばっちりだったろ! 包茎委員長」

「僕は別に自分で決めたことだ、悔いはない」

「貸せよ、1枚書いてやる」

「勃起マンの字は汚いだろ」

「遠慮するなよ」

「じゃあ、俺のを」

「うんこマンのは嫌だな、うんこついてるだろ」

「うんこマン言うな。ついてねえよ」


がらら。

優関椎先生が入ってきた。

僕と茂丸を見るなり、しかめっ面で僕らに告げる。


「2人のことは聞いてます。2組の子のことは元より人に迷惑をかけないことです、それでは40ページの英会話を読んでいきます。白崎さん」

「はい。〜〜〜〜」


しばらくして、なんとか英語の授業は終了した。


ぶりぶり、ぼっちゃん!


「あーすっきり、良いよって言ったら出せるくらいだった」

「茂丸。うんこするなよ」

「いいだろ、次、選択科目だし」


茂丸は流せるティッシュで尻を拭いている。

担任がトランクスと僅かなトイレットペーパーを1番後ろの人に渡し、全員に配った。


「よっしゃ、行こう、たい」

「おう」


僕はトランクスを履きながら頷く。

トイレは蓋が閉まり、流れた。




『たいです。 例の好きな人と仲直りしました。ありがとうございました』


僕は音楽室に着くと葉阿戸と仲直りしたことを父に報告した。


キンコンカンコーン。

始業のチャイムがなった。


「今日は日本語でオー・シャンゼリゼを歌います。教科書32ページを開いてください。まずは聴いてください」



「はい、それでは全員で歌います」


歌っている最中に小さな五線譜のプリントが配られた。


「はい、それでは音感テストをします。先生がピアノを弾くので、音階をドレミでいいので書いてください。3つ目からは和音になります」

「和音って?」

「3つ以上の音を一緒に鳴らすことだよ」


いちがボソリと喋った。


「ありがとう」

「それではいきます」


♪〜


僕は音感がないようだ。

(ファかな? ソかな?)


「もう一度同じ音を出します」


♪〜


僕はびっくりする程、わからなかった。


「それでは次の問題」


♪〜


僕はこれも難しくて解けない。


「もう一度」


♪〜


「それでは和音で弾きます」


♪♪♪〜


僕は適当に書いていた。

(あたりっこなくないか?)


♪♪♪〜


「はい、それでは最後の問題」


♪♪♪〜


「もう一度」


♪♪♪〜


先生は弾き終わるとクラスの代表にプリントを集めさせた。


僕はぼんやりと窓の外を眺めた。

(葉阿戸と仲直りできてよかった)


「残りの時間はハンドベルの練習をします。代表の方持ってきてください」


僕は前にあるハンドベルを取りに行った。


「お前、葉阿戸を助けたは良いとして、じゃいをひどい目に合わせたそうだな?」


名前のわからない生徒にお前呼ばわりにされて僕はムッとする。


「その件はもう終わった話、追求しないでくれ」

「なんだと? じゃいがどれだけ怖い思いしたか分かってないみたいだな?」

「分かってるよ。じゃいには申し訳なかったよ」


2組の連中と僕はやり合う。


「喧嘩しないで、さっさと持っていきなさい」


先生が言うと「俺は許さねえから」と言って2組の集まりに混ざっていった。


「たい、気にすんな! もう終わったことだし」

「うん、ベルやろう」


僕は今すぐ、葉阿戸に会いたくなった。


♪〜


皆はベルを器用に鳴らして1曲を鳴らし終えた。


「はいそれでは回収してください」

「俺が行く」


茂丸は僕のことを気にしているように思えた。


「〜〜〜〜」

「〜〜〜〜」


茂丸は取っ組み合いの喧嘩にまで発展しそうで僕は肝を冷やした。


「言っておいたから」


茂丸は自信たっぷりに鼻の下を擦る。


「何を?」

「俺らの事」

「なんて?」

「洲瑠夜君に殺されかけたこととか」

「それはそれは……、お互い様だよね」

「まあ、良いんだけどね、もう。2組も大会出るらしいし」

「そうだな」

「おーい、教室に行くぞ」

「「はーい」」


2人はいつものごとく、団体で行動した。


「待って、簿月洲瑠夜がいる」


教室の前の入口に陣取っている洲瑠夜。

僕らは気が付かない程度に接近して、奥の扉から入ろうとした。


「待てよ。蟻音、園恋」


見つかってしまった。


「昨日はすまなかった、それと」

「いや良いよ別に」


茂丸が先走る。


「うんうん、大丈夫大丈夫」

「これ、受け取ってくれるか?」


洲瑠夜は小さな包みを2人に渡した。中身はクッキーに見える。


「何だこれ? 毒でも食わせる気か?」

「だったら、毒見してやるよ」


洲瑠夜は茂丸に渡した包みを奪うと、中を広げてクッキーをつまみ、食べる。


「美味いな、じゃあそういうことだから。どいたどいた」


洲瑠夜は茂丸にクッキーを押し返すと嵐のように去っていった。


「どういうところだよ」

「あいつなりに考えてるんじゃないか?」

「なにか混ざってたらやだな」

「大丈夫だよ」


僕はクッキーを口に入れた。

甘くてとろけるように美味しい。

茂丸も匂いを確かめて、食う。


「意外な才能かもな」

「だね」


僕は教室に入り、クッキーをロッカーに入れた。


「弟からの餞別はどうだった?」

「勃起マン、何かクッキーに入れたりしてないよな」

「♪〜」


竹刀は口笛をふいて席に座った。


「どんな反応だよ」

「多分大丈夫だよ」

「そんなことより、たいはオナ禁してるのか?」

「してるよ。茂丸は?」

「なんとかな」

「お前の息子、ギンギンのようだけど」

「今日エロい夢見てな。抜いても良い?」

「おまっ、自分で言っておきながら。ここでする気か? だめだぞ」

「夢精はしてないぞ」

「そんなことで偉ぶるなよ。ちなみにどんな夢?」

「話したら出しちゃうかも。お前もおかずにするのか?」

「興味本位だよ。いいよ言わなくて」

「女の子にだよ? 右手でおっぱい揉みながら、左手でマッ◯シェイク飲んでる夢だよ」

「そんなに興奮するような夢じゃねえぞ!?」


キンコンカンコーン。


トランクスが回収されて、世界史探求の授業が始まった。

僕は眠気と戦いながら、授業を受けた。今日はよく担任と目が合う。

そして、昼休みになった。


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