111 2年生大会当日4
2回戦目。
『1番は1年生、”ふうるう君”です。準備のほどはよろしいですか。それではスタート!』
レッドカーペットを歩く”ふうるう君”はすでに勃起している。
ED薬を拵えてきたのだろう。
TENGAフリップを手に持っている。
「やばいな」
「たー君、日和ってるの?」
「いや、日和ってないですよ」
僕はことの成り行きを静かに見守った。
ふうるう君はカーペットに座ってTENGAを使用している。
「ぬは!」
いきなり立ち上がり、マットに出した。
距離は大して出ていない。
『今の記録を測定した結果、40センチでした! 続いて2年生、”蟻音たい”です。只今、精液除去中です。しばらくお待ち下さい。……はい、お待たせしました』
司会の声に僕は動悸がしてきた。
(ここに居たくない。苦しい)
「たいー! 頑張れ!」
状況を一変させたのは葉阿戸の声援だった。
「葉阿戸」
僕は気を取り直しておかずを持ち上げる。AVの映画用セットだ。タブレットの上にポップコーンとジュースを乗せて運ぶ。生徒会のテントと向かい側の机の上に置く。キョロキョロと葉阿戸を探した。葉阿戸を見つけた。神妙な面持ちで葉阿戸から目を離さずにタブレットを操作した。
『あっあっ』
「僕はあんたが好きだよ!」
僕は硬くなったあそこをしごいた。
「ング!」
葉阿戸と目を合わせながらフィニッシュした。
マットの左側ギリギリに迫っていた。
モンが測りに来る。トランシーバーのようなもので飛距離を伝えている。
『今の記録48センチでした! 続いて3年生、”生徒会長”です。只今、精液除去中です。しばらくお待ち下さい』
「それだけ? 本当に?」
「蟻音は生徒会に仇なす者なのか?」
モンは小声で僕を窺い見る。
「いや、いいです、僕が悪かった」
僕はすごすごと帰っていった。
『はい、お待たせいたしました。最後を飾るは我らのボス、”生徒会長です”、ラブドールを片手で抱えています。48センチを超えられるか? はたまた出が悪いか? 1世1代の大勝負です』
滑舌よく生徒会員が話している。
「ちぇ! 僕の時は尺が短かったのに! 贔屓だ」
「たー君、この局面、勝たせてもらうよ」
拓哉がテントの外にいた僕の肩に手をおいて唾を拭く。
「いや! 汚い」
「蟻音君、生徒会長の唾を付けておくっていうのは至高の栄誉ですよ」
「”唾付けとく”の意味違いだろ、それ」
僕とモンが会話していると、拓哉は小走りでレッドカーペットの敷いてあるギリギリまで着いた。そして、”ドールちゃん”と正常位でおっぱじめる。
「「「会長頑張れ!」」」
『決まったー! インしました! これはゴールするのではないでしょうか?』
「いつから、サッカーの試合みたくなったんだよ! インしましたじゃねえよ!!」
僕はツッコミが追いつかなくなりそうなので、2階に向かった。
「フン!」
拓哉はマットに精液をぶちまけた。
「負けたかな? 頼む、飛ぶな!」
僕はドキドキ感でいっぱいだった。
モンのきれいな顔が鳩に豆鉄砲食らった顔をしていた。
『ななな、何ということでしょう! 飛距離、48センチ、並びました! これより3回戦が行われます』
「おい、茶番やめろよ、会長の勝ちだろう?」というブーイングに対して、副会長のモンは言い返した。
『決して茶番ではありません! えこひいきもしてません! 不満があるなら中央にお集まりください、そして10分後に着席してください。3回戦を行います。おかずは自身の妄想です。以上、生徒会からでした』
生徒会は収集をつけた。
僕は拓哉の圧力から離れたかった。
(怖い! ベッドで丸くなりたい。もう負けるか?)
そう思わせるほどだった。
僕は2階から下に降りて、1階の2年3組の陣地まで行った。
「たい、君はよく頑張ったよ。もう疲れたろ? 時間まで休んでな?」
葉阿戸は着崩した学ラン姿で僕を迎えてくれた。
「いいや、最後の勝負、頑張るよ」
僕は葉阿戸に抱きついた。
「無理だけはするなよ」
葉阿戸からは柑橘系の制汗剤の香りがした。
「うん、ありがとう」
僕は、いつもの葉阿戸だと安心した。
約10分、葉阿戸の笑顔に眼福を得て、テントまで走った。
『泣いても笑っても、最終試合です。2年3組、”蟻音たい”VS3年1組、”生徒会長”5分間の1本勝負。ここに開幕ーーー!』
僕と拓哉は一緒の歩幅にお互い真似しながらカーペットを歩いた。
「ようやく俺のライバルと真剣勝負ができる! 3分間待ってやる」
「そんな悠長なこと言っていていいのですか? 僕の彼氏でもう妄想力は抜群なんですが」
「「いざ勝負!」」
僕は瞳を閉じた。瞼の奥の奥でひまわり畑に白いリボンの麦わら帽子に白いワンピースの葉阿戸が浮かんだ。
「これは健全な話だ! もっといやらしい妄想しろ!」
僕は自分の頭を机に叩きつけた。
「……大丈夫か? 棄権するか?」
「それは頭の心配ですか? 大丈夫です」
「しょうがないやつだな。ちんこ出せ、俺が抜いてやる」
「はい? あ、ああ!」
僕は自分のあそこに粘膜の感覚がした。
フェラされていた。
「く! ダメですう、やめてください、わああっ」
僕は身を引っ込むと、マットにアレを出して果てた。
「たー君、君の勝利だ」
拓哉の声とマットに転がる僕は顔射されているのに気がついた。
「何?」
僕は全身の疲れにより立ち上がれなかった。
(最初からそのつもりで?)
「「「わーーー!」」」
「「「おめでとう、たい!」」」
「「「会長、お疲れ様です」」」
歓声が聞こえてきた。体育館内に響き渡る。
何が起こっているのだろう。ひょいと、僕の体が持ち上がった。
僕は拓哉の乳首が僕の肘に当たる感覚がした。お姫様抱っこでレッドカーペットを進んでいた。
「保健室でしばらく寝てなさい。代わりはたー君の彼氏に任せる」
その言葉とともにの目の前は真っ暗になった。