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109/120

109 2年生大会当日2

案内された2階からは持ってきた双眼鏡で観れる。

黄色が前に出ていく。


「良いの来い! 良いの来い!」


黄色の心の叫びはこだまする。


「え?」


ダンボールの下には映画館でよく見るポップコーンとジュース(メロンソーダ?)と光っているタブレットがあった。

黄色は臆することもなく、ポップコーンを食べる。

タブレットを開くと、右手にポップコーン、左手にちんこを持つ。


『パンパン!』

『あんっ、あうっ!』


そうして、大音量でAV鑑賞をし始めた。

ボリボリとポップコーンを食べながら、シコる黄色。


「AVは映画じゃねえんだよ! 誰だよ、ポップコーンとジュースとAV持ち込んだやつ!?」


「あ、俺だ」と隣で聞こえた。


声のする方を見ると王子が居た。


「あんたかよ」


僕は呆れを通り越して感心した。


『さて、残り時間も少なくなってまいりました』


司会の声に、黄色はハッとしたかのように周りを見渡した。

自分の世界から帰ってきたように、机をどかす。

シュッシュッシュッと音が聞こえてきそうなくらいのシコリだった。

ピュッと少しの液体が出た。

例により生徒会員が測る。


「さて出ました! ……今の記録29センチでした。続きまして、これから3年生の部に入らせていただきます。我が校の代表、3年1組1人目、”生徒会長”です。只今、精液除去中です。しばらくお待ち下さい」


皆は待ちくたびれていたのが、一気に集中し、目に焼き付けているかのようだ。

僕の心臓は暴れていた。


『用意が整いました! それでは”生徒会長”どうぞお願いします!』


マンモスの歩行のようにずんずん突き進む拓哉。

そして、ダンボールを剥がし、観客の方へ投げた。


「「「会長! 頑張れ!!!」」」


1階のテント、観客席から応援の声が上がる。

気になるおかずを拓哉が手に取った。

エロゲの”リイネイ”だった。

タッチペンで画面をつついている。


『何をしているのでしょうか?』

「わからーーーん!?」


観客が熱くなっていく。


『制限時間10秒前、9、8』


司会の声で拓哉は試合に気を取り戻す。机と机の上の”リイネイ”をどかして、大きな竿をシコりだした。


やはり3秒前、ドピュルル! と出した。

結果、1メートルジャストだった。


『会長、お疲れ様でした! 続いては3年1組2人目、”岡山ケン君”です。只今、精液除去中です。しばらくお待ち下さい』


司会の声を聞きながら僕は安堵した。

(このまま行けば、第2回戦に持ち込める。問題は生徒会長だ。彼は飛ばすぞ)

生徒会員によってアルコールティッシュで拭かれていくマット。また、机の上のおかずが変わる。


『お待たせいたしました。”岡山ケン君”レディゴー』


司会がレッドカーペットの上の男子学生を囃す。


「皆のスター、岡山ケンだ! うんと遠くに出してやるぜ!」

「なんだありゃ」


僕はひとりごちた。

彼は白い肌、中肉中背でほぼ素っ裸である。しかし、サンバの衣装を身に着けている。極め付きは頭からローションのようなテカテカしたものを被っている。

そのド派手さに僕は目も当てられない。


「良いの来い!」


そのおかずがなんと切ったドリアン、そしてシュールストレミングだ。


「くっせ!」


僕に匂いがうっすら飛んできた。


「オロロロ」


さすがの岡山ケンも吐き出した。

あまりの臭さに近くにいた生徒たちも吐き始めた。逃げ惑う先生と生徒達。

彼らは将棋倒しのように倒れる。

未曾有の非常事態に陥った。


「「「ぎゃあああああ」」」

『落ち着いてください。落ち着いてください! 今撤収しますので、皆さん動くのをやめてください』

「誰が用意したんだよ!」


僕は非難の声を上げようとした。


「ちっちっち、俺だよ」


隣りにいる拓哉が指を振った。


「雷神先輩。あれが自分のときに来たらどうするつもりだったんですか?」

「それは低い確率。たー君は引き当てたけど、俺は体も運も最強だと心得てるからね」


拓哉は満足気に下を見下ろしている。

僕はその精神が信じられなかった。

(スウェーデンでは屋内で開缶することが禁じられているのに、この人は!)

ガスマスクを付けた生徒会員がゴミ袋にドリアンとシュールストレミングを捨てた。何重にもして縛っていく。吐瀉物もきれいに拭かれた。


『はい、皆さん、元の席に座ってください。”岡山ケン君”は失格になります』

「ずりーよ」

『大会規定に則って、生徒会が判断しました。続いて、3年2組、1人目”山田花子”です。少々お待ちください』


生徒会員はドリアンなど入ったゴミ袋を外のごみ収集所に捨てに行った。

モンは鼻をつまみ、香水を射精位置にふりかけている。おかずも置いた。


「オッケーです」

『はい、それでは”山田花子”、お願いします』


顔の見える黒い全身タイツで、局部に穴が空いている男子が躍り出た。太っている。


「今度はなんだ」


僕は注目する。

気になるおかずは……湾曲を描くバナナだった。


「ウホッ! いいバナナ」


”山田花子”はバナナの皮を剥き普通に食べだす。


「「「おかず食ってんじゃねえーよ」」」

「「「なんだゴリラか」」」

『不正ではありません』


モンがマイクで話し、一同の声による乱闘を収めた。


「よしスッキリしたことだし出すぞ!」


ブー!

”山田花子”はおならをした。


「「「何出してんだ!?」」」

『制限時間10秒前、9、8』

「うわぉおお」


”山田花子”が渾身の一撃を放った。

しかし空を舞った。


『上がったー! レフトフライです!』

「今回はたー君以外に骨があるやついないのかな?」


拓哉は小声であからさまにがっかりしている。


「窪竜司先輩、まだ出てないな」

「そういや、去年、ちんこ骨折した伝説の野郎だな」

『今の記録32センチでした! 続いて、3年2組、2人目”窪竜司”です。只今、精液除去中です、しばらくお待ち下さい。去年は思わぬトラブルで勝利を逃してしまいましたが今回は大丈夫でしょうか? 乞うご期待! ……さて準備が整いました。レディゴー!』


司会者はハードルを上げて、始まりの合図をした。



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