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免疫魔法でパンデミック無双  作者: 免疫うーず
3/3

そして伝説への第参話

「俺を置いて先に行け! 大丈夫だ! これが終わったら結婚するんで死ぬわけにはいかない!」

「結婚? 誰と」

「ダッチワイフのマリアちゃんだ!」

「ふーん。

【回復免疫20000%】」

 

 自然回復の約200倍の反転ダメージとして、立ち塞がっていたオーガを蝕んだ。

 

「えー……俺の覚悟はよ」

 

 

 

 ――何故か張り子のディル。そして冒険者見習いの有栖さんとバジリスク討伐に赴いたのである。

 

 

 

「どうも僕。有栖っす!」

 

 女キャラが居ないので、オルオムは有栖に【性転換免疫-1000000000000%】を賦与していた。

 

 実はこの世界では、常に微弱な性転換波が飛び交っている。

 本来中性として産まれる生物が性別を獲得するのは、この仕組みのお蔭なのだ。

 

 そして免疫力を反転増強した結果。有栖は常に性転換し続け、男と女に絶えず変化。

 やがて変化頻度は極限を突破。

 量子もつれのように成否の重なり合う状態となった。

 男でもあり女でもある。

 つまり両性具有の僕っ子に最適化されたのだ! すごい!

 

 

「キミはそれでいいのかね!?」

「え……悪くないかなって――きゃ!」

 

 そういって両手で顔を覆った。

 ――何故に?

 

「ム。まだ名前を聞いて無かったな!」

「――名前も聞かずに性転換したのかよ!」

 

「――僕。異世界から来たんです! だから名前は有栖川アリスって言います!」

「ふむ。それは驚きだな!

 苗字と名前が同じとは!」


「――そこなの!?

 驚くとこそこなの!?

 異世界は!?」

「私を差し置いて『異世界から来た』とか目立つ設定!

 認められるわけ無いだろうが!

 僕っ子の乳を揉んでくれるわ!」

 

「や、やぁ……らめぇー――」

 

「やめろぉーーーーー!

 

 揉むなら俺の乳を揉め!」

「じゃ、じゃぁ……ぎょくり。」

「――ああ……」

 

「なにしてるんですか、あなた達は……」

 

 飽きれた顔でその様子を眺めていたのは受付嬢のダイヤ・ログであった。

 

「おっと。未だ冒険者ギルドの中だったか。」

「いやいや。普通にバジリスクのいる、ウンチョコ荒野まで来てますから。

 いい加減、正気に戻ってください!

 それと私がいる理由の説明しときます!

 討伐証明しようがないから、ギルドに信用のある人間が同行して証明するんです!」

「めんどくさ」

「じゃぁなんで依頼受けたんですか!」

「駆け出しでも受けられてしまう依頼を出しているギルドが悪い!」

「普通、分に合わない依頼なんか受けませんよ!

 死にたいんですか!」

「え? 受付さん。俺殺すの? 処すの? 怖!」

 

「ふざけるのは、そこまでにしてもらおうか!

 来らぞ! いたたたたた」

 

 ディルは舌なめずりすると舌を噛んだ。

 彼はサメの様に歯をギザギザに削っているため、舌を噛むと大変痛いのだ。

 因みに象牙質が露出しているので虫歯になりやすいせいで食事は全て丸のみである。

 好物はチョコ味のプロテインだ!

 

 

 果たして荒野の果てから姿を現したのは無数の足を蠢かせたバジリスクであった。

 バジリスクの生息範囲にあるものは全て石化し、砂と崩れ去り砂漠となり果てる!

 

 

「来たぞ!

 フォーメーション(ブイ)

「来い!」

「任せて!」

 

「……え――何て?」

 

 三人なので横並びにならない限りV字にしかならない。

 

 そんな三人にバジリスクが迫る!

 

 

 ――ギン

 

 

 怪物の目が怪しく輝いた!

 

 もはや彼等の命も風前の灯火!

 

 

 ――だが、その時だ!

 

 

 

 ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ

 

 

 

 バジリスクのいた場所には巨大な塔がそびえたっていたのである!

 

 

 塔といっても太さは 40m くらいで高さは遥か上空で測ることは出来ない。

 

 やがてゆっくりと徐々に地面に沈み込み始めた。

 秒速5cmくらいだろうか。

 

 

「な……んだ。これ」

「バジリスク、食べられちゃったよ?」

 

 なおも加速度的に落下速度は早くなっていく。

 それを呆然と眺めることしかできない。

 

 10cm/s

  20cm/s

   40cm/s

    0.8m/s

     1.6m/s

      3.2m/s

       6.4m/s

 

 ――51.2m/s

 

 

 ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 

 

 全て沈み込んだ衝撃で地面が爆発した!

 

 全員その場に伏せる!

 

 

 ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 

 

 巻き上がった砂が豪雨のように降り注ぐ!

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

「プハっ!」

 

 砂に埋もれた一行が顔を出す頃には、塔のあった場所には巨大なクレータ―が出来ていた。

 

「なんだアレは……」

「あれは、指定S級災害級モンスター・サンドワーム!

 てっきり砂漠化はバジリスクのせいだと思ってましたが、サンドワームの縄張りに代わってたんですね!」

「なんじゃソレ! ふざけんなよ! ギルドしっかり調査しろよー!」

「依頼料はちゃんと支払いますから! とにかく逃げましょう! ギルドに報告しなくては!」

 

 

 バサ――

 

 

 三人の前に立つのは一人の男。オルオム。

 

「我の前では、サンドワームなどミミズも同じ……!

 ションベンをかけなければどうということは無い!」

 

 オルオムはゆっくりと右手を上げると地平線を指示した。

 

「……え? 何?」

 

 すると地平線にはバジリスクが現れるのが見えた。

 

「【空間免疫】」

 

 

 

 ――

 

 

 

「はぇ?」

「何かしたんですか?」

 

 遠くで駆けるバジリスクには一切変化は無い。

 

「おい! バジリスクが来るぞ!」

 

 

 

 ――ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ

 

 

 

 近くにいたときはわからなかったが、遠くにいればよくわかる。

 

 バジリスクを飲み込む巨大なワームが直立しているのが。

 

 

 ――だが、何かがおかしい。

 

 二匹のワームが逆方向にゆっくりと倒れているように見えるのだ。

 

 

「――違う……! 真っ二つになってるんだ!」

 

 そう、一匹のワームが真っ二つにされて(あたか)も二匹に見えていたのだ!

 

 

「……これが免疫魔法――!」

 

 そう、指の先に延びる直線状の空間を【空間免疫】で固定し、その線上を高速で通過したワームは綺麗にワームの開きに(さば)かれてしまったのだ!

 

 だが、真っ二つにして終わりでは無かった。

 

 

 ズォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!

 

 

 地面に倒れた衝撃で巻き起こった衝撃で巻き上げられた砂が壁の様に迫りくる!

 

 

「【砂免疫】」

 

 ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 

「げっほ! げっほ!」

「けほ!」

「おうぇぇぇぇぇぇ!」

「へぶし!」

 

 砂からの肉体への影響を0にしても、肉体の外。つまり消化器系、呼吸系に入り込んだ砂はそのままで、魔法の消去と共に中に入り込んだ状態で元に戻って咳き込んだのである。

 

「……これが免疫魔法?」

 

 何ともしまらない幕切れであった。

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

 ――その後ギルドへ帰投。

 

 サンドワーム討伐の功績を認められ、オルオムはB級冒険者として認められるのである。

 

 討伐等級S相当

 信用度E

 

 S+E=B という理屈だ。

 

 

 

「――信じられん……」

 

 ギルド長は受付嬢の報告を聞いてなお己の耳を信じられなかった。

 直径40m 全長1200m の怪物を一撃で倒したなど想像出来ようか。

 

 とはいえ曲りなりにも『信用する』受付嬢の証言を得た以上認めない訳にはいかない。

 虚偽報告であれば、自ずと馬脚を現すだろう。

 

 履歴は共通の記録へ積み込まれる。

 判断が間違っていたとなれば、昇級の根拠となった受付嬢と判断を下したギルド長へ厳しい罰則が科されることだろう。

 

 

 ――これはいずれ誰もが知る変人となる、厨二病男の世界に残される足跡の第一歩である。

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