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我らが強き連邦を~対異界侵攻戦役~  作者: 連邦軍戦史記録課█████中将
第三章 暁への逃走
33/33

Ep.3-4 侵攻戦力増強

基底世界時間 6月22日 7時38分

アスティア連邦 排他的経済水域南部

沿岸部74km 第6空母打撃群全艦艇並びに第1戦艦戦闘群


第6空母打撃群


アドミラル・グズネツォフ Ⅱ級原子力航空母艦

アドミラル・グズネツォフ アドミラル・ゼバスト

キーロフ改級重原子力巡洋艦 3隻

スラヴァⅡ級ミサイル巡洋艦 6隻

ゴルシコフⅢ級 2隻

改ネウストラシムイ級 6隻

ボレイ型戦略原潜 2隻

オスカーⅥ型 4隻

補給艦 8隻


第1戦艦戦闘群

Pr.24 クレムリン級 2隻

キーロフ改級重原子力巡洋艦 1隻

スラヴァⅡ級 2隻

ゴルシコフ級 4隻

改ネウストラシムイ級 2隻

補給艦 3隻


海上転移門の東方4km地点

艦隊司令官の(しわが)れた声が全ての艦に響き、段々と紡がれていく


「これより我が第6空母打撃群と第1戦艦戦闘群は、既に未知領域へと到達した部隊へと合流する為に門を通過する」


単縦陣に延びて錨を降ろした艦隊が、波に揺れる


「我々はこの黒鉄の城を以て未知なる海を統べ、地上軍の同胞を支援する!」


「全艦艇!錨を上げろ!出港だ!」


数十トンの錨が水底の土と共に巻き上げられ、全ての艦の機関が煙を吐く

先頭を行くは第1戦艦戦闘群の旗艦にしてクレムリン級ネームシップ クレムリン


圧倒的対空火力に付けられた愛称はнаше(我等の)Небо(青空)

続くは2番艦 Красна(真実)яПравда(の赤)

後を追うは2隻の空母にキーロフ改級とスラヴァⅡ級


50隻に迫る大艦隊が1隻、また1隻と門の向こうへ消えていく

守るも攻めるも黒鉄の、とはよく言った物だ

これで連邦第2総軍海軍はしめて80隻に迫る勢いとなった


「我々は再び、世界の海に手を伸ばす」



━━━━━━━━━━━━━━━┫


同日 11時29分

SS統合参謀本部 第2作戦室 バルツァフ上級大将


「増強した戦力は」


「第6空母打撃群は全艦無事に入港、または配置に着きました」


「湾口設備の40%…まぁ埠頭と桟橋、給電設備に支援艦桟橋程度ですが」


「武器弾薬に燃料タンク、司令部に通信設備…ホント、艦を停めておく為だけだな」


「海軍工廠まで含めたら来年中頃には完成するかと」



バルツァフ大将は書類の貼り付けられたホワイトボードを睨み机を指で叩く

空軍は作戦機の損失、パイロット1名の生死不明

Su-57は小改修を施した第2生産パッチ機が配備されるが、それでも数が少ない

弾薬はともかく燃料は逐次投入、まとまった運用は厳しい状況


地上軍は暇を持て余し、手隙の人間を建設に回す現状は如何ともし難い

戦車は土埃を被り、歩兵戦闘車は砲旋回装置が錆ると言われる程動いていない


海軍は海域、海底の調査に制海権の確保と防空軍の手が届かない方への航空偵察を任せる予定

重油自体は海上に配置した補給艦で補給できる

弾薬の補給と整備には不安が残るが、浮きドックの手配もしておこう


「あれも無い、これも無い。ないない尽くしだ」


「やはり工廠を作るべきですかね」


「欲しいよねぇ、戦略爆撃機からネジ1本まで作れる工廠。まぁ土地も資源も足りないんだけど」


胸元のボールペンを手に持って見つめながら彼女はそう愚痴を零す

最近はPXの品揃えも悪い。補給無くして戦略の維持など出来ないというのに


「このボールペンすら基底世界(向こう側)の3倍。消耗品がこの有様とはね」


「PXの補給品に整備部品や各種武器燃料弾薬に加え作戦機、戦車、輸送船。突発すぎる進駐に何もかもが足りないのは、何度も繰り返した通り。で、改善の目処は」


「やはり海軍に頼るしか無いのですが、第6空母打撃は現状、艦隊物資の充足に手一杯です」


一息ついて椅子に深々と座り直すと、背もたれを倒して天井を見つめる

木造に付けられた安っぽい蛍光灯。まぁ風を通さないだけマシか。隙間風はあるが


「まぁそれはそれとして大陸地形図は?」


「エグラント海峡から東方1200km、南北400kmの完成度は71.9%」


「あいつの捜索追跡は?」


「微妙な所です。先日の昼間捜索において飛行する不明生物を視認、それに際して背中に3人の人間を視認しまして。内1人が対赤外線加工を施したカッパを着ていたようで」


「……写真か画像は?」


「あるにはあります。しかし解像度、倍率共に酷いものです」


「クソ。行先は?」


「西方200km強の市街かと。どうなさいます?」


バルツァフは手で目を覆い、肘を着いて思案する

保有するヘリで最も航続距離が長いのはMi-26

だが少々機体がでかい上に運用上の制限も多い

Mi-8AMTSh-VNに増槽でも括り付けるか


いやそもそも、彼にそこまで賭ける価値があるか

ヘリ1機、スペツナズ1個分隊とエース1人…

いや、あるだろう。彼を助けて得られるのは彼一人の命だけでは無い。行方不明のエースの帰還は士気に大きく影響を及ぼす


「ただこれ以上失敗するとワンチャン更迭されるんだよな…どうしよ」


「保身ですか?」


「保身だよ。ここで下手こいて最高指揮官更迭とか、色々と不味いだろう」


「これはこれは。良くも悪くも正直ですね」


「そりゃどうも」


手で弄り回していたボールペンを流れで胸のポケットにしまい込むと、よっと席を立って襟を正す


「まぁ、少し外を歩こう」


「いいのですか?まだ仕事がありますが」


「構わん。未来の私が何とかしてくれるだろ」


扉に手をかけ、不知笑の手を招く


「それに、こんな湿気た部屋にいちゃ脳がカビる」



━━━━━━━━━━━━━━━┫


同日 17時44分

基底世界 シュバルツゼクス戦略空軍基地

地下第4ブロック 第2技術実証室


訪問した士官は首を痛めそうなほど見上げ、技術者へと視線を落とす

彼が目にしたのは20mはあろうかと言える人型の鉄塊

四肢を持ち、5本の手の指は開かれている


「…で、これが未知領域専用の特殊作戦機?」


「共和国の独自開発技術をリバースエンジニアリング。そこに未知領域由来の技術を応用し重量問題を緩和。以前研究していた脳波同調技術と高強度関節技術、低摩擦ギア構造を生かし、高い反応性を実現」


「二足歩行に加えSu-57Mに搭載されたAL-51F2、アフターバーナー付きターボファンエンジンを2基、1対の3次元高強度関節機構へ2基ずつ搭載」


「更に同じ箇所へRD-74 高出力ロケットを1基ずつ。急制動やSTOLに使います」


「…これを手掛けたヤツはロマンに毒されすぎだ」


訪問した士官は呆れ気味に指をさしながらそう零す

ロボット物のやけに見た目がいい無骨な量産型

オタクが好きなタイプだ


「…はぁ。武装は?」


「両手共用で下部排莢型の2A42ベースの120口径30mm機関砲を持てます。ブルパップ方式で、下部のレールにS-13ロケットを5発着脱可能」


「また両方の肩部にS-8ロケットを40発ずつや、9M120対戦車ミサイル、9K127対地対空ミサイルを16発搭載可能。もちろん積まなくてもいい」


技術者はさも自分のおもちゃを紹介する子供のように嬉々として続ける


「3次元スタビライザーと自己完結型捜索コンプレックスを搭載、対地対空レーダーを胸部に搭載。前方左右140度、上下10度を捜索可能、更に赤外線追尾装置を標準搭載、計画段階ですが57E6、さらにS-500も…!」


「あぁもういい!で!こいつはいつ頃実戦配備できる?」


士官が無理やり会話を絶って声を荒らげると、隣から別の技術者が出てきた

士官は頭を抱えるが、それも一瞬で元に戻す


「あ、それには私が。こいつは概念実証用のモデルで、ここから試作機、試作量産機、先行量産機と段階を経ていきます。先行量産機でも早くて来年中頃。それまでにはスペックや武装に変更があります。繰り返す様ですが、あくまでこいつは今の技術でどこまで行けるか試しただけですので」


「試作量産機だとどうなる?」


「んー、それなら来年春前には。ただこれは生産ラインが順序よく確立されたら、の話です」


「クソ政治家めが」


「それは同感。ちなみに同じタイプが後4機、技術実証室にあります。それぞれ形が違うので、見て回ってみては?」


「いや結構。俺はもう腹いっぱいさ」


「そう?そりゃ残念。ではこれが一連の資料です」


分厚い紙束を技術者から渡され、士官は引きつった笑顔を浮かべてそれを受け取る

士官は片手で制帽を直し、実証室を後にした

資料の1枚目、1番上にはこう記されている


試作機番号 T-7-2 二足歩行型極地特殊作戦用複合体

コードネーム FICTION


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