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我らが強き連邦を~対異界侵攻戦役~  作者: 連邦軍戦史記録課█████中将
第三章 暁への逃走
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Ep.3-3 専門外のお仕事

未知領域仮定時間 6月19日 10時32分

大陸西方都市 ヤーメント門前


「流浪の民か。よし、入城を許可する。出ていく時にまた見せてくれ」


「わかった。ご苦労さん」


なんとか入城検査をパスし、ヤーメント東部門から市街に入る事が出来た

概算だが壁の高さは9m程度、厚さは20m弱と言ったところで、門の中には殺人孔にトラップドアが設置されている

使用された痕跡も見えたので、恐らく外敵からの攻撃があるのだろう


「とりあえず宿で部屋を取って、その後腹ごしらえでもしましょう」


「だな。飯と寝床さえあれば人間生きていける」


適当に会話をこなして行くが、まぁ外套にフードを被った人間が2人も歩いていれば少しは目線が集まる

少々居心地が悪いと感じるが、まぁ直ぐに別の都市へ行くのでいいか、と割り切る事にした


「にしても、この市街地の衛生環境は良さそうだな。異臭も無いし、水を飲んでる人間も見かけた」


「ここ100と数十年で人間共の衛生観念が劇的に進化しましたから。ここは上下水道も整えられているので、まぁ普通に生きていれば変な病にはなりませんよ」


最近の小説みたいだと思いながらも、とりあえずこの世界でよく分からん致死率高めの病にはかからなさそうな事に安心する


「あぁそうだ。金の単位はなんだ?」


ヤマククリの種(サルスト・タタイ)です。略してサルストって呼んでまして。今の手持ちが834サルストですので、一応1週間は余裕で過ごせましょう」


「なら良かった。まぁ西に逃げるだけだし、道半ばで略奪していけばいいか」


「あら、そちらの軍もそのような蛮行を?」


「まさか。飯も寝床も金にも困らん。奪う程落ちぶれる人間はいない。と信じたい」


街中を少し歩くと、大きなY字路の別れ道に正面扉を置く、なんとも歪な宿があった

掲げられた看板には《宿屋 アローヘッド》とある

エルメジンデが先を切って扉を開くと、中はそこそこ豪華な装飾が施されたホテルの様だ


見渡せば酒場と言うか、カウンターと飲食スペースが同じフロアに仕切りなしで広がっている


「マスター、2人部屋を…まぁ3日程度。朝と夜の分のご飯付きで」


「あいよ、ツレの人は初めて見るが。何処で取っ捕まえて来たんだ?」


エルメジンデは軽くこちらに視線を送る


「旅の途で山賊に追われていまして。その時に助けて頂いたのがきっかけで」


「危うく身ぐるみ剥がされそうでしたね?」


「ああ。助けてくれなかったら危うい所だった」


適当なアドリブで切り抜け、宿の主から鍵を貰う

部屋はL402号室。なお4階の1番向こうである



━━━━━━━━━━━━━━━┫



「めちゃくちゃ軽いな。銃も防具も重すぎる」


部屋に着いた俺達はとりあえず武器防具一式をクローゼットにぶち込み、身動きを取りやすくした

AK、プレートキャリア、IFAK全て隠しておく


「当分は西方へ移動しつつ情報収集。連邦軍の大陸侵攻は早くて今年7月、遅ければ来年の日照時間が最長となる6~8月になる」


「あと2週間で900kmを?」


ベッドに腰を下ろし、まさかとでも言う様に首を振る

我々の世界におけるフランス侵攻時のロンメルは最大で一日に240kmを走破したが、それは高度に機械化された部隊だから出来たことだ

輓馬編成の移動距離など高が知れる


「早くて7月とは言ったが、少なくとも異世界派遣軍の連邦防空軍は作戦機の定数、運用基地、燃料弾薬全てが大陸侵攻には不足している。作戦参謀の連中は航空機の支援無しに地上軍を進めるほど馬鹿じゃない」


つっても前線に出る少佐の分析なんざアテになるか分からんがな

ただバルツァフ大将が十分な作戦機無しに防空軍を全力出撃させる訳が無いのは分かる


「残り6ヶ月の内に、エグラント海峡まで辿り着く。秋に入れば職業軍人以外は動きが鈍くなる」


「馬は秋前から値上がりします。早めに買っておくべきかと」


「金は?」


「ないです」


「だろうな」


端金が手持ちの全て、馬を買うには全く足りんだろう

と、なるなら奪うか。奪えるのか?


「陸路の他に、少し値が張る移動手段が」


エルメジンデが懐から2枚のチケットを取り出す

字は読めんが、何やら竜の絵が描かれている


「ヤーメントから2個隣までの都市への飛竜便です」


「飛竜…え?」


「品種改良された中型飛竜による空路です」


ファンタジーだ。めちゃくちゃファンタジーだ


「いや。それあるなら最初から出してくれ」


「あらあら。とても陸路に拘っている様でしたので」


「俺の世界のこの時代に空路は存在しないんだよ」



呆れ気味にそう垂らす

にしても空路か。速度自体は良さげだ

陸路に比べれば襲撃のリスクも低い。


「西方に2つ隣となると、いくら進める?」


「西方1つ目は純粋な要塞都市カッター。2つ目が貿易都市ラトイヤ。ここから70、更に140km程度かと」


「計200…210か。1/4弱も一気に行けるなら結構な短縮になるな」


「まぁ、内陸部は障害も少ないので直ぐに通過できましょう。問題は外縁部、エルフ(耳長)共の森にあります」


「森林か。ゲリラには嫌な思い出しかない」


「まあエルフ共が嫌われているのも理由はありますがね。殆ど風評被害ですが」


彼女は爪を整えながら、呆れ気味にそうこぼす

そうか、異世界と言えど人間…つうか高知能生命体は同じ道を歩むらしい

さて、連邦はどうするのか。


「…それよりも。対ゲリラ戦はファイターパイロットの仕事じゃないだろ…」

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