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我らが強き連邦を~対異界侵攻戦役~  作者: 連邦軍戦史記録課█████中将
第三章 暁への逃走
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Ep.3-2 千里の道の先で

連邦海軍 第4哨戒艦隊 ゴルシコフ級 ナワルギン

明け方の空を睨むレーダーに2つの影が映る

IFFには応答を返さず予想進路はИГ空軍基地の方向にある


「第4哨戒艦隊よりИГコントロールへ緊急連絡」


「ИГコントロール感度良好、報告せよ」


「大陸の東方280km地点より不明機が2機接近。速度1310km/h 高度11000 針路 2-6-3 IFF応答無し。至急、防空軍のスクランブルを要請」


「ИГ管制、スクランブル受諾。通信終わり」


無機質な通信の後、ИГ空軍基地に警報が響き渡る

しかしエプロンには今しがた哨戒から帰ってきたSu-35が補給中、Su-57も2機は整備中

残る1機も兵装と燃料を積み込んでいる最中だ

だがそんな中で、無線を通して透き通った声が管制塔に伝わる


「ノルスク4-1スクランブル、対象への誘導求む」


「ИГ管制よりノルスク4-1、状態知らせ」


「乗機はSu-30SM4、武装は2本のK-77と2本のR-73M2、2基のEMCポッド、燃料4400ガロン。緊急発進の準備よし。離陸許可求む」


「ИГ管制承認、RW29からの離陸を許可」


「ノルクス4-1、スクランブル!スクランブル!」


Su-30の前輪ブレーキが開け放たれ、グラッと機体が前に傾くと同時にアフターバーナー全開で離陸する

水平線から微かに離れた太陽を視界に収め、機体は地を離れた


━━━━━━━━━━━━━━━┫


離陸後対象はヴェアヴォルフ1-1と1-2と呼称された


「ノルクス4-1レーダーコンタクト。距離44 相対速度980 高度8400。アプローチする」


「了解。接近し目視しろ」


「ノルクス4-1了解」


機首を持ち上げ、微かに左へバンクしながら接近する

速度を上げ、Uターンする様に進路と軸を合わせ接近していく


タリホー(目標を目視)。対象は2機の航空機」


「機首は分かるか?」


「まだ遠い。しばし待て」


「了解」


左後方から接近し、速度計がグングンと上がっていく

左手で火器管制レーダーを起動し、マスターアームをオンに。ECMを弱め距離を詰める

IRSTでロックし、速度を1600まで上がったところでようやくヴェアヴォルフの後下方に追いついた


「対象機は...Su-57とS-70。警告距離に接近し詳細を確認する」


僅かな操縦桿の引きで機体を左後方に横付けさせ、尾翼の機体番号を確認する


「Su-57はИГ-33-041号機」


「ИГ-33-041号機、了解。通信を試みたの...」


「クッソ...嘘だろ。私は何を見てんだ......ありえないだろ...?」


「ノルクス4-1どうした。報告しろ」


「Su-57の...コックピットがない。搭乗者は脱出した模様」


「バカをいえノルクス4-1。有人機がパイロット無しに飛行など」


「じゃあ今私の隣で飛んでる機体はなんだ!そのレーダーに映ってる機影は2つか?!あぁ?!」


「......了解した。監視を続行せよ」


「...ノルクス4-1了解。監視を続行する」


━━━━━━━━━━━━━━━┫


もちろん、基地は大混乱に陥っていた

パイロット(導き手)を失ったSu-57が、無人機に操縦桿を渡し帰還したという事実

パイロットの脱出は誤作動ではなく、一時的にコントロールをロストしたことによる確実な脱出であり、それはそれで問題


事実これからの定期便には決して乱気流やその他の飛行に危険を及ぼす空域の飛行は禁止されたし、可能な限りのパイロットの捜索も任務に課せられた


ブラックボックスは回収され当該機体は一時飛行停止、飛行隊指揮官は副官を昇進させ任官

ミハイル・クズネツォフ少佐は敵地生存中とされ、書類上は未だ防空軍に死者は出ていない


━━━━━━━━━━━━━━━┫


「パイロットの脱出予想地点は?」


「海岸から約880kmの都市、仮称C44の西方です」


「生存の見込みは?」


「分かりません。SEREキットは投下されていたので、何事もなければ2週間は確定で生存できます」


「定期便でパイロットは確認できたか?」


「いえ。足取りはひとつも掴めませんが、C44に潜伏する可能性はあります」


「未知の敵が潜む地域に戦闘捜索救難隊を投入する事は出来ない。何らかの方法でコンタクトしてより安全な地域に誘導するべきか」


「それが不可能ならば”処分”も視野に入れる必要があるかと」


「仲間を手にかけるなど馬鹿を言うな。我々は必ず彼を救い出す」


浅慮な言葉を口にした参謀の言葉を食い気味に否定


「可能な限り彼とコンタクトをとる方法を模索する。定期便のルートを再設定し、またその数を増やす」


「燃料の補給も急がせます。また海軍航空隊との連携も視野に入れた方がいいかと」


「空母打撃群と戦艦戦闘群がとうちゃくし次第それも考えよう。少なくとも今は防空軍の少ない航空兵力でやりくりするしかない」


1000キロ近く離れているにも関わらず、お互いにその装備の不足さに苦しむところは、なにか奇妙な運命のようなものを感じさせた

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