Ep0-3 エーグネクトーカ作戦 初段
日が沈み、また日が昇って、また日が沈んで
、そしてまた日が登った、つまり翌々日の事
今朝は輸送機が速達便でフェロンのスペアパーツを持ってきた音で目が覚めた
「昨日伝えた通り本日はエーグネクトーカ作戦、つまり陸軍との合同演習作戦を前にして、事前に対地攻撃演習と戦闘空中哨戒を行う。演習作戦に参加するのは独立強襲第1戦闘飛行団の4機、第76戦闘飛行大隊の16機、第902ヘリコプター中隊、第77戦略爆撃航空団からTu-160Mが2機、それとAWACSが2機だ」
「これは対抗型演習で、状況は機械化歩兵2個中隊に占領された高地に対し機械化歩兵1個中隊と戦車1個中隊で奪還にかかる、つまり反転攻勢だ」
「本演習部隊の編成は追って知らせる、対地攻撃演習は1325からの開始を予定、各員資料に目を通しておけ、遅れることのない様に。質問は?」
「はい、作戦指揮官殿」
「アッケンベル中尉、何か」
「はい、演習作戦において撃墜制限等はあるでしょうか」
「撃墜制限はない、自爆ドローンから超音速ミサイルまで、IFFに敵と出るものは全て撃墜判定を喰らわせろ」
「ありがとうございます、作戦指揮官殿。」
「質問は以上か?では、解散!」
ブリーフィングが終わり、部屋からゾロゾロと作戦要員が出ていく
あっという間に人影が消え、空いた椅子に腰をかけて一息吐く
「グーズ、エーグネクトーカはSu-57で飛ぶべきかな、一応スペアは届いたけど」
「俺はSu-57で飛ぶ、新鋭機の腕試しだ」
「シュバルツゼクスじゃ30戦21勝7敗2相打ちだったし、十分にわかってるんじゃないの?」
「それは純粋な空対空戦闘だ、今回は対地支援にCAPもある、どうなるかわからんぞ」
「ま、その辺りは編成が確定してからだね。じゃ、私は先に格納庫行ってるよ」
今回の演習、どちらの陣営になろうが真っ先にAWACSを狩るのに違いはない
R-37Mによる長距離攻撃となるか、低空吶喊による奇襲的一撃となるか
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Su-57Mの4機編隊は高度4700mをマッハ1.5で巡航しつつ、一路爆撃地点を目指していた
「グラーク1-4、ウェポンベイ解放、Sapsan-EMを起動」
「目標ロック、KAB-500L投弾準備」
「グラーク1-1.2.3ウェポンベイ解放、代替誘導準備よろし」
「弾着は巡航ミサイルに合わせる、投下まで20」
Su-57はダイヤモンド陣形を崩さないままに直進を続ける
雲の底面に尾翼を擦り付けながら侵入コースを維持していた時、コクピットに警報音がなる
「前方146からレーダースパイク、距離31マイル、機数3、爆撃は強行する。投下後1-4は誘導を続行しろ、1-2 1-3は迎撃に行け」
「「「ウィルコ」」」
ウェポンベイからGBUが放たれると同時に両翼の2機が編隊を崩し散開する
「ECMの出力を最大に、臆せず返り討ちにしろ」
機首 機体側面 主翼前縁に取り付けられたAESAレーダーが目標を捉えて離さない
が、俺の目標はこちらに向かう敵機では無い
なぜならば
「来た!方位073!距離22マイル!機数4!」
護衛が離れたところを狙い撃つ敵
密集隊形を取っているためレーダーには1つの敵に見えるだろう
そうやってノコノコ突っ込んで来た敵に対し....
「グラーク1-1!пуск ракеты!」
4目標に対しK-77Mを同時発射をコール
残るミサイルはK-74が2発、K-77Mも2発
お返しに来たK-77に対しフランキングからコールドに、高度を下げて全力でとんずらする
ミサイルの挙動や射程は演習司令部のデータリンクにより再現され、シミュレーション上で命中の可否がされる
《グラーク1-1 撃墜2 》
《グラーク1-2 1-3 それぞれ1機撃墜》
「残敵3、片付けるぞ」
《GBU命中 作戦目標達成》
「グラーク1-4 1-1の支援に向かう」
「後方からさらに4機、距離35マイル。包囲されてる」
《グラーク1-2 K-77命中 撃墜1》
「片付いた、ケツの4機は任せて」
回避から反撃に移ろうとするもののレーダースパイクが外れない
コールドからフランキングに戻しチャフを散布する
「ミサイル接近!クソ!クソ!」
ミサイルの軌道を予測し機首を引き上げ、雲の底スレスレで急降下に転ずる
ミサイルの運動エネルギーを削るための機動だったが、偏差を取って目標を狙ったミサイルは地面に突き刺さる、そうシュミレートされた
「SAS緩和!引き起こせ!引き起こせ!引き起こせ!」
位置エネルギーと運動エネルギーをトレードした結果、エンジン出力も相成って加速しすぎた
対地接近警報が鳴り響く
スロットルを倒し、SASを緩和させ急旋回で速度を削る
機首が水平になった時、エンジン出力を最大に上げて重力と慣性から機体を引き離す
「1-1、あまり危険な飛行はしないように。戦中にそれで飛行停止食らいましたよね」
「1-3安心しろ、それが初めてじゃない」
無線越しの溜め息は、いつもよりも大きかった